あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

最近の美術鑑賞記録

2009-05-30 22:37:21 | アート鑑賞記録
母が阿修羅をアタシと見ると勝手に決めていたので、
日曜日に阿修羅に再会。

混雑回避のため、夕方以降にしましょうと
4時過ぎに着いたけれど、
阿修羅人気は天井知らず。
上野駅から続々とこわ~い人の流れ。
諦めて、先ずは東洋館へ入った。
来月からしばらく入れなくなるから。
耐震改築が始まるそうだ。

東博まで来て、そこにはいる方は、2割いればいいほう?
それでもいつになくにぎわっていた東洋館。
中国絵画の羅漢さん達の強面。
千手観音さまの手のひらの目。
やきものの優しい佇まい。
遠くから歩いてきた?ポップなワニさん。
真面目に見ていたら、阿修羅を見る力がなくなるから、
適当に流すことに。
母は、なんでも真面目に見過ぎるから、
行くわよ~と端折る私。
本館も1階をちょっと流して、
平成館に向かった。
5時過ぎて待ち時間は0分。
でも場内は熱気でムンムン。
強烈な磁場からビーム光線を帯びているようだった。

阿修羅について、光明皇后がどうしたとか、
聖武天皇がどうしたとか、鑑真和上がいたんだとか、
様々追っかけてみたものの、
また阿修羅を見て思った。
それは当時は大問題だったかもしれない。
でも、今の平成21年のこの時に
あぁ、素晴らしい、美しい、
そう思っていることの方がずっと大切だと。
阿修羅の回りに人々が人間アリ地獄のように
まとわりついて、事件が起きやしないかと心配する気持ちをよそに、
つくづく美しいとは、心洗われる姿とは、
祈りに近いなぁと実感した。
それこそが阿修羅なのだと。

満足して母は帰っていった。

東京駅まで母を送った帰りに
片岡球子を高島屋で見た。
まったくただ尊敬するのみ。
あの天真爛漫なパワーは一体どこから来るのか。
ごつい画面から、絵に対する真面目度が溢れてくる。
富士山信仰も感じるし、
絵師達への尊敬、偉人達への畏怖も感じる。
あの色使いはなんだ。
すさまじいパワーを100を過ぎても燃やし続けていた。
最期には裸婦。
これには参りました。
気分が萎えてきたら、球子さんの絵を見よう。
必ず、抱える悩み事があほらしく思えてくるだろう。

出光へ久しぶりに出かけた。
「水墨画の輝き」
墨を知らなければ、この魅力溢れる画面が生まれてこない。
東洋、オリジナルな画面だ。
同朋衆として有名な能阿弥、相阿弥。
彼らにもっと光りを。
雪舟の前に彼らがいた。
等伯が尊敬する雪舟の渓流。
牧谿の模写を試みた、
相阿弥の「腹さすり布袋図」
すごい迫力だ。
牧谿の「平沙落雁図」
この平坦な薄い墨で遠い山間を雁が群れして飛ぶさま。
まったく驚かされる。

等伯の竹虎図・竹鶴図屏風に癒される。
竹虎は、本当に可愛いしぐさ。
虎があんなに照れている様もイカツイ面相だから
余計かわいらしく思えるのだ。
解説に愛が溢れていることが書かれていたが、
本当だと、納得しながら見た。
伝・宗達の龍虎図も妙にいとおしい。
「叭々鳥・小禽図屏風」を描いた探幽は
やはり天才と言われただけあると思った。
それらの側に素敵な茶器、やきもの。
作品リストにやきものが載っていないのは残念だったが、
一点、驚くものがあった。
陶板やきものは乾山の専売特許かと思っていたが、
そのもっと前にしていた陶工がいたのだった。
「志野山水文隅切皿」桃山 美濃
ん~~良い物を拝見できた。

その後、三井美術館で「茶の湯の名品」を見た。
いつもハイレベルなお茶の名器続々。
前期には水墨画の名品に会えたはずだったが、
後期は梁楷の「六祖破経図」を見ることができた。
東博の東洋館で李白の美しい姿を見るが、
この絵は古い経を破って新しいことへ向かう図、
そんな会心作のように見えた。
珍しいところでは信楽の茶入れ、
長次郎の黒楽口寄香炉
伊賀の耳付水指
保全の名品ずらり、
また、大好きな茶箱シリーズ。
ここはいつも本当に質の高い名品ぞろい。

そんなこんなで、シアワセな眼福を続けられたのだった。 

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6 コメント

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Unknown (meme)
2009-05-31 06:26:26
おはようございます。
東博、高島屋、出光、三井と充実の
ラインナップですね。
三井の茶道具はさすがでした。
返信する
Unknown (一村雨)
2009-05-31 19:06:32
阿修羅展はものすごいことになっているみたいですね。もはや社会現象化しているのですね。
インフルエンザ騒ぎとともに平成の歴史に残りそうですね。
返信する
meme さま (あべまつ)
2009-05-31 21:56:53
こんばんは。

memeさんは早起きですね!
茶室如庵は、おぉ~でした。
最近の高島屋、頑張ってますねぇ。
私の好きな美術館廻りができて、
嬉しい限りでした。
返信する
一村雨 さま (あべまつ)
2009-05-31 21:58:50
こんばんは。

阿修羅は、大変な修羅場を向かえているようです。ご無事で九州へご出立できるよう、祈っています。
去年の薬師寺を上回る勢いでしょうか。
返信する
こんにちは (もか)
2009-06-04 16:37:02
昨日の午前中、上野駅に「阿修羅展1時間半待ち」との掲示が!まさに修羅場ですね。
お母様は満足されてお帰りで、良かったですね。

あべまつさんの眼と感性を通して、行くことのできなかった美術展を、たぶん自分で観る以上に楽しませて頂いています☆
返信する
もか さま (あべまつ)
2009-06-05 11:10:00
おはようございます。

阿修羅の人気は大変なようですね。
人気者に会わなければの一心で突き動かされているようです。
でも、混雑は怖い~です。
母も鑑賞できて安堵したようです。

あべまつのへそ曲がりな感想ですが、
楽しんで頂けて、励みになります。
これからも、ヨロシクです!
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