礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

衛生新報社と伊藤尚賢

2013-12-17 08:38:31 | 日記

◎衛生新報社と伊藤尚賢

 一昨日のコラムで、衛生新報社編纂の『物理的健康増進法』(新橋堂書店、一九一七)という本を紹介した。その際、この本が、「家庭医学叢書」の第三七編であることを指摘するのを忘れていたので、ここで補足しておきたい。
 また、この本は、「衛生新報社編纂」となっているが、実際には、奥付に「編纂者」として名前が挙がっている同社編輯局の伊藤尚賢〈ナオカタ〉が「執筆」したものと、ほぼ推定されるということも補足しておく。
 ところで、この伊藤尚賢だが、今日では、ほとんど忘れられてしまった人物であり、生没年すらわからない。しかし、大正期を中心に、多くの著書を残しており、研究してみる価値のある人物ではないかと思う。たとえば、一九一六年(大正)に刊行された『実験有効民間療法』(新橋堂書店)などは、当時の「民間療法」を網羅的に紹介しており、史料としても貴重であるし、今日読んでも、なお有益な部分があるような気がする。
 ちなみに、同書において伊藤尚賢は、「衛生新報主筆、医士」を名乗っている。
 衛生新報というのは、おそらく衛生新報社が発行していた雑誌『衛生新報』のことであろう。国立国会図書館のデータによれば、一九〇四年(明治三七)一二月創刊で、一九一七年(大正六)六月に、第一九〇号が出ている。
 衛生新報社という出版社のことも、よくわからないのだが、明治・大正期における住所は、東京市日本橋区箔屋町〈ハクヤマチ〉一四番地で、この住所は、出版・印刷の老舗・丸山舎と同じである。衛生新報社は、丸山舎の別組織だったのかもしれない。衛生新報社は一方で、新橋堂書店とも関わりが深かったようで、雑誌『衛生新報』は、新橋堂書店から発売されているし、『物理的健康増進法』に限らず、衛生新報社編纂の本が、数多く、新橋堂書店から刊行されている。
 丸山舎、衛生新報社、新橋堂書店の関係について、あるいは伊藤尚賢という人物について、博雅のご教示を乞う。

コメント (1)
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