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懈怠による過料(商業登記の登記義務)☆商業登記

2015年06月09日 | 商業登記

懈怠による過料(商業登記の登記義務)☆商業登記

 

 

会社法施行(平成18年5月)から時間が経ち、最近は、登記懈怠になっている案件のご依頼を頂くことが多くなってきています。。。。。。。。

 

 

わんわん株式会社(取締役会設置会社)は、会社法施行と同時に任期を10年に伸長したとのこと

平成19年に取締役猫田猫吉の1名が死亡していて、そのまま放置

今回任期満了により、役員改選の登記をしたいとのことで来所、懈怠が発覚!!

過料の説明をした上で、取締役猫田猫吉「死亡」、その他全員の「重任」の登記申請

 ↓

代表取締役犬山犬男に過料通知!!!!

 

 

過料額は、裁判所の決定によるもので詳しくは不明。。。。。経験上、1年懈怠で2万~3万円が多い(1年11ヵ月で4万、8年3ヵ月懈怠で20万など)

 

*過料には「登記懈怠」と「選任懈怠」があり、どちらの方が過料額が多いとかは無いように感じるけど、詳細は不明。。。。

 

登記懈怠 → 変更事項が生じた(役員の選任決議はしっかりやっていた等)けど、登記することを忘れていたようなケース

 

選任懈怠 → 選任決議の必要がある(任期満了なのに、改選決議を長年行っていなかった等)にもかかわらず、選任決議自体を行っておらず、今回選任決議をしたから登記申請をするようなケース

 

 

株式会社にゃんにゃん(任期2年 取締役猪田真1名のみ 平成20年設立)

 ↓

設立後7年間、改選決議(もちろん登記も)をしていない

 ↓

平成27年6月、猪田真が死亡し、従業員であった水豚薫が会社を引き継ぎ、取締役へ

 ↓

*任期をイジる等のテクニック的なことは置いといて。。。。。。。。。

 ↓

次を登記(取締役・代表取締役)

平成22年○月○日 猪田真退任(任期満了による)

平成27年6月○日 水豚薫就任

 ↓

 

1.水豚薫は過料を支払わなければならないのか???

→水豚薫は、就任後すぐ自分の登記義務を果たしているため、過料に処せられない。登記義務を怠っていたのは、猪田真なので、過料対象は猪田真!

 

2.猪田真の相続人が、過料を支払わなければならないのか??

 →過料の対象は、義務を懈怠した個人であるため、相続人には引き継がれない。ただし、このケースは、登記に「死亡」の記載が入らないため、猪田真の住所宛に通知が届く可能性があり!その際は、相続人より異議申出てを忘れずに!!検察は相続調査を行っているとのことだが、詳細は不明。。。

 

 

 

そもそも、会社の登記事項に変更があった場合に、登記義務があること自体を知らない代表者の方が、結構いらっしゃいます。。。。。。。(>_<)

 

「設立登記を司法書士に依頼したが、その後の登記のことは何も説明を受けていない」

 

「行政書士に定款を作ってもらって、登記申請書類も全部作ってもらって(???)登記所に出しただけで、何も聞いていない」

 

などなど、関わった士業の方々。。。。自分も含めてもっと周知していきましょう!!!!

 

 

↓自分が関わらせて頂いた場合、説明する際にお渡しする文面例(設立用)

 

 

登記に関する注意事項

 

御社の取締役の任期は「10年」と定められておりますので、平成37年に開催される定時株主総会終了にて、取締役全員が任期満了することになり、改選決議が必要になります。

 

定時株主総会とは、毎事業年度の終了後、一定の時期に年に1回必ず開催される株主総会のことで、通常は、会社決算後3ヶ月以内に開催するべきとされています。

 

改選決議の結果、現在の役員構成から変更が無かった場合でも、変更登記は必要になります。

 

*「休業中」「重任」の場合でも、変更登記は必要になります。

 

法律上、会社の登記事項に変更が生じた場合は、2週間以内に変更登記を申請しなければならないと定められており、上記の任期満了による改選以外でも、「取締役を追加した」「代表取締役の住所が変わった」「取締役の氏名が変更になった」「役員が亡くなった」「本店を移転した」等、会社の登記事項に変更があった場合は、変更登記が必要になります。

 

*会社に変更が生じた場合、登記事項かどうかの判断が分からない場合は、お気軽にご連絡下さい。

 

この変更登記を怠りますと、100万円以下の「過料」に処せられることがあります。

 

*「過料」は行政罰で、刑法上の「科料」「罰金」とは違い、特に前科にはなりません。

*「過料」通知は、代表者の個人宅宛(会社宛ではない)に、裁判所から届きます。

*「過料」は、会社の経費・損失とすることが出来ません。

*法律上の登記義務を知らない場合でも、怠れば「過料」に処せられます

 

よって、

 

会社に変更が生じた場合、登記が必要になる場合があり、

その登記を怠りますと、過料に処せられることがありますので、

登記を忘れないようにお願い致します

 

以上

 

 

 

(不動産登記(建物表題登記を除く)の場合登記義務はないのに)

なぜ商業登記は、登記義務があると??

