あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

幸之助と伝統工芸 ・パナソニック汐留ミュージアム

2013-05-18 23:39:12 | 日本美術
 久しぶりにパナソニック汐留ミュージアムに出かけてきました。
 以前訪ねたのは濱田庄司展だったでしょうか。
 こちらの展示はいつもコンパクトで見やすい構成になっていて、
 毎回会場の作りに工夫が感じられます。

 最近のパナソニックとしての経営不安は
 昭和の電気屋さん、ナショナルから親しんできた人には
 風前の灯火かと心配がよぎる厳しい経営状態で
 こちらのミュージアムのお宝所蔵は安泰かと
 ヤキモキします。
 
 そんな腹心はこの際仕舞って会場に入ります。
 展示は前期(4/13~5/28)中期(5/30~7/9)後期(7/11~8/25)
 の3期に分かれての会期です。
 今回は3期にわたってクイズシートを投票した先着100人に
 図録プレゼントという企画もあります。
 また、作品リストがとてもわかりやすい仕上がりで、大いに助けられます。

 第1章 素直な心 ー幸之助と茶道

 まず、茶器のコレクションが展示されています。
 幸之助さんの「心」という飄々とした文字。
 第1章の展示ケースは個々に独立したケースが立ち並んでいます。
 楽茶碗は一入、宗入、覚入の名品から、
 十六代永楽善五郎の水指、金襴出鉢、
 萩茶碗の十代三輪休雪、
 等々が並びます。

 魯山人の四方皿、備前の片鉢が良い具合です。
 やはり、この人のやきものは悔しいけれど良いのです。
 幸之助さんの落ち着いた好みが滲んでいます。

 第2章 ものづくりの心 ー幸之助と伝統工芸

 なんとはなしに竹橋の工芸館分室のような気配です。
 藍青瓷鉢 清水卯一作 
 この青磁のような貫入も大胆な大きな鉢は
 それを花器として使った様子が写真にありました。
 民芸の巨匠も。
 河井寛次郎、濱田庄司、富本憲吉。
 織物も大御所勢揃い。
 志村ふくみ、北村武資、稲垣稔次郎、森口邦彦、
 織物を見るといつもどうしたらこの複雑な模様が機織りで出来るのか
 どう想像しても形にならずにこんぐらがって
 諦めて尊敬するだけになります。
 近代の陶磁器や人形、籠、金工、木工も並びます。
 黒田辰秋の木工には不安が一欠片もなく、ひたすら安定、安心が
 生まれています。

 近代の工芸作家についてはまだまだ不勉強ですが、
 日本の工芸の力は生かす場所を失っているだけで、
 いつでも光輝き始め、芽が出ることを信じています。

 一代を築いた松下幸之助の心はきっと事業漬けの生活に
 こういったものとの関わりに人の心を失わずに
 心の均衡を保っていたのではないかと思います。
 決して派手さはないけれど、
 手仕事への尊敬が見て取れます。

 ものつくりの根源は人への尊敬なのでしょう。
 そのコレクションを見守るように、
 ルオーの目も温かく輝いて見えました。

 前、中、後期と分かれた展示は8月25日までのロングランです。
 銀座から新橋へ向けて歩いて意外と近くにあります。
 帰りは銀座方面に流れて帰るのがお気に入りです。
 (新しいビル群がどうも馴染まないのです) 

 汐留ミュージアムのサイトはこちら

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