あべまつ行脚

ひたすら美しいものに導かれ、心写りを仕舞う玉手箱

時空をこえる本の旅 ・東洋文庫ミュージアム

2011-12-18 22:10:50 | 美術展
本屋さんにご無沙汰していると、禁断症状が現れてあれもこれもと目が泳いでしまうのですが、
その中でダントツに目を引いたのが「東洋人」東洋文庫の世界特集の表紙。
速、ジャケ買い。
中身がまた濃厚で、はやくその現場に行ってみたくなりました。

ようやく見つけたチャンスに六義園をセットして参戦。
やはり実物を見る、体験することの大きさに感動です。



六義園を出てすぐ近くに石のキューブのような近代建物が見えてきます。
「東洋文庫」の看板を確かめてはいると、
天井の高い、広々とした空間と「ムセイオンの泉」といわれる
池がほっとするスペースを生んでいます。
ちょっとトーハクの法隆寺館を思い出すような。

初めて入るところなので、色々係のお姉さんにお尋ねしても
面倒がらずに丁寧に教えてくださる。
ロッカーに荷物、トイレはここ、
カフェは中庭を挟んだ向こう側、
チケット売り場を囲んでミュージアムショップ。

幅広のガラス自動ドアが結界。
なんと、この博物館カメラOKです。
もちろんフラッシュは×ですし、展示品によってはご遠慮くださいの
注意書きもありますが、
カメラOKって嬉しくなります。



ここの最強の本の神殿がモリゾン書庫。
圧巻です、ぜひご自身の目で確かめにお出かけください。





階段を上がってモリゾンの本箱が高い天井から押し寄せてきます。
祭壇のようでもあり、本の山とその姿に圧倒されます。







吉田兼好の徒然草が光悦文字で蘇ります。
これは光悦が自分の文字を起こして木版活字を用い、印刷ものにしたというもの。
ぎょっとします。
あのつらつら連なる書が木版???
「東京人」によれば、
印刷がうまくいかないところには光悦自ら筆を執って埋めたとか。
ご本人の文字だから違和感が生まれることもない。
雲母が紙の奥から光っていることもまたぼうっとした照明がより一層引き立ててくれていた。



ちょっと前にサントリー美術館の南蛮美術の展覧で、
教科書に載っている、本物のザビエル像に萌えたのだったが、
ここにもザビエル氏現るだった。



「日本の花束」この挿絵の図はキリシタン大名で有名な
高山右近です。国外追放を受け、家族とともにフィリピンへ移住しそこで
生涯を終えたそうです。



つまりは受胎告知な図です。



ここはとても怖いところで足下がスケルトンで高所恐怖症な私には
奈落の底に吸い寄せられるようでいけませんでした。
甲殻文字とかが拝めるはずでした。



また、驚いたことは、あの「東洋見聞録」は世界各国にお国柄を表す装丁で
書棚にずらり陳列されていました。



重厚で分厚い「ルター訳聖書」から
イエズス会士通信日本年報がずらり。
専門の方には事の重大さに身震いするんじゃないでしょうか。
ここに安土桃山のイエズス会の様々が事細かに記されていることなのでしょう。



一階のオリエントホールでは
ロビンソン・クルーソー漂流記から海外の本の古く伝わるものが
見やすいショーケースに一列になって展示されています。
このアルファベットがとてもかわいらしかったのでした。

他にディスカバリールームでは
辛亥革命百周年記念展示があって、
東洋文庫の中国関連の研究も熱心だということでした。

国宝「史記」の展示では、
漢文のレ点が様々なスタイルがあったことが紹介されていて、
興味深かったです。

この東洋文庫の来歴などは様々な物語があるようで、
改めて「東京人」を通して知りたいところです。
ともかくは日本に存在する貴重な珍しい
お宝本のお目見えにドキドキ、くらくらするしかなかったのでした。

ざっと見た後、友とランチの予定があったので、
三菱とゆかりのある小岩井農場が運営するオリエントカフェでの
文庫ランチはお預けし、コーヒーブレイクしてきました。
ゆったりとした店内は落ち着いたインテリアで
のんびりくつろげる雰囲気です。
次回はぜひランチがらみで訪問したいと思います。

それにしても、岩崎家のすごさ、モリゾン文庫を今のお金で
70億円を出して買ってしまえる迫力に恐れ入ったのでした。

一度はあのモリゾンの祭壇を鑑賞する価値は大きいはずです、ぜひ!

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2 コメント

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Unknown (すぴか)
2011-12-21 20:41:55
こんばんは。
ほんとカメラOKというのはいいですね。うまく撮れなくたって、楽しみ倍増です。
あの奈落の底の様なところ、よくカメラ向けられましたね、分かっていてもとても怖くて、見るどころの騒ぎではありませんでした。
文庫はいろんな仕掛けがいっぱいあって、隠し文字のような所も分かってしまうと、一つひとつ足を止めて見られますけど、、エレベーターもあるのですが、のせていただいてびっくりでした。あの光悦本の徒然草の美しさに、ぼうっとなりました。
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すぴか さま (あべまつ)
2012-01-02 15:00:40
新年おめでとうございます。

すっかりお返事が遅くなり恐縮致します。
東洋文庫の暗闇の深さが最大の魅力でしょうね~
エレベーターに乗りに行かなくては!

本年も拙きあべまつをよろしくお願い致します。
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