あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

マン・レイ展 ・国立新美術館 (内覧会)

2010-07-14 14:04:47 | 海外美術
こうしてアート探検をしていると
突然いいことが降ってくる。
急遽 このステキな内覧にお誘いを頂戴したのだ。
その人は、Takさん。いつも感謝です。

先日の川村美術館で不思議なオブジェがマン・レイの作品で
ちょっと驚いてきたばかりだ。
写真ばかりじゃないんだなぁ。という程度の認識は
会場で小気味良いほどひっくり返った。

いそいそ乃木坂を歩き、
いつもと違う入り口から、恐れ多くも関係者を語って
中に入った。

会場内には国立新美術館でどんなマン・レイ展になるのか
この試みを楽しみにしている人たちの熱気が溢れていた。

内覧はこのマン・レイ展監修に関わった2トップがナビゲートしてくれた。

インゲ・モラス財団のジョン・ジェイコブ氏。
圧倒的体格とステキな笑顔。
そのジョン氏をも飛び越えるような存在感の
京都造形芸術大学の福のり子氏。(カッコいい人だった!)
マン・レイ財団の持つ作品、関係書類などを4年がかりで整理し
なお展覧に4年を費やしてきたとか。
膨大な作品群と資料をコツコツ整理し、展覧会用にピックアップし
日本へと運びこんでくるその仕事!!
喝采です。

その二人に導かれて場内に入る。
展示はニューヨーク、パリ、ロサンゼルス、
そしてまたパリと4つの時代に構成されている。
この人実はフランス人じゃなかったのだ。
22才の時にユダヤ人差別を避けるために
エマニュエル・ラドツキーから、マン・レイになる。
建築を目指すも自分の芸術思考に両親を説得する。
若者は写真芸術に触れて強烈に刺激を受けた。



要所要所でお二人の英語日本語の説明があって、
ともかく熱いメッセージバシバシ飛んでくる。


職業写真家に落ち着くことが嫌だったそう。
肖像写真はパリで一世を風靡し、いろんな人達との交流も広まった。










個人的には晩年まで一緒に暮らした
ジャネットの録画映画のようなフィルムが最高に素晴らしかった。
かつての主がいなくなったアトリエに
杖を突きながら入り、バカでかい鍵でドアを開け、
そしてタイムトンネルのような
過去の栄光でいっぱいの
幸せな場所へいざなってくれる。
彼女はおもむろにタバコに火をつけ、
とんでもないメガネを何度も掛け替え、
昔語りをした。
埃高いその場所にマン・レイとの時がぎゅっと詰まっている。
ジャズが好きだったわ。
ここに引っ越してきたときは何もなくて
でも私たちの体は熱かったわ、と笑う。
その声を効いているかのようなマン・レイの残したオブジェ。
激動の人生を時代の変化と共に
デュシャンと共同作業をし、輝いた女性たちと語らい、
常に何かを模索して、
ワクワクするアートを求めていたし、
それを人々が大いに喝采もしたのだった。

展覧会のサブタイトル

「無頓着、しかし無関心ではなく」

これはマン・レイとジャネットの墓標にも刻まれているという。


*会場の写真画像は関係者からの許可を頂戴してます。

今回は写真家マン・レイから離れて、
芸術家、マン・レイの足跡をたどることができた気がする。
ご紹介画像は写真をあえて避けて
色使いが秀逸な絵画作品を特に上げてみた。

図録も分厚いけれどこの展覧会の思いが満載。

マン・レイのセンス光る本展のサイトはこちら

夏の盛りから秋の気配する9月13日までです。
マン・レイ映像も楽しめます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 屏風の世界 ・出光美術館 | トップ | 酷暑お見舞い申し上げます。... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。