阿部ブログ

日々思うこと

レアアース大国 中国と日本

2010年07月14日 | 日記
レアアース大国・中国と日本

「中東には石油があり、中国にはレアアース(以下、REE)がある」と1992年の南方視察の際に小平は語った。事実、国際REE市場における中国のシェアは80%以上を占めており、我が国はREEの世界需要の半分を占め、その輸入先は殆ど中国からの風化花崗岩に頼っているのが現状である。その中国の工業情報化部が『2009~2015年希土工業発展計画改訂』を策定中であると8月17日、中国有色網が報道した。内容は毎年の輸出総量規制(3.5万t/年)とDy(ジスプロシウム),Tb(テルビウム)他3種類のREEの輸出禁止を検討していると言うもの。これらREEがないと話題の電気自動車のモーターなどが製造出来ない。昨年、中国政府は、輸出許可証の発給先を半減させ、さらに自国の自動車産業育成などのため輸出税を0~10%だったものを20%~25%に引き上げている。このREEの輸出規制は今後も強化されるのは間違いない。これを受け1990年代に安価な中国産のREEの流入により閉鎖されていたMolycorp Minerals社の鉱床(米国)が採掘再開に向けて準備を始め、8月12日付日経の報道の通り住商・豊田通商などが、脱中国に向けて対応を始めている。三井物産はどうすべきか?REEの問題は資源の偏在性にはない。REEの問題は偏在性よりもREE分離など中間工程の中国企業の寡占にある。REE分離は、原鉱石から磁力や浮遊などで選鉱し,希土精鉱にしてから焙焼・酸浸出などで化学処理した後,混合希土酸化物を得る。これを溶媒抽出で希土類酸化物の分離品にして,溶融塩電解で希土類金属にする。こうした工程は,実は中国企業が大部分を担っている。しかも中国政府主導によりREE企業は大手4社に再編(包鋼稀土、五鉱有色、中国有色鉱業、江西銅業)されようとしており、脱中国と言いながらREE分離工程は中国企業となっては真の調達多様化にはならない。

REEの採掘からREE分離・加工・輸送・販売など総合商社の総合力を活かした一貫したソリューションを提供するべきである。REE分離については信越化学工業が先駆的にREE分離精製工場を福井県に20億円かけて建設しており、こうしたノウハウ・技術を有する企業との幅広い連携により、他国の動向に左右されない、我が国先端技術産業の安定的かつ持続的な発展に寄与する事ができる。
以上

※米国は国家安全保障の観点から、中国以外で軍事用途に耐えうるチタンの新たな供給先を見つけることが国防高等研究計画庁(DARPA)の最優先課題となっている。

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