時効取得による登記(判決・前提としての相続登記・分筆登記)☆不動産登記
給付判決(移転する土地の位置・形状が図面で特定されたもの)に基づいて、時効取得の前提として、債権者代位にて、分筆登記申請可能
*確認判決では不可
代位による分筆するためには、代位原因証書(今回は給付判決書)に分筆する部分が明らかになっている必要あり
【債権者代位による分筆登記の申請書に添付する代位原因を証する書面】
(登研578号)
要旨 所有権確認判決を債権者代位による分筆登記の申請書に添付する代位原因を証する書面とすることはできない。
問 1筆の土地の一部を時効取得した者が、所有権移転登記請求権に基づいて債権者代位により分筆登記の申請をする場合には、代位原因を証する書面として、所有権移転登記手続を命ずる給付判決(移転する土地の位置・形状が図面で特定されたもの)を添付すべきものと考えますが、所有権の範囲が明らかにされていれば、所有権の確認判決であっても差し支えないものと考えますがいかがでしょうか。
答 消極に解します。
【代位による分筆登記の代位原因証書】(登研241号)
代位による分筆登記の代位原因証書には、分筆する部分が明らかにされていることを要する。
【時効による所有権移転登記の前提としての相続による所有権移転登記の要否】
(登研355号)
要旨 判決に基づき、取得時効を原因として所有権移転登記をする場合、時効の起算日前に登記名義人が死亡しているときは、当該移転登記の前提として、相続人名義とする所有権移転の登記を要する。
問 登記簿上、丙・丁の被相続人乙(昭和29年5月1日死亡)名義となっている物件につき、「相手方ら(丙及び丁)は、申立人(甲)に対し別紙目録記載の土地について時効取得(昭和31年6月20日が時効の起算日)により申立人のために所有権移転登記手続をせよ。」との調停調書に基づき、甲が単独で当該登記を申請する場合、まず、甲は、丙及び丁に代位して相続による所有権移転の登記をすべきと考えるがどうか。
答 御意見のとおりと考えます。
【時効取得による所有権移転登記の原因日付】(登研244号)
判決の主文又は理由中に、取得時効の起算日の日付で明記されていない場合の登記原因及びその日付の記載は、「年月日不詳取得時効」と記載する。
【時効による所有権移転登記の前提としての相続による所有権移転登記の要否】(登研455号)
時効の起算日前に、土地所有者乙が死亡し、その相続登記が未了の場合には、甲の時効取得による所有権移転登記の前提として乙の相続人への相続による所有権移転の登記を要する。
【相続開始前に完成した時効取得を原因として時効取得者と相続登記後における登記名義人からの所有権移転の登記の可否】(登研401号)
取得時効の完成した農地につき、その時効完成後に開始した相続による所有権移転の登記がされている場合、時効取得者を登記権利者とし、相続人である所有権登記名義人を登記義務者とする時効取得による所有権移転の登記は、受理される。
【登記名義人が死亡している場合の時効取得による所有権移転登記の申請人】(登研401号)
取得時効による所有権移転の登記に当たって、所有権登記名義人(A)が死亡している場合の登記手続は、時効取得者と所有権登記名義人の相続人(B)との共同申請による。
*昭和55年11月14日A死亡
*時効取得の効果の起算日 昭和35年8月18日