松下幸之助は生涯で100の発明(特許出願)をしたそうだ。私の場合、出願は10を超える程度(取得数は少ない)だが、広い意味での開発は120を超えるのではないだろうか。広い意味というのは、私が目標を与え、バックアップしたものも含む。その中には世界で初めてのものもたくさん含まれる。これまでを振り返って何が最も印象深かったかというと、2台の高速走行ロボットを利用した炊飯ラインである。
某経済連に収めた炊飯ラインは世界で初めてのロボット走行の電気炊飯ラインだった。東京の炊飯プラントメーカーへ営業に行った時、大形の電気炊飯のニーズがあると言われたので、その場で思いつき立体炊飯を提案した。私はこう説明した。倉庫クレーンと電気釜(竈と呼ぶ)を組み合わせれば、立体炊飯ができる。電気釜を立体的に配置させ、米を浸漬したなべを倉庫クレーンでセットし、炊き上がったら取り出すのだ。倉庫クレーンも電気釜も完成品であり、完成品同士の組み合わせでリスクが少ない。しかも、私には電気炊飯でおいしく炊けるアイデアがあった。
某経済連も炊飯プラントメーカーもこの話に乗り、受注して製造した。最終的には、トラブル時の対応を想定して立体にせず、2ラインとした。この実現にはロボットを製造するだけの技術が必要だった。個別の鎌ごとに焚き分けするなどの試みがなされ、さまざまなアイデアも盛り込まれた。完成して、鍋を抱え分速80mで走る2台のロボットは迫力があり、まじめて見た時には私も驚いた。
この炊飯ラインは様々な製造メーカーが見学したようだ。いずれにしても大型ロボット式電気炊飯の草分けになったことは間違いない。特許は、元請けが出願を進めていたのに倒産したものだから中に浮き、パーキテックという会社が取得してしまった。かつての部下にクレームを依頼していたが多分実施できなかったのだろう。
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