阿部ブログ

日々思うこと

ソマリア沖における違法操業と放射性廃棄物などの海洋投棄 それと環境マフィア

2012年06月15日 | 日記

ソマリア沖に出没する海賊に起因する事件は、2008年111件だったものが、2011年には237件に達している。この海賊問題の背景には、ソマリア沖における大型外国船による違法操業があると言われる。

ソマリアが内戦状態に陥って無政府状態に陥った1992年以降、中国、ロシア、イギリス、フランス、イタリア、韓国、それと日本などの外国の大型漁船がソマリア沖に不法に侵入して豊かな漁業資源を略奪しているとされる。この実態は公海タスクフォースが調査し、例えば2005年には約800隻の大型漁船が違法操業し、4億5000万ドル相当の被害が生じていると報告している。また外国の大型漁船はソマリア漁民の船を破壊したり、魚網を切るなどの違法行為を犯しているとも指摘している。
当然の事ながら自己防衛の為、武装し漁業資源を守ろうとするが、無政府状態から現在に至るまで漁民の一部は中国製の兵器などで武装する海賊となっている。

ソマリアの漁民は国際社会に不法漁船の取締を要請したが無視され、反対に国連安全保障理事会は、通商航路の安全確保の為として国連決議1816と1838を採択し、ソマリアの武装化した漁民に対し武力行使を認めると言う事となった。
これに対し、ソマリアの救国民主戦線の暫定議長は、何故ソマリア沖での外国漁船による漁業資源の乱獲と言う問題を放置したまま、これに何の対処もせず、ソマリアの漁民に海賊と言うレッテルを貼るのか? 外国漁船による乱獲こそが海賊行為であると強い疑問を呈している。

ソマリア沖での問題は、漁業資源の乱獲以外に留まらない。産業廃棄物と医療廃棄物の海洋投棄が大きな問題となっている。この契機となったのは、004年12月のスマトラ沖の巨大地震。
この地震でソマリアにも津波が押し寄せたが、この時の津波により長年にわたり海洋投棄された続けたゴミがソマリアなど東アフリカ一体に打ち上げられることとなった。この中には放射性廃棄物も含まれ、産業廃棄物や医療廃棄物に含まれる有害物質の影響でソマリアでは、地震と津波の被害以外に約300人が死亡したとされる。

このソマリア沖での廃棄物の海洋投棄については国連環境計画の報告書にも取り上げられ1980年代から継続してウランなど放射性廃棄物、鉛、カドミウム、水銀などを含む産業廃棄物と医療廃棄物が投棄されていると報告している。
この背景にはEU指令による廃棄物管理の強化がある。EU域内で廃棄物を処理するのには1トン当たり1000ドル相当かかる所、ソマリア沖に海洋投棄すれば2ドル50セントですむという。
特に放射性廃棄物については各国がその処理に困っており、1992年には180バレルの放射性廃棄物を積んだ大型船をイタリア南部の地中海で意図的に爆破し沈没させるという事件も発生しており、問題の根深さが窺える。

日本漁船もソマリア沖で違法操業しているとすれば、放射性物質や重金属類を内蔵に秘めた魚介類を、知らずの内に我々も食している可能性が高い。何れにせよ産業廃棄物や医療廃棄物の海洋投棄については、ソマリアに限らず、世界の至る所で行われている可能性が高い為、世界的な連携のもと何らかの監視システムが必要である。

だが、最も優先させるべきは、環境マフィアへの対策だ。ロシア、東欧、EU域内、特にイタリアのマフィア。イタリア南部で活動するカモッラ・グループやヌドランゲタ・グループが特に悪質である。
今、イタリア南部ではトルコ・リラが流通し、イタリア・マフィアのハンニバル化が進んでいる。

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