あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

福沢諭吉展 ・東京国立博物館 表慶館、本館特別2室

2009-02-25 14:10:27 | 美術展
表慶館で、近代化を歩んだ日本の男の生き模様を展示するのは
意外とぴったりして見えた。
時代と建物が同調しているのは、心地よい。
展覧会の順路に従う。

<第1部 あゆみだす身体>

諭吉の生活の一部が展示されていて、面白かった。
文机の上に置かれた硯の横に大きな洋食スプーン、
墨汁を運ぶのに使ったとか。ナイス!
男前だった、若い頃の勇姿の写真も、へぇ~だった。

<第2部 かたりあう人間(じんかん)>

交詢社とのかかわり。

<第3部 ふかめゆく知徳>

諭吉の周りの様々な人々の存在。
杉田玄白、北里柴三郎、和田栄作、イサム・ノグチ
岡本太郎、谷口吉郎、永井荷風、泉鏡花、・・・
などの著名人が現れ、豊かな近代化時代を感じる。

<第4部 きりひらく実業>

諭吉が実業発展にも重要視したことを知らされる。
北海道のバターや練乳などのラベル、
オールド・ノリタケのティーカップが現れて
驚いた。様々な実業精神にも関わっていたのだ。

<第5部 わかちあう公>

諭吉の学んできたことを発信してきた
書簡や、時事新報などの記事。
還暦祝いの灯台のオブジェが重厚だった。
よく見れば、鈴木長吉。な~るほど波頭がすごいわけだ。

<第6部 ひろげゆく世界>

海外からも沢山学んだ諭吉。
その足跡。「学問のすすめ」も各国語に訳された。
乳母車の重厚かつスマートなアメリカ土産も展示。
朝鮮留学生との関わりも深かったようだ。
我が息子にも、どうか学問のすすめを!

<第7部 たしかめる共感>
 -門下生による美術コレクション
ご想像どうり、あべまつは同行した母と
ここのセクションに大半の時間を割いた。
これを見に来たと言っても過言ではない。
なにしろ、垂涎物が揃い踏み。
日本のやきもので国宝第一号のひとつ。
平安のやきもの、「秋草文壺」が間近に見られた。
平成館に時々現れてくれる。
・伊賀耳付花入 銘 業平 16C 三井記念美術館
・井戸茶碗 銘 常盤 朝鮮時代16C MOA美術館
・瀬戸奈屋肩衝茶入 16C MOA美術館

などなど、門下生の名だたる茶人達のコレクション。
これだけで一つの企画展覧になりそう!

それと、意外だったのが、
<第2会場>本館特別2室

前回、「釈迦金棺出現図」だけの展示で、
それでも、圧巻ではあったけれど、
他にもすばらしい、鎌倉、室町の逸品がお目見えで、
びっくりしてしまった。

・佐竹本三十六歌仙「源順」
・鑑真和上像
・山水図 伝周文筆
・韋駄天・猿猴図 中国南宋ー元時代 
 これがサプライズで、解説によると、かの牧谿のものだとか!!!
 長谷川等伯も学んだ、あの牧谿猿の原型が
 目の前に!!(これは会期末まで展示)
 水墨画が気になる方、お勧めします!
 韋駄天の妖怪な面相、手長猿のふさふさした毛並み。
 俯瞰したモヤのかかった湿気のある独特な風景画とは
 一線を画す。

ほか、月岡芳年の「月百姿」から、「四条納涼」
広重の五十三次も見られる。

せっかくの福沢諭吉先生の偉業の展覧で、
元祖KOボーイの真面目な学業を知るチャンスだったにもかかわらず、
工芸、美術にはまってしまった。
山水、水墨に関心が向いているので、
極上品を見ることができて、大満足。

久しぶりに母と二人、ぶらぶらすることができて、
良かった。やはり、人生の達人に教わることは
まだまだありそうだ。
学問のすすめは、母からもある、ということだった。

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2 コメント

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Unknown (すぴか)
2009-02-26 10:27:05
こんにちは。
お母様とご一緒の福澤諭吉展、
よかったですね。諭吉さんは特に家族
思いでしたもの。
私はたまたま先祖が中津出身で、少しは
話しにきいていたので、まあ初日に
出かけましたが、それよりも
美術の方に夢中になってしまいました。
門下生といってもすごいお茶人ばかり、
それに高橋誠一郎さんとくれば、今度
コレクション展もあるそうで、楽しみ。
返信する
すぴか さま (あべまつ)
2009-02-26 20:30:16
こんばんは。

すぴかさんとは中津つながりの
諭吉さんだったのですね。
そういった土地の繋がりは豊かなものなのでしょう。ちょっと羨ましいです。
近代の茶人達コレクション、気になりますね。
骨董、茶器が様々な人の手で集められたのでしょう。高橋誠一郎氏のコレクション展があるのだとすれば、楽しみです!
返信する

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