ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

「なんでわざわざ中年体育」(角田光代;文藝春秋)を読む

2020-07-17 22:20:26 | 読む

この本を読んでみたかったのは、スポーツ誌「Number Do!」にかつて連載されていたエッセーをまとめたものだと知っていたからだった。
誌上で率直な文章が、非常に読みやすかった。
単行本としてまとまったものがあるなら、ぜひ読んでみたいと思ったのだった。

筆者の角田光代氏は、運動嫌いと自ら書いている。
走ることも嫌いだと主張している。
その彼女が、運動嫌い、走るの嫌いと言いながら、東京マラソンをはじめ国内外でいくつものフルマラソンを走ったりしているのだから、たくましい。
本書ではマラソンが中心だが、そればかりではなく、トレイルラン、ヨガ、ボルダリング、登山などについてもチャレンジしたときのことが、書かれている。

彼女は、なぜ運動するのか?
これは、体力作りでもダイエットのためでもないのだから、面白い。
自分が「中年になってもできるかどうか」に、一番興味を引かれるからだそうだ。
そのせいか、読んでいて思うのは、行動力がすごい。
まずは、依頼があったものについては、やってみるということ。
あちこちに出かけて行きながら、運動体験を重ねている。
運動嫌いと言いながら、初めて体験した諸々の運動では、だいたいそれなりに面白さを見つけている。
そして、その時その時の、自分が見た情景、味わったもの、その時の偽らざる気持ちなどが、正直に表現されている。
そのあたりは、さすが物書きのエッセーだ。
マラソンの歩いてしまう時のことなどは、同様の体験をした私には特によく伝わってくる。
感じたことをありのままにわかりやすく書けるその筆力に、しみじみ感心してしまう。
23のエッセーを楽しく読んだ。

ところで、私はもはや中年ではない。
中高年といったら、その枠に入れてもらえるのかもしれない。

この本の締めくくりには、「中年体育心得8カ条」が書かれている。
・中年だと自覚する
・高い志を持たない
・ごうつくばらない
・やめたくなったら、やめる前に高価な道具をそろえる
・イベント性をもたせる
・褒美を与える
・他人と競わない
・活動的な(年少の)友人を作る


経験を通してシンプルに書かれているので、私も経験を通してうなずいてしまう。

「中年体育」の刺激を受けて、私も「中高年体育」を細々と続けていくことにしよう。

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