阿部ブログ

日々思うこと

日立製作所会長の東京電力ホールディングス会長就任の背景〜国内原子力事業の統合に向けた1歩〜

2017年05月02日 | 雑感

原子力関係者によると加圧水型原子炉PWRの再稼働は、ほぼ決まりで、九州電力の玄海原子力発電所3号機、4号機の再稼働が決まった。今後はPWRの再稼働が進むだろう。問題は沸騰型原子炉BWRの再稼働問題だ。東京電力・福島第一原子力発電所のBWRは全基廃炉だが、残り23基あるBWRのうち老朽化した原子炉を除くと再稼働できるのは15基程度か。
BWRを抱える電力会社は4社で、これらBWRの面倒をみるのは東芝と日立製作所。PWRは、三菱リージョナルジェットで苦戦する三菱重工が面倒をみるが、3社とも原子力技術者の確保・維持が困難になりつつある。特に原子炉ではないが、技術者の高齢化(老朽化)が問題になりつつある。東芝の50代の原子力技術者は、会社は大変な状況だが、個人的には仕事が今後も続く事を確信しており安心していると語っている。しかし、今の熟練技術者の跡を次ぐ若手技術者の育成が重要で後継者育成に力を入れてもらいたいものだ。

今後、BWRを抱える電力会社4社は、BWR連合を形成するだろう。電力会社のBWR連合の動きに伴い東芝と日立製作所も必然的に原子力事業の統合・連携を深化させざる負えないし、そうするだろう。GEのイメルトCEOは原子力事業へのネガティブコメントを続け、また撤回するなどを繰り返しているが、本音は原子力事業からの撤退だろう。GEは原子力事業は国家事業であるとの認識で、今後も積極投資することはない。
GEはともかく、国内の原子力事業をどうするのかが問題で、BWRやPWRの区別をなくして、国内3社(東芝、三菱重工、日立製作所)の原子力事業統合に向け動き出す契機が、BWR連合の形成である。三菱重工も原子力事業の統合に異論はない。

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