フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

多言語使用は言語管理の一般ストラテジーである

2007-03-05 23:50:27 | research
今日は社文研プロジェクト報告書の校正を終え、印刷会社に手渡すことが出来ました。今週中に仕上がるとのことです。たぶん、言語管理研究会の研究発表会に持って行けると思います。乞うご期待。

それ以外はずっとここ数日考えてきた5月の多言語使用者についての発表のポイントをまとめる仕事をしていました。多言語社会についての研究会や文献を探してみたり、ネウストプニーの諸論文を読み直したりしましたが、なかなかぴんと来ません。ところが、5時を過ぎて帰ろうとしたときに、break throughがありました。重要なのは、多言語使用であって、多言語使用者ではないということ。そして多言語使用を選択するということ自体は言語管理の一般ストラテジーであるということが見えたのです。何のことかわからないと思いますが、いったんbreak throughが起こると、それまで考えてきた断片的な理解がすっと関連性をもって見えてくるものです。これはかなり快感です。

要するに、多言語使用が起こっている人というのは、その状態を選択したわけです。同じ言語環境にいても、多言語ではなく、相手言語のみに向かう人もいれば、母語使用に引っ込んでしまう人もいるわけです。ですから、多言語使用は少なくとも現代の日本社会においては自然な現象ではなく、意識的に選択したこと、つまり言語管理なのだと思います。

自分のおかれた言語環境とインターアクションの目的の設定の仕方によって、どのような言語使用の様態を選ぶか、このレベルの選択をここでは一般的ストラテジーと呼びたいと思います。
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