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礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

映画『理由』(1995)のテーマは夫婦の信頼関係

2017-03-28 06:05:31 | コラムと名言

◎映画『理由』(1995)のテーマは夫婦の信頼関係

 数日前に、ビデオで『理由 Just Cause』(ワーナーブラザーズ、一九九五)という映画を鑑賞した。概略、こんな話である。

①ハーバード大学法学部教授を務めるポール・アームストロング(ショーン・コネリー)のところに、まったく面識のない老婦人が尋ねてくる。この婦人は、孫であるボビー・アール(ブレア・アンダーウッド)の「冤罪」を晴らさんとし、ポールに再調査を依頼するために、わざわざ、フロリダからやってきたのだった。
②ポールは、この二十五年間、弁護士としての活動をしていないと言って、この依頼を断ろうとするが、婦人はなかなかあきらめない。
③ポールは、妻のローリー(ケイト・キャプショー)とも相談した上で、婦人からの依頼を引き受けることにした。その後、フロリダに赴いて、事件の再調査に着手する。
④妻のローリーは、ボビー・アールという人物を知っていた。かつて検事を務めていたころ、別の事件で、ボビーを起訴したことがあったのだ。しかし、ローリーは、夫にこの事実を隠したまま、ボビーの「冤罪」を晴らすよう、夫にすすめたのであった。
⑤ポール・アームストロングは、きわめて困難な状況の中で、精力的に調査をおこない、ついに、ボビーの「冤罪」を晴らすことに成功する。
⑥しかし、その直後、事態は急展開する。まったく予期しなかった形で、アームストロング夫妻、そして、その娘ケイティ(スカーレット・ヨハンソン)に、生命の危機が迫るのである。この危機は、実は、妻のローリーが、かつて、ボビーを起訴したことに由来するものであった。
⑦アームストロング一家に生じた生命の危機は、夫婦の信頼関係に生じた危機でもあった。しかし夫婦は、一家に生じた生命の危機を乗り越え、同時に、夫婦の信頼関係に生じた危機をも乗り越える。

 この映画を鑑賞しながら私は、日本のある高名な夫婦に生じた「危機」を連想しないわけにはいかなかった。面識のなかった人物Kからの強引な依頼を、夫人Aが引き受けることになる。夫人が、この依頼を引き受け、実際に動いてしまったことから、その夫Sに、思いもかけない形で「政治的生命の危機」が訪れる。想像するに、夫のこの危機は、「夫婦の信頼関係の危機」という一面も持っていたのではなかったか。

 映画の最後で、ポール・アームストロングは、保安官のタニー・ブラウン(ローレンス・フィッシュバーン)から、「これから大丈夫か」と尋ねられている。場面設定からして、保安官は、「あなたたちの夫婦の信頼関係は、これから大丈夫なのか」と尋ねていると判断できる。この質問に対し、ポールは、「心配ない」と答える。この映画で、最も印象に残るシーンであった。

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