この日、上野に出かけましたので、
やはり東博のことを先に画像と共にご紹介します。
この充実観はいつも私をしあわせにしてくれます。
気になったところだけのピックアップです。
東博のニュースをいつも楽しみにしていますが、
本館1階の案内見取り図と見所もぜひ、
解説案内ページができたら嬉しいなぁと常々思っています。
アプリの案内もダウンロードしてみましたが、
やはり、紙のもの、欲しいと願ってしまいます。
(音声などの説明を聞く手間がちょっと面倒くさく感じてしまう私です)
今回は1階から回りました。
仏像コーナーは十一面観音さまが5体も展示されていて、
ありがたくもうっとりしました。
*阿弥陀如来立像 13世紀 ~10/25
こちらは大変美しいお姿で、螺髪に埋め込まれた
水晶?が目立つ珍しいものだと思いました。
トーハクのサイトでは京都の泉涌寺伝来のもので、
館には釈迦如来様としてお入りになったとか。
サイトの画像は美しい光背を伴っていますが、
会場では光背を外しているお姿でした。
漆工展示には、源氏物語蒔絵源氏箪笥
古墨意匠硯箱 伝小川破笠作
金工・密教法具
金銅五大明王五鈷鈴
灌頂用具
陶磁器
長次郎の黒楽茶碗 銘 尼寺
近代の美術
堂々と河鍋暁斎の龍図観音像が現れました。
巨大ケースの下にまだ溜まるぐらいの圧巻巨大作品でした。
本当に今年は暁斎の当たり年です。
超絶金工の仲間でしょう。
稲穂に蝗置物 狩野晴雲作 昭和20世紀のもの。
隣には白磁観音立像 作者は初代宮川香山。
小さな作品なのに、この緻密度はため息です。
2階に上がります。
縄文のスーパースターが登場です。
これは宮城県田尻町恵比寿田のもので、青森亀ヶ岡の遮光土偶と
肩を並べるもの、(東博ニュースより)だそうですが、
今回しみじみそのデティールを眺めました。
背面もなかなか見事な盛りを魅せていました。
国宝室には頼朝のすばらしい文字。源頼朝書状。こちらは9/6に展示終了しています。
仏教の美術 平安・室町
いきなり愛染明王がにらみを付けてきました。~10/25
また、きらびやかな経文に目を奪われます。
紺紙金地一字宝塔法華経五百弟子品断簡(太秦切)
平安12世紀のものだそうですが、田中親美さんからの寄贈と紹介されていました。
模写の研究にこれを手元に持っていたのでしょうか。
まばゆいきらめきを放っていました。
宮廷の美術
久しぶりに馬医草子が展示されました。
馬の医者の秘伝書として鎌倉文永4年(1267)に記されたそうです。
当時は現代の高級車以上に、大切に丁寧に管理されていたのでしょう。
薬草の写生画も興味深いものでした。
茶の美術
今、サントリー美術館で藤田美術館からの至宝展が開催中ですが
その目玉として展示された 曜変天目茶碗と同じ中国の南宋時代に
作られた、禾目天目茶碗が並びました。
曜変ものよりは少し地味ではあっても、
漆黒の母体に青い光が鈍く光る様子はこちらもなかなかの名品と思います。
むしろ、茶碗のなりは天目茶碗らしい、口縁を持っているように感じました。
南宋の青磁茶碗も薄作りの端正な形にため息です。常盤山文庫蔵のもの。
笹蟹蓋置の愛らしい姿など、
茶会ではきっと涼しい風を感じさせてくれたことでしょう。
屏風と襖絵
今回は曽我直庵、曽我二直庵のもの。
この空間を堂々と力みなぎる気で充満させていました。
鶏図屏風はカメラマークがついていたので、写メできず、残念でしたが、
上質絵具で色鮮やかでした。
水墨画の龍と虎図のほうはちょっとユーモラスな表情で、
戦意消失してしまいそうです。虎次郎のあんよが可愛すぎたのでした。
そして、もう一作品は曽我二直庵の作。
花鳥図屏風。全体を撮るのが大変でしたので、部分の画像紹介です。
一瞬の切り取りがみえました。
書画の展開
応挙は写生を大切にした人ですが、これが現れたら、
納得感心感嘆でした。
蝶、昆虫たちの写生を見せられて、降参するしかなかったのでした。
応挙がこの紙面にむかって息を吹きかけるように
集中力を注いだのかと感動します。
ユニークな百鬼夜行図屏風はうらめしや~の流と共に
楽しめます。大倉集古館からの展示です。
色が鮮やかで、素晴らしい構成でした。
絵師は 原在中。
どんな活動をされてきたのでしょうか。
直ぐ隣にシナを作った美しい画面のガイコツの軸が並びました。
これもその、原在中筆。
楊貴妃骨相図。道具仕立てが楊貴妃の香りを醸し出しています。
さて、同時に特集が組まれていました。
*「春日権現験記絵模本 ー神々の姿ー ~10/12
絵巻シリーズの中でも最高峰のもととして数えられる
「春日権現験記絵巻」東博での展覧会でその一部分を鑑賞された方も
いると思いますが、その模本の魅力に迫るものとして特集となりました。
*「後水尾院と江戸初期のやまと絵」 ~9/23
後水尾院は江戸初期の天皇です。
琳派の光琳、乾山の父、雁金屋の大得意先が
徳川家光の妹、東福門院和子中宮でした。
公家たちのきらびやかな文化爛熟の匂い立つ時代、そんな風に感じます。
後水尾院は文化の主導権を持ち、古今和歌集の奥義を直接伝授されることは
最高の名誉とされていたそうです。
その時代に重用された、住吉如慶の「伊勢物語」
土佐光起の「十二ヶ月歌意絵巻」など、
やまと絵師たちの展示されました。
また、「立花図屏風」ではいけばなの手本図のような
屏風が並んで、大変興味深く見ました。
*「能面 女面の表情」 ~10/4
能面なかでも女面の特集で、女面のイメージからは
かなり様々の表情と年齢による違いなどがあるものだと
ずらりならべられた面をみて実感できるものでした。
ラストにはやはり般若面が。
純真は狂気になり、その果ては??
珍しい蛇の面もあって、そらおそろし、あなおそろしやを
実見できます。
六条御息所の怨霊も天井に浮かんでいるかも知れません。
能は、そういえば、霊界のおなはしですから、
どうか鎮まって欲しいとひたすら願ったのでした。
今回も充実のトーハク。
もうすぐ始まる「ブルガリ」のジュエリー展の準備が
表慶館で進められているのを横目で見て、
どんな煌めきが待っているのか、期待しながら
帰途についたのでした。