あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

入江泰吉作品展「心の原風景 奈良大和路」 フジフイルムスクエア写真歴史博物館

2017-01-14 17:18:42 | ギャラリー
 
 森美術館からミッドタウンのサントリー美術館へ移動し、
 もう一度「小野田直武と秋田蘭画」展をみたいと思って外を歩いていました。
 そこに、大好きな入江泰吉先生の写真がみえました。
 吸い込まれるように、フジフイルムスクエアの中に入りました。



 奈良には30代前半のころ、3年ほど移住していたこともあって、
 思い入れのある懐かしい場所です。
 
 当時若い写真家を友人に持つ人がいて、入江先生のお宅までお邪魔したこともありました。
 門下の方にご紹介して頂いたり、シルクロード博覧会が開催された折にも
 近しくお目にかかることができたのでした。
 その後、黒川紀章さんが「入江泰吉記念奈良市写真美術館」を設計することとなり、
 新薬師寺に行くなだらかな坂道の途中に奈良らしい屋根を持つ記念館が建ちました。
 生前に間に合えば良かったのですが、残念ながら開館を前に86才で旅立たれました。

 そんなことを思い出しながら、
 懐かしい作品を拝見でき、大変穏やかな気持ちとなる時間でした。

 高畑、あの界隈には志賀直哉の旧居ががあったり
 お散歩するだけで、もしかしたらそのあたりに
 いまを忘れて遠い歌人たちがいるようにも感じます。

 入江泰吉先生の写真からは、
 自然界の被写体に向けた慈愛溢れる愛情を感じ取ることができます。
 有名な「親子鹿」の写真はテレカが活用されていた頃よく使われていたことを
 思い出しました。
 遠い古代万葉の景色がいまそこにあるかのような景色が現れます。
 光の移ろい、木陰の湿度、色の重なりの美しいことといったら。

 入江泰吉先生の目がとらえた奈良の景色は少し変化してきたのかも知れませんが、
 豊かな歴史をはぐくんできた奈良そのものを体感できる作品ばかりです。

 展示は3月22日まで、入場無料です。
 奈良の写真美術館では「春日大社とおん祭」展が22日まで開催中のようです。



 また、先生おすまいの旧居が公開されるようになっていて驚きました。
 東大寺戒壇院に行く途中の閑静な場所にあります。
 お水取りにお出かけの時など、ちょっと足を伸ばしてみること
 お勧めしたいです。
 戒壇院、二月堂までの道のり、何度歩いたことでしょう。
 六本木の真ん中で奈良を恋しく思った時間でした。



*入江泰吉先生のお名前の「吉」は下が長い土に口なのですが、表記が抜けてしまうようだとお知らせ頂いたので、便宜上「吉」としました。

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