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フクロウは夕暮れに

接触場面研究の個人備忘録です

日本語での誘い

2007-11-30 23:58:21 | today's seminar
秋も深まり、風も強くないのに、しきりに枯れ葉が舞います。

今日は学部ゼミでは3年生の予備調査報告の第1回です。勧誘と非言語の発表があり、ものすごく頑張る人たちで、何と10頁のレジュメ(長すぎ!)を書いてきてくれました。どちらも面白かったのですが、知り合い同士の日本人学生と留学生で、留学生から自然な勧誘をする場面のほうが考えさせられました。

というのも、どの会話でもいつ、どこでという具体的な約束が行われていなかったのです。その点を学生達に聞いてみると、これはやはり第1段階の誘いであって、もし本当にどこかに一緒に行くなら第2段階で、具体的に日取りを決める話があると言います。つまり、予告の勧誘なのです。

彼らの勧誘はとても微妙なもので、まず勧誘も間接的な「今度、いっしょに飲みに行かなきゃね」というようなもので、それに相手が「そうだね」とまずは応答したところで、予告の勧誘が終わり。そこからしばらく経って会ったときに、もう一度その話が出てきたら、これは本気なんだと思って具体的な第2段階が始まるのだそうです。

勧誘談話の研究では、まずはその第2段階をデータ収集するし、ロールプレイでもその部分をさせることが多いのですが、じつは日本語(特に若者?)では予告の勧誘という段階があって、その部分にこそ日本語の特徴的な勧誘が示されている、そんなふうなことを考えたのでした。
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BH合宿その5

2007-10-02 22:38:54 | today's seminar
最後は、2日目午前に行った「夢のプロジェクト」の様子。新しく建てられたパビリオンで行いました。しかし、この後、雨が降り出す...
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BH合宿その4

2007-10-02 22:37:33 | today's seminar
これは晩餐と朝食をいただいた食堂のようす。Buffeですが、とてもおいしかったです。テーブルマナーは守れたかな?
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BH合宿その3

2007-10-02 22:36:07 | today's seminar
この写真は第1日目の夜にしたパネル発表。両大学の4年生と、千葉の3年生二人が個人発表をしました。それぞれ4~5人が聞くようにしたのですが、これは意外によかったかな。
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BH合宿その2

2007-10-02 22:34:06 | today's seminar
BHの宿舎Wrenの部屋からの眺め。橋を渡って左に行くと、石造りの屋敷が見えてきます。そこがBHの中心の建物で、左翼にスポーツ施設、右翼に食堂とパブとお店があります。
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BH合同合宿その1

2007-10-01 23:26:41 | today's seminar
じつは先週の土日は神田外語大のお世話になって、福島のBritish Hillsをお借りして、神田外語大のゼミと千葉大のゼミの合同合宿をしてきました。British Hillsは、山の上の広大な敷地に、石造りの屋敷と、その周りにイギリスよりもイギリスらしい木造の宿舎が立ち並ぶところです。英語研修などもたくさん行われています。そこをお借りして、総勢31人(教師3名も含む)で、1泊2日の合宿をしてみたわけです。

この合宿は英語コースの枠組を利用させてもらっていて、まず到着すると、イギリス人によるBritish Hillsの紹介と鍵の受け渡しが行われますし、晩餐の前にはテーブルマナーの講習会もあります。合宿は土曜日の夜は研究のパネル発表、日曜日の午前中はグループで「外国人との共生を目指す夢のプロジェクト作り」というテーマで話し合いをしたりと、結構充実した2日間でした。

夢のプロジェクト作りは、British Hillsならぬ、World Hillsという体験型のいろいろな国の文化体験が出来るというプロジェクトが優勝で幕を閉じました。2000円の買い物券を賞品としたのですが、彼らは自分たちで使うのではなく、売店まで行ってみんなのためのチョコを買ってきたんですね。これは偉いです!

残念ながら昼頃から雨になってしまい、周りの自然の散歩は出来なかったけど、いつもとはちがったメンバーで話し合ったのはいい経験になったのではないかなと思います。

明日は何枚か写真を載せますね。今日のところはこのへんで。
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Neustupny (1985)を読み終わる

2007-07-11 23:51:50 | today's seminar
今日の大学院授業でようやくNeustupny(1985)の村岡訳を読み終わりました。やはり印象は圧倒的です。もちろん、この論文では訂正理論correction theoryが全面に出ており、調整と訂正がほぼ同じ意味で使われていたりしますが、Masumi-Soさんの借用語の研究、Marriottさんの日本人女性の英語場面研究、Asaokaさんのパーティー場面の研究を縦横に駆使しながら、新しい接触場面の理論を構築していきます。とくに次のような文は、昔から目から鱗が落ちる思いをしたところです。

「このフォリナー・トークという概念は確かに極端なほど役立つ道具である。しかしながら、もし私たちが一つ一つ段階を進んでいき、フォリナー・トークを単に簡略化以外の訂正過程を含むように拡げ、さらに語の狭い意味での言語以外の行動にも拡げていくなら、結局、フォリナー・トークは単純に「接触場面における母語話者による訂正」と同義になるのではないだろうか?」

