阿部ブログ

日々思うこと

首都圏における核事故の可能性

2010年11月05日 | 日記
米空軍スペース・コマンド の発表によると、ノースダコタ州のマイノット空軍基地からミサイル部品を運んでいたトレーラーが横転する事故があった。幸いなことに核弾頭部分は運搬していなかった。このような事故は昨年7月にも起きており、ロケットブースターを輸送していたトラックが砂利道で脱輪した事故が発生している。
また2007年9月には核弾頭を装着したままの巡航ミサイル6発を空輸すると言うミスも発覚している。核に係わる事故は米軍再編による部隊異動もあり、今後も起る可能性が高い。

我が国においても核物質の輸送に関する事故は、1972年から99年の間で9件発生している事実はあまり知られていない。更に神奈川県が全国で1番核燃料輸送が多い県であることは更に知られていない 。これは横須賀に日本最大の核燃料加工会社グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパンの工場があるためで、この工場では全国の原発で使用する核燃料の半分にあたる750㌧U/年を成形加工している。この工場からジルカロイ合金に被覆された核燃料棒を積んだ輸送車が、3日に1度の頻度で全国の原発に輸送されている。

原子力資料情報室のシミュレーションによれば、交通事故により横転して核燃料物質が漏洩・大気中に放出されれば、幅2km×長さ10kmの範囲は約1時間で放射性物質に汚染されるとしている。首都圏における核関連施設は、東芝の原子力技術研究所(川崎浮島)の臨海実験装置(熱出力200kw)と同研究炉管理センターの原子炉(100kw:廃炉)、及び立教大学(横須賀)の原子炉(100kw:廃炉)がある。

これらは原子力災害対策特別措置法の適用施設であるが、この法律の適用外施設としては、川崎市麻生区に旧武蔵工業大学の原子力研究所と日立製作所の原子力事業部の王禅寺センター(廃炉)の2つの施設が現存する。

また規模は小さいが東京都内にも核燃料を管理する東京工業大学(目黒)の核燃料貯蔵管理室がある。BCPと言うと首都圏直下型地震や致死性ウィルスの蔓延などが一般的だが、政治経済の機能が集中する首都圏でも東海村の臨界事故以上の核災害が起こる可能性を想定して、計画を立案し対策を施す必要があることは十分に認識されなければならない。

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