◎ユンカース Ju52と映画『意思の勝利』
今月四日、スイスのJuエアが運用する航空機・ユンカース Ju52/3mg4eが、アルプス山脈のピーツ・ゼーグナスに墜落し、乗員乗客二〇人全員が死亡した。
私は、このニュースを、東京新聞の記事「太郎の国際通信」(執筆は木村太郎氏)で知った(今、その新聞が見つからないので、掲載日等が確認できない)。
その日の「国際通信」で木村太郎氏は、ユンカース Ju52というのは、一九三〇年代に開発された古い飛行機で、それが今でも使われていたことに驚いたと書いていた。また、レニ・リーフェンシュタール監督が製作した、ナチ党の記録映画『意思の勝利』(一九三五)の冒頭に、この飛行機が登場することを紹介していた。
『意思の勝利』のDVDは持っているが、まだ観賞したことがない。この「国際通信」を読んで、にわかに観たくなった。
映画の冒頭、クレジットに、「1934年 ナチス党大会の記録」、「1934年 9月5日」などとある。そのあとは、雲海のシーン。飛行機の操縦席から撮影しているらしく、前方のエンジンが見える。この撮影機も、たぶん、ユンカース Ju52であろう。
やがて撮影機は、雲の下に出る。ニュールンベルグの街並みが見える。古風で美しい高層ビルが、いくつも映し出される。中には、ハーケンクロイツがついた垂れ幕を下げているビルもある。
続いてカメラは、一機の飛行機を捉える。ユンカースJu52である。中央に一基、左右両翼に各一基、計三基のエンジンを積んでいる。機体の横に、D-2600という文字が見える。尾翼には、ハーケンクロイツ。これが、ヒットラー総統の搭乗機らしい。
さらにカメラは、道路上を隊列を組んで行進する人々を映す。おびただしい数である。党大会にむかう党員たちであろう。【この話、続く】