あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

妙心寺展 ・後期 東京国立博物館

2009-02-22 21:50:37 | 日本美術
今、丁度読み始めている「山水思想」がとても役立って、
一々おぉ~と思えるのでした。
なかでも、

 *89 瓢鮎図 如拙筆

この本物と出会えるチャンスがとても嬉しかったのです。

 *92 瀟湘八景図 狩野元信
 *96 瀟湘八景図屏風 伝相阿弥

この2作品を前期後期で見ることができました。
狩野元信の存在も「山水思想」で重要な位置にいることを教わります。
 
 *98 普賢菩薩像 伝馬麟筆 中国元時代
怪しげな普賢菩薩様でした。
象もだらりとしていて、菩薩様をしっかり乗せて歩く気概はなさそうです。

 *103 十六羅漢図 蔡山筆 中国元時代
これもまた怪しげなどろり系の羅漢様たち。
中国の元時代は、こういった奇想図がもてはやされたのでしょうか?

いよいよラストの障屏画のコーナー

 *205 花卉図屏風 海方友松
 *207 寒山拾得・三酸図屏風 海方友松
 *208 雲龍図襖 麟祥院方丈障壁画のうち 海方友松

この海方友松3作品には、ノックアウトでした。
特に雲龍図は、破格なぶち抜けた大迫力。
岩佐又兵衛、曽我蕭白も敵わない、と思ったのでした。

 *215 老梅図襖 狩野山雪
これは、実に驚いたことに、前回あれだけ見ていたのに、
今回は梅の花が妙に可憐に見えたのです。
ぽっぽっぽと梅の花が開く瞬間に会えたような、
初春の喜び、を見ることができました。
季節の変化も手伝ったことなのでしょう。
嬉しい発見でした。

日本の水墨画、禅画の影響が妙心寺展を通して
今まで以上に、身近に感じられた、
有意義な展覧会となりました。

ガイド本として、「山水思想」がとても役に立ったこと、
それが一層時空から浮きだって
様々な人々が交錯して生々しく感じられたことは
本当に良い機会だったと思ったのでした。
  

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (すぴか)
2009-02-22 23:28:20
こんばんは。
妙心寺展、やはり2度目は違って見える
ものですね。老梅図、不思議であのいろんな
見え方はどこから来るのかしら。

瓢鮎図も嬉しくなりました。山水思想の
まず転換点、いやぁ山水思想がますます身近
になってきました。ほんとにわくわくです。

海北友松を見直しました、すばらしい!
知らないことばかり、またすこしずつ
愉しんでいきます。
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すぴか さま (あべまつ)
2009-02-23 16:03:22
こんにちは。

すぴかさんも2度目は違って見えましたか?
本当に不思議な絵です。
同時に「山水思想」を追いかけての鑑賞で、
感想を伺えて、嬉しいです。

海方友松、グッと来ましたね。
しばらく正剛氏の思惑にはまって
楽しみましょう!!
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Unknown (とら)
2009-02-24 09:27:35
山雪の印象は、私も、一回目と二回目で大分違いました。
周囲の障壁画の違いに影響を受けているのかもしれませんが・・・。
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とら さま (あべまつ)
2009-02-24 22:13:08
こんばんは。

とらさんも2回目の印象が違って見えたのですね。奇想ばかりではない側面もあるようでした。
屏風のパノラマ視界は圧巻です。
海方友松も超絶空間を描く絵師でした!
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Unknown (oki)
2009-02-24 23:56:01
僕は、松涛美術館とこの展覧会で白隠に興味持ちまして、中公新書「白隠ー禅画の世界」なる本を購入しました!
展覧会がきっかけで知識が広まるというのはいいですね。
世間的には阿修羅、阿修羅ですが、この展覧会もなかなか
ですね。
世田谷の平泉、サントリーの三井寺、なんか今年は仏様
多いですね。
返信する
oki さま (あべまつ)
2009-02-25 14:23:43
こんにちは。

私もその
>中公新書「白隠ー禅画の世界」なる本
を前に買ったのですが、置いたまま状態です。
仙崖とともに、癒し系のお坊さん。
この二人にまぁまぁ、と言ってもらえたら、鬼に金棒です。
妙心寺、見所満載でした。
仰るように、今年は仏様の年ですね。
世田谷、行くつもりです。
平泉も忘れないで欲しいってことでしょうか。
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ヒョーネンズ (悲歌・哀歌)
2009-03-01 14:34:27
あべまつ様 こんにちは
辛うじて、「妙心寺」後期に行く事が出来ました。短い時間でしたが、やっぱり行って良かった!
瓢鮎図三十一人の讃、釈文を予め読んで行ったのですが、絵の前に立てば、全部忘れて、絵に見入ってしまいました。
ヌルヌル鯰をツルツル瓢箪で如何に捕まえるか?
人の悪い将軍様の問いに、禅僧達が呻吟艱苦、もうやけっぱちな坊さんもいて、同情に耐えません。
小生は、男が立っている川縁の形が、大ナマズに見えて、捕ろうとするお前が実は捕られている。捕ると捕られるは同じだ!と答えちゃおうかな、と思いました。
この絵は、以前、東博の平常展示に何回か出ていたように記憶しています。その頃は、讃の釈分がなかったので、図の部分ばかり見ていました。それでも十分惹きつけられる絵でした。
海北友松「雲竜図」は、やけに鼻息の荒い龍様ですこと、一息で吹き飛ばされそう、と思いました。
さて、本館2階へ行って、嬉しい出会い。
良寛「詩書屏風」に遭遇。
小生が良寛に目覚めた一品です。(読めもしないのにです。)何度みても気持ちが良くなります。
慈雲飲光「金棒図」の讃にはちょいと笑えました。展示が節分の時期ですもんね。
あと、一点。平成館1階の修復品展示に長次郎の「三彩瓜文平鉢」が出ていました。う~ん長次郎の出自に福建省あたりの人が絡んでいるのかなぁーと想像しました。(これは妄想か?)
タイトルの意味は、将軍様に意地悪されたにも係わらず、なんとか讃を捻り出した三十一人の禅僧達を、ヒョーネンズと呼びましょう!?と言うことです。お粗末様でした。お後が宜しいようで・・・。
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悲歌・哀歌 さま (あべまつ)
2009-03-02 22:20:31
こんばんは。
「ヒョーネンズ」!
楽しいコメントありがとうございます。
私はあの賛をちっとも読んでいなくて、
あの瓢箪は捕まえているのか、押さえ込んでいるのか、ただ浮かんでいるものを飛ばないように手を差しのべているのか、わからんなぁ~
と釈然としないまま、不思議な気配を楽しみました。問答は脳トレですよね!
良寛さんの字、飄々と伸びやかでよかったです。鬼に金棒、私も受けました。金棒があまりにも素直ですっくりしてましたし。
山雪の3幅もしっかり見ました。うまい!
長次郎の緑釉の丸皿ですよね?
色絵付けのお勉強かと思ったのでした。
長次郎が色に興味があったのか?と意表をつかれます。織部の緑も思うのです。
今月しばらく本館日本の美が閉室で寂しいですが、新しい展示を楽しみに待ちましょう~
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