阿部ブログ

日々思うこと

米国におけるITプロジェクト改革と日本の現状

2011年01月27日 | 日記
我が国においては、システム開発プロジェクトの80%は失敗すると言われるが、このような実情は米国なども同じ様相を呈しており、特に米国政府は、あまりにも多くのシステム開発プロジェクトが予算オーバーとスケジュールをを大幅に超過するなどの実情を問題視しており、この抜本的改善に本格的に取組みを始めている。

オバマ大統領就任後、公的機関の積極的な情報公開・情報提供政策である「オープンガバメント」の動きが加速した結果、ホワイトハウスのHPに「Office of Management and Budget Blog」が立ち上がり、この中で「Driving IT Reform: An Update」として、米国政府自身がシステム開発プロジェクト全体の問題解決に対し、3つの対応策を立てた事が表明されている。
第1の対応策は、米国連邦政府初の連邦CIOであるVivek Kundra氏自らが、今後政府にとって重要度の高いシステム開発プロジェクトについて詳細なレビューを行う。第2の対応策は、連邦財務システムの現代化プロジェクトが、過大な予算超過とスケジュールオーバーでシステムのリリースの予定が立たない為、このシステムの開発作業を全て停止し、詳細レビューを行った。
このように連邦CIOによる開発プロジェクト自体をキャンセルしたり、優先順位の変更やプロジェクト全体のスコープを見直すことで事態を改善する。第3は、連邦政府全体のシステム調達とシステムの利用について抜本的に全体戦略を見直す。
つまり、システム開発を現状の情報通信分野でのテクノロジーサイクルに合わせ、且つ連邦CIO直接関与によるプロジェクト・マネジメントの強化、また米国内の情報通信産業コミュニティとの協調・連携深化を行うとしており、特記すべきは「クラウドファースト」を来年度のシステム調達のポリシーに加え、2015年までに連邦政府のデータセンター利用率を40%削減し、可能な限りクラウド・u桙ナのシステム利用を促進する点。

これにくらべ日本政府に関しては一時期「霞ヶ関クラウド」が騒がれたが、政権交代後このクラウド構想は進捗していない。但し、地方自治体は財政が極めて厳しい状況にある為、「自治体クラウド」または複数の自治体によるシステム共同化が徐々に進んでいるが、米国のように連邦CIO主導によるシステム開発プロジェクトのキャンセルなどドラスティクなIT改革の実行は、国内ITベンダーの収益源が公共分野に偏っている状況とITの専門家が不在である事もあり日本政府機関においては、実現が極めて実現が難しい。このような分野での政治主導が本当は求めれるべきではないか。

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