阿部ブログ

日々思うこと

ワイヤレスネットワーク

2012年07月11日 | 日記

従来、技術開発は進んではいたものの産業的な出口が見えにくかったセンサ系はスマートグリッド・スマートメータや環境負荷低減といった産業システムへの適用が世界全体の傾向として少し見えてきた。
これは欧州のFuture Internetや中国の物聯網(ウーレンワン=Internet of Things)、そして韓国のIT839の一部にも現れている。産業システムとしてシステムを構築し、運用するためにはワイヤレス技術とネットワーク技術そして情報システムを連結させ、様々なサービスに共有する部分(たとえば、サービス発見、データ設定・取得の手続き)を情報プラットフォームとして共通化して構築することが重要である。

ワイヤレスネットワークは従来、無線アクセス技術で縦割りになっていたが、音声通信サービスやインターネットアクセスサービスなどのサービス指向でネットワークアーキテクチャを構築、再編成することが重要と思われる。

ワイヤレスネットワークは、中国(2008-2009は1億人/年で増)やインド(2008-2009は1.8億人/年で増)における携帯電話サービスの急激な立ち上がりに加えて、日欧米におけるスマートフォン普及(日欧では新規加入の20%以上がスマートフォン、米国では30%)とともに市場が急拡大している。
スマートフォンや高機能携帯電話からの発生する大量通信トラヒックを処理するため、無線アクセスネットワークの大容量が急がれている。我が国でNTTドコモ、au、 softbankの3大キャリアが同様にLTE利用を表明しているように、既存大手キャリアは、3Gとのマルチモードでチップが提供されるため共用端末が作りやすく、国際的な周波数をすべてカバーしている(マルチチャネル)LTEを選択する。また国際標準であるLTE-A(rel10)、 IMT-A(4G)へのロードマップができていることも強い。

従って、今後は日本や欧米のような先進国では、LTEへの投資が進行していくが、エリクソン、アルカテル・ルーセント、ノキア・シーメンスネットワーク、Huaweiなどのグローバルベンダの設備投資は、人口の割にはまだ広がっていない南アジア、アフリカを中心に進んでいくことになろう。

3G、LTE、 4Gのオペレーションを先行している日、欧、米のキャリアは、長い目で見ると、後発国がLTE、4Gの時代になる際に、ノウハウ提供等で優位に立つことができる。特にLTEが共通のアクセス技術として広がって来た時には、キャリア毎の差異化はベアラサービス以上のアプリケーションのサービスプラットフォームおよび、churn防止のためのカスタマサービス・運用保守となろう。
だが欧米では、まだ8割程度の収入が音声通信であり、データによるビジネスモデルに不慣れである。データ通信先進国の日本キャリア・ベンダはその点で優位と考えられる。

既にNTTドコモ、KDDI、SBMが半分程度の収入をデータで稼ぎ出していることは世界でも先駆的なビジネスモデルといえる。しかし必ずしも、増収・増益に直接つながらない点が問題である。
基本的には加入あたりの収入(ARPU)は激しい競争の結果、減じていることが実状である。

今後は、①LTEの即応性、②高速通信を利用した、たとえばITSなどのM2M通信など、いわゆるインターネットアクセスでない領域での端末認証、データ収集、制御などの領域までキャリアが取り込んでいく可能性が高い。

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