との質問を受けた場合、次のようにお答えしてます!

 

 

商業登記は、取引上重要な情報を、国が備えた登記簿に記載し、広く一般に公示することで、取引の相手方の安全を保護して、取引を円滑を図り、混乱が生ずることを未然に防ぐための制度になるので、変更事項が生じた場合、これを登記簿に反映させる必要があるからです!!

変更したにもかかわらず、過去の情報をそのまま放置していると、かえって取引の安全が害されてしまうことになるからです!!!

 

 

 

↓条文メモメモ%(^^)

 

 

会社法第915条(変更の登記) 

1 会社において第911条第3項各号又は前3条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、2週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない

 

会社第976条(過料に処すべき行為) 

発起人、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員、監査役、執行役、会計監査人若しくはその職務を行うべき社員、清算人、清算人代理、持分会社の業務を執行する社員、民事保全法第56条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役、執行役、清算人若しくは持分会社の業務を執行する社員の職務を代行する者、第960条第1項第5号に規定する一時取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役若しくは代表執行役の職務を行うべき者、同条第2項第3号に規定する一時清算人若しくは代表清算人の職務を行うべき者、第967条第1項第3号に規定する一時会計監査人の職務を行うべき者、検査役、監督委員、調査委員、株主名簿管理人、社債原簿管理人、社債管理者、事務を承継する社債管理者、代表社債権者、決議執行者、外国会社の日本における代表者又は支配人は、次のいずれかに該当する場合には、100万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

1 この法律の規定による登記をすることを怠ったとき

 

 

非訟事件手続法第120条(過料についての裁判等) 

1 過料についての裁判には、理由を付さなければならない。

2 裁判所は、過料についての裁判をするに当たっては、あらかじめ、検察官の意見を聴くとともに、当事者の陳述を聴かなければならない。

3 過料についての裁判に対しては、当事者及び検察官に限り、即時抗告をすることができる。この場合において、当該即時抗告が過料の裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。

4 過料についての裁判の手続(その抗告審における手続を含む。次項において同じ。)に要する手続費用は、過料の裁判をした場合にあっては当該裁判を受けた者の負担とし、その他の場合にあっては国庫の負担とする。

5 過料の裁判に対して当事者から第三項の即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消して更に過料についての裁判をしたときは、前項の規定にかかわらず、過料についての裁判の手続に要する手続費用は、国庫の負担とする。

 

 

非訟事件手続法第122条(略式手続)

 

1 裁判所は、第百二十条第二項の規定にかかわらず、相当と認めるときは、当事者の陳述を聴かないで過料についての裁判をすることができる。

2  前項の裁判に対しては、当事者及び検察官は、当該裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、当該裁判をした裁判所に異議の申立てをすることができる。この場合において、当該異議の申立てが過料の裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。

3  前項の異議の申立ては、次項の裁判があるまで、取り下げることができる。この場合において、当該異議の申立ては、遡ってその効力を失う。

4  適法な異議の申立てがあったときは、裁判所は、当事者の陳述を聴いて、更に過料についての裁判をしなければならない。

5  前項の規定によってすべき裁判が第一項の裁判と符合するときは、裁判所は、同項の裁判を認可しなければならない。ただし、同項の裁判の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。

6  前項の規定により第一項の裁判を認可する場合を除き、第四項の規定によってすべき裁判においては、第一項の裁判を取り消さなければならない。

7  第百二十条第五項の規定は、第一項の規定による過料の裁判に対して当事者から第二項の異議の申立てがあった場合において、前項の規定により当該裁判を取り消して第四項の規定により更に過料についての裁判をしたときについて準用する。

8  前条第四項の規定は、第一項の規定による過料の裁判の執行があった後に当該裁判に対して第二項の異議の申立てがあった場合において、第六項の規定により当該裁判を取り消して第四項の規定により更に過料の裁判をしたときについて準用する。


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