年初の東博にはあの、長谷川等伯の「松林図」がおでましで
賑々しく新年をお祝いする行事が沢山企画されていましたが、
なかなかそれを体験することができなかったのですが、
やっと1月27日に見てきたもの、画像でメモしておきます。
まずは縄文土器に初もうで。
深鉢形土器 縄文中期
解説を読むと、なんと、千葉県市川市柏井町
姥山貝塚から出土!
市川市は縄文国だったこと、もっと知って欲しいともと住民としても
切望しました。
旧知の市川に居住した詩人故宗左近氏に見てもらいたいと思いました。
国宝室 池大雅 楼閣山水図屏風 1/17〜2/12
ところどころの鮮やかな赤、青が印象強くさせています。
宮廷の美術
1/15に国宝 扇面法華経冊子の展示が終了してしまって残念でしたが、
明治時代に作成された、森閑山の模写が展示されていました。
扇面雑画帖 室町
茶の美術 1/2〜3/20
今年4月11日から6月4日まで開催される特別展「茶の湯」
それに先駆けてそもそも好物な茶器を今一度注目したいと思います。
今回も何気なく錚々たる名品が並びました。
狂言袴茶碗 銘 浪花筒 伝利休所持→鴻池伝来 (2/5まで展示)
黄瀬戸筒向付 美濃 安土桃山
黄瀬戸の特徴である、胆礬(たんぱん)がよく確認できます。
桃山のころ黄瀬戸では茶碗は作られていなかったそうで、
筒茶碗のようでも向付として扱われていたようです。
志野茶碗 銘 橋姫 彼方此方から撮ってみました。
同時期に一階の陶磁展示に
志野茶碗 銘 振袖 が展示されています。
茶掛けにには 定家、紀貫之の墨書が掛けられます。
どれだけ殿上人の茶会かと恐れ多くなります。
1591年の年初、茶人、利休にとって、厳しい一月であったと
知らされます。山上宗二が処刑され、その後、自分にも処刑の期日が迫ってくるのです。
五島美術館の茶の取合せ展でも厳しい宿命の展示がありました。
武士の装い
武具、具足、刀などの美しいものが並ぶ中、
時々、驚くべき素材の羽織に遭遇します。
「陣羽織 白地花唐草模様緞通」 一領 (陣羽織を一領と数えることに萌えます)
首回りのフリルデザインも斬新で、これを纏って必勝武運を願ったのでしょうか。
屏風と襖絵 ~2/5
丹精な筆使いはやはり、円山応挙です。
「雪景山水図」(旧帰雪院障壁画) 1787年(天明7)
この後、書画の展開コーナーにこの一連作品が堂々と現れます。
国宝展示室にあった、池大雅、こちらにも
もくもくとした「西湖春景・銭塘観湖図屏風」が悠々としていました。
暮らしの調度
デザインの粋な漆芸や、ちょっとした道八コーナーの陶芸など
目が喜びました。
夜着 紫綸子地鶴模様
書画の展開
花鳥図屏風 佚山黙隠(いつざんもくいん)1702〜78
黙隠は曹洞宗の禅僧で書家でもあり、沈南蘋の花鳥図を長崎で習得し
若冲との関連が注目されているようです。
本当に、若冲臭ぷんぷんします。
他にも若冲の弟子と知れた 秦意冲という名前の「雪中棕櫚図」
まさに、若冲の中にいた空気が溢れています。
応挙「雪中老松図」
三井のお宝、国宝「雪中老松図屏風」を彷彿とさせます。
探幽の素晴らしい作品、「新三十六歌仙図帖」 1664年(寛文4)
左大臣鷹司房輔の娘、信子を徳川綱吉に輿入れする際に嫁入り道具として
調整させた豪華な画帖。描かれた線の華麗なこと、色のつややかなこと。
剃髪姿は西行。
そして、カメラ撮影念願叶った、光悦の書、
「芥子下絵和歌巻」
雲英の芥子の様子を一度撮ってみたかったのでした。
浮世絵
江戸三幅対 谷風・六代目市川團十郎・扇屋花扇 勝川春好
谷風関は丁度新横綱になった稀勢の里に似ているなぁとニコニコしました。
それから
1階へ移動し、目にとまったもの、ご紹介です。
光悦の「舟橋蒔絵硯箱」多方面からiPhoneで撮ってみました。
しかし、こんな硯箱、後世制作したことがあっただろうかと、
見る度に新しいと驚かされるのです。
中はどうなっているのだろうかと、思いをはせます。
茶陶器の色々。
一入は陶器で根来をしてみたかったのだろうかと思います。
下地に赤、表面を黒にしているようで。
特集「掛袱紗 ー祝う心を模様にたくす」〜2/19
吉事があるときに使用されてきた袱紗、そこにお祝いの模様を
入れて祝う心を表現したそうです。
珍しい柄が沢山。刺繍の表現にも驚かされます。
他、写真師(カメラマン、写真家ではなく)小川一真の
彼方此方の宝物「写真帖」が大変珍しく、美しいものでした。
明治の超絶工芸
目を見張ったのは
聖心女子大学管理下のパレス天井画。
旧久邇宮御常御殿障壁画1926年(大正15)
椿 安田靫彦
雪松 中村岳陵
紅梅 前田青邨
牡丹に雀 下村観山
これらは横山大観の「梅図襖」など、旧久邇宮邸に関連したもので
大観の襖の展示は87年ぶりの展示とか。
詳細はトーハクblogを参照下さい。 こちら
こうして、その日、金曜日ということもあって、
3時過ぎから、春日大社展からはじまり、ずっとトーハクにいたのですが、
さすがにスタートが遅かったため、
東洋館、法隆寺館までは至らず、タイムアップとなりました。
それにしても今年もまた、トーハク、私のテーマパーク、しっかり通い続けたいと
熱く思ったのでした。