あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

紅心 小堀宗慶展 ・目黒区立美術館

2010-06-19 22:33:11 | 日本美術
我が家の坊主たち中学校は奈良京都に出かけていた、土曜日、
嬉しい自由時間が巡ってきた。

これはどこへ行こうと考え中に関西からは遊行さん、
久しぶりのmemeさんとお目にかかることになった。

memeさんとは楽しいお茶タイムでお別れしたが、
その後目黒の権現坂を下って目黒川ベリを歩き、
目黒美術館を目指した。
桜の葉が濃い緑になって、
爽やかな風が吹いて実に快かった。

会場入り口では和服を着込んだ婦人たちの姿が見られ、
小さなお茶会が開かれていた。

2階に上がり、いよいよ会場に入る。
宗慶氏は実に芸が細かい。
様々なものを作り出していることに驚かされた。
現代の茶人は何事もこなしてこそなのだろうか、
手先が器用であることを惜しみなく楽しんでおられるようだ。

琳派を彷彿とさせるような軸もの。
大胆な構図の唐獅子牡丹、磐梯山屏風。
佐竹本・三十六歌仙の紀貫之、斎宮女御の写し。
海外の画題もあり、
シベリア風景、アルプスの山々なども描く。
陶磁器には絵付けもする。
茶杓、棗の制作。
着物や、帯にも筆をとった。
大体が品良く、綺麗さび系な作品だった。

ここで、遊行さんと遭遇した。
相変わらずタフな方だ。

宗慶氏、紅心の意匠による作品群。
壺や花瓶、水指など、茶会を彩ってきた近代の品々。

しかし、そこから重厚な展示コーナーが現れて息を飲んだ。
あの、門外不出と思っていた、大徳寺孤篷庵にある
国宝 井戸茶碗 銘 喜左衛門が目の前に現れたのだ。

しかも、東博の青磁茶碗 銘 馬蝗絆 が隣に展示。

かつて柳宗悦が熱狂的な文章でこの喜左衛門を語っていた。
不昧公が所持したときに腫れ物ができたという逸話もある。
この展示のために孤篷庵から移動する前に
わざわざこしらえた桶で日頃の垢落をしたら
暫くぶくぶくと泡を吹いたそうだ。
さすがの国宝、喜左衛門の恐ろしいパワーある話だ。
まさか、ここで拝見出来る機会を得るとは
想像だにしていなかったから、
うぉ~と歓声を密かに上げてしまった。

朝鮮の名茶碗が7椀並ぶ壮観も嬉しい。

茶入の中興名物 遅桜と大名物 初花が並ぶ奇跡もあった。
仕覆がまた一つ一つ愛らしい。

そこに、十二代宗慶氏を継ぐ、十三代宗美氏が袴姿で現れ、
場がにわかに華やいだ。
この日は展覧初日の晴れな日であったのだ。

来月11日まで。
現代に残る遠州流の茶を感じつつ、
喜左衛門のすごさを見に行って頂きたいものだ。

この後、遊行さんと連れ立って、庭園美術館を目指した。


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