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礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

安重根が、暗殺の決意を表明した漢詩

2013-12-02 04:38:02 | 日記

◎安重根が、暗殺の決意を表明した漢詩

 安重根は、明治一九〇九年(明治四二)一〇月二三日夜、伊藤博文暗殺の決意を表明した漢詩(漢文の歌)を作った。この歌は、早くから諸書に引用されており、今ではネット上にも見出すことができる。
いる。
 たとえば、「地球人宝塚10月号2009」には、次のような形で紹介されている(六行目に「此命」とあったが、これを「比命」に替えて引用)。

丈夫処世兮 其志大矣
時造英雄兮 英雄造時
雄視天下兮 何日成業
東風漸寒兮 壮士義熱
忿慨一却兮 必成目的
鼠竊○○兮 豈肯比命
豈度至此兮 事勢固然
同胞同胞兮 速成大業
万歳万歳兮 大韓独立
万歳万万歳 大韓同胞

 途中に、○○があるが、これは当時の公権力による伏字ではない。安重根が最初から、○○を使った形で、この詩を書きとめたのである。これについて安は、のちに、「丸丸ノ所ヘハ伊藤ノ二字ヲ書入レル考ヘデアリマシタ之ヲ明ケテ置イタノハ事成否ガ判リマセンカラデアリマス」と述べている(昨日のコラム参照)。すなわち、ここで伊藤の名前を出してしまうと秘密が洩れるなどして、ことの成否(暗殺の成功不成功)に関わるかもしれないと考え、あえて「伊藤ノ二字」を伏せたのである。
 したがって、この詩のオリジナルは、○○がはいった形ということになる。史料として引用する際には、この形で引用すべきである。ネット上に見出せるものは、○○の部分が「伊藤」となっているものが多いようだが、あくまでもそれは、編集された形であることに注意したい(その旨の注記がないものがほとんどなのは残念である)。
 さて、昨日みたように、ブログ「族長日記」2005・8・8には、「安重根の親筆とされている文書」が画像で紹介されている。
 この画像をみると、右半分の漢詩の六行目は、「鼠竊○○兮 豈肯比命」となっている。やはりこれは、「ホンモノ」と考えるべきであろう。
 ちなみに、左半分のハングルの文章を見ると、その六行目に、やはり○○がある。これが、右半分にある漢詩を、ハングルで表記したものであることは、ほぼ間違いないと思う。【この話、さらに続く】

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