読み終わってから、さらに借用語について話題が出ました。メルボルンに住む日本人同士が日本語で話しても英語からの借用がたくさんあるという話から、日本でも中国人同士、ベトナム人同士では、やはり日本語が借用されるという話です。それも「あいさつ」がよく日本語で行われるという話が盛り上がりました。スリランカ人同士ではそんなことはないと学生が言うのですが、じつはシンハラ語母語話者同士での挨拶は英語からの借用で行われるのです。さらに日本語を借りる必要はないのでしょうね。こんな例外からも、どうやらあいさつは借用されやすいことがわかります。
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学部でNeustupny (1994)を読む

2007-06-29 23:48:40 | today's seminar
梅雨らしい、ほとんど初めての日。

第2言語習得論演習では4月から広大の迫田さんの第2言語習得研究でまずは第2言語習得研究のイロハを押さえた後、5月半ばは真田他の『社会言語学』で阪大の渋谷さんが書かれた「第2言語習得」の章でコミュニケーション能力の習得の導入としました。その後、ネウストプニーの阪大時代の日本語で書かれた「言語管理と日本語教育」「第2言語習得プロセスと言語管理」の2本の論文で、さらに習得のプロセス研究の紹介をしています。今日はその後ということで、いよいよ、本丸のNeustupny (1994) に入ったのです。

"Problems of English contact discourse and language planning." In Kandiah, T. and Kwan-Terry, J. (ed.), English and language planning: A Southeast Asian contribution. pp.50-69, Singapore: Academic Press.

まあ、研究者にとっても難しい論文なので、どの程度出来るかと思っていたのですが、1本ぐらいは英語論文を読んでもらいたかったので、みんなで分担して紹介してもらいました。概念や研究の流れなどわからないことが多かったのですが、2年生、3年生ならそれもあたりまえです。しかし、英語そのものについては意外によく大意をとっていました。「これは前代未聞の出来だよ」と誉めましたが、まんざら嘘ではないのです。というわけでこれから機会があれば英文の論文をちょくちょく読ませようかなと思う今日の出来事でした。
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日本語授業は何のためにあるか

2007-06-25 23:09:18 | today's seminar
やや悪者風。

柄にもなく、日本語授業演習の一部を今年は担当していて、実習がもう始まっている。今日は教案検討をしながら、どのようにすれば学習者に学ぶ機会を作れるかを考えてもらおうと学生達を刺激していた。

もちろん学生達は文法を教えるということだけに関心がいってしまっているから、その教える行為が果たして学習者まで届くのかどうかというところまでは頭が回らないわけだ。

たとえば、助数詞や序数詞。<りんごが3つあります>。助数詞や序数詞がどこに置かれるかが日本語と同じ言語(韓国語、シンハラ語)と、違う言語(中国語、ベトナム語、英語)がある。<3つのりんごがある>と言いたい学習者もいるはず。でもね、その誤用の問題だけじゃなく、この語順が違うってことがお互いにわかると面白いだろう?それにさ、たとえばオーストラリアなら買い物の時に1個、2個なんて数えて買わないぜ、1キロ、2キロなんだよ。こんなのだってお互いにわかったら面白くないか?

要するに一方的に教えるだけじゃ授業なんかする必要はないんじゃないのかな。だって、君たちが教える内容ならちゃんと教科書にも解説書にも書いてあるわけだから。お互いの違いや類似を理解して共感するのが授業じゃないかな。そんな興味や関心の感情の波といっしょにことばが片方から片方に伝わるように思うんだよ。

...そのあと、学生と丁々発止のやりとりもあったりして、なんだかゼミらしかったのでした。久しぶりの丁々発止、みんなまたやろう。
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逸脱、違反、不適切さ

2007-06-13 23:18:19 | today's seminar
今日から大学院では、Neustupny (1985) Problems in Australian-Japanese contact situationsを読み始めました。2年ほど前に学生達と翻訳をしたことがありましたが、全部のファイルが見つからないので、不足分を自分で翻訳を作って、それをもとに読むことにしました。

この論文は、contact situationという用語が初めて全面に出てきた論文で、言語管理理論の初期段階のモデル(訂正理論)が検討されている重要なものです。

そこで興味深いのは、
1)基底規範からの逸脱がある
2)留意された逸脱は違反と呼ばれる
3)違反は否定的に評価されると不適切さと呼ばれる
4)不適切さは訂正的調整の計画の段階に移り、
5)訂正的調整が実施される
というように現在の言語管理プロセスと用語が違うことです。

上のように1985年の論文に見られる「違反」と「不適切さ」という評価的な用語は捨てられて、1994年の論文では留意、評価という中立的で認知的な概念が全面に出ているところが、大きな違いです。1994年の論文では、こうした変更について、逸脱を肯定的に評価することもある、という事実から、単に訂正の理論ではなくて、管理の理論として拡大すべき点を主張します。

ここにはすでに管理が、問題解決だけでなく、解決できない問題の管理という課題が射程に置かれていることが分かります。

ただし、「違反」と「不適切さ」は消えていますが、同じ問題解決、訂正的調整の流れを汲む「逸脱」という概念は消えていません。そして同様に、昨日の話題に出した私の論文の言葉を使えば、コミュニケーション・リソースとしての問題という肯定的な態度については、1994年の論文ではまだその考察の範囲に入っていないのです。

この肯定的な態度を範囲に入れるためには、どうやら、「逸脱」という概念を検討していく必要がありそうです。
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