隠居と家督相続(隠居者が隠居後に取得した財産)☆不動産登記
犬山犬吉が昭和5年5月5日に隠居
甲土地は、犬山犬吉名義(取得日 昭和6年6月6日)
家督相続になるのか????
↓
隠居後の日付の売買を原因として所有権移転の登記を受けた不動産については、家督相続による所有権移転の登記の申請を受理することはできない!!!
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遺産相続!!!
*「隠居の日付」と「不動産取得の日付」は要チェック☆
メモメモ%(^^)
隠居
→ 戸主が生前に戸主の地位を退き、戸主権は相続人に承継させて、その家の家族となる法律行為
→ 戸主権の喪失
→ 家督相続が開始(旧民法964条)
→ 隠居者の有していた一切の権利義務は、原則として家督相続人に移転 BUT 例外あり
例外1 一身に専属するもの
例外2 確定日附のある証書により留保財産(旧民法988条)
例外3 隠居者が隠居後に取得した特有財産 ・・・ 遺産相続となる!!!!!
【留保財産】
・留保の意思表示は、家督相続開始前にする必要あり
・対抗要件は、確定日附のある証書
・登記すること不可
【遺産相続】
・旧民法における財産相続で(戸主以外の)家族の死亡によってのみ開始(旧民法992条)
・以前の記事 http://blog.goo.ne.jp/4696kotetu/e/6ce6c6b4ac248e10b984110b08139808
隠居者が隠居後に登記を受けた不動産についての登記(登研219号)
要旨 隠居者が隠居後に所有権保存の登記を受けた不動産については、家督相続による所有権移転の登記又は遺産相続による所有権移転の登記のいずれの申請があっても受理して差し支えないが、隠居後の日付の売買を原因として所有権移転の登記を受けた不動産については、家督相続による所有権移転の登記の申請を受理することはできない。
問 隠居者が隠居後に所有権保存の登記を受けた不動産又は隠居後の売買を原因として所有権移転の登記を受けた不動産については、家督相続人からの家督相続による所有権移転登記の申請は受理すべきでなく、遺産相続人からの遺産相続による所有権移転の登記であれば受理すべきものと考えますがいかがでしょうか。
答 所問の場合、所有権保存の登記を受けた不動産については、家督相続又は遺産相続のいずれを原因とする所有権移転の登記であっても受理して差し支えないと考えますが、所有権移転の登記を受けた不動産については御意見のとおりと考えます。
隠居者が保存登記をした不動産についての家督相続登記の能否(登研202号)
要旨 隠居者が隠居後取得した不動産についての家督相続の登記申請は受理すべきでない。
問 隠居者が隠居後所有権を取得しその登記を受けた不動産について、家督相続人から家督相続による所有権移転の登記の申請があった場合受理できるでしょうか。
答 受理すべきでないと考えます。
隠居者の死亡の場合の相続登記(登研168号)
不動産の所有者が旧民法により隠居し、新民法施行後死亡した場合でも、隠居者が財産留保の手続をしていない限り、当該不動産は、家督相続人が取得するから、家督相続人から隠居による家督相続を登記原因として所有権の移転登記をすべきである。
ただし、右の留保の有無が形式的審査により明らかでない不動産について、新民法による相続の登記の申請があった場合には、却下することができない。
隠居者の死亡の場合の相続登記(登研136号)
登記名義人が旧民法により隠居した後、新民法施行後死亡した場合、家督相続を原因としないで、隠居者の死亡による相続を原因として、所有権移転の登記の申請があった場合には、留保財産であることを証する確定日付のある書面を添付することなく、受理して差し支えない。
隠居者の新民法施行後の死亡による相続登記の添付書面(登研41号)
要旨 旧民法施行中隠居した者の死亡による相続登記の申請書には、留保財産である旨の証明書の添付を要しない。
隠居者の死亡の場合の相続登記(登研136号)
要旨 登記名義人が旧民法により隠居した後、新民法施行後死亡した場合、家督相続を原因としないで、隠居者の死亡による相続を原因として、所有権移転の登記の申請があった場合には、留保財産であることを証する確定日付のある書面を添付することなく、受理して差し支えない。