遂に、ベンツセダンの最高峰Sがモデルチェンジされ、試乗が出来るようになった。興味津々で到着したばかりのSに乗った。真っ黒で、長さ5.25mのロングボディー。残念ながら左ハンドルで、右ハンドルやショートは12月になる。(写真をクリックすると拡大します)
座席に座った第一印象は、左隅に運転席がまとまっている窮屈感。ハンドルの飾りや前方パネルが豪華(モニターはかなりワイド)で、違いを演出。速度などの表示は新しい液晶画面。興味深いのは、数々の新規安全装置や運転アシスト機構。
圧巻は前後計で6個のミリ波レーダーが付き、①50km/hで前方の障害物への衝突を防ぎ、②歩行者を危険度に応じてカラー表示、③横からの飛び出しにブレーキング、④後方からの衝突危険車にランプ警告、⑤高速などでの前車追従運転。従来のスバルなど自動ストップは30km/h以下だったが、ベンツの50km/hではエネルギー比較で2.8倍だからすごい。
サスペンションは前方道路の割れ目や凹凸に合わせ、瞬時に車体制御するSFのような究極の技術。高速では楽しみ。試乗距離が短く確認できなかった。
後部座席も電動、更に後部は窓に中を隠すベールのような黒ネットがついており、上げ下げが電動。アラウンドビューモニタはEクラスからついたらしい。自動駐車や空気清浄機は助かる。
滅多に左ハンドルに乗らない人間にとって、右側にボディーが有るのは恐怖である。実際、ディーラースタッフでさえ、感覚が狂い当てた場合も有ると言う。
道路に出て、最初は、右側が掴めないので左側に寄ってしまう。上田氏からまだ右に余裕が有りますよと言われた。上田氏はSの発表直後6台を予約販売したという広島のNO1だ。
操作はML右ハンドルと殆ど一緒でその点は助かった。気になるのは加速だが、踏み込んだ時のパンチ力はMLディーゼル(3リットル)に劣った。確かに、上田氏の言うように、Sはぶっ飛ばす車ではないが、何のための5リットルV8か分からない。
上田氏は、Sの左ハンドル(ロング)は運転手付きスペック、運転手が左に寄せて止め、降りて後部のドアを開けるためだと言う。初めて知った。自分で運転する車はショートになるらしい。ハイブリッド(ショート)が1,090万円ぐらいだから、お勧め。因みにロングでは色々付いて1,750万円だとか。
帰路、MLを運転しながら、右ハンドルで視点が高く、パンチのある加速に満足した。振動はMLディーゼルの方がセンターコンソールやドアでやや大きく(4気筒ガソリンの振動より、大きめの音楽による振動より小さい)、ハンドルではMLの方が少ないような感じ(両方とも振動は無に近い)もした。
エンジン音は、Sは全域で静か、MLは低速の1200回転付近でガソリン3リットルツインカムターボのような音、35km/h以下で走ると気になる。
乗り心地は余程、様々なコースを比較しないと難しい。MLは大きく重い分だけ慣性により振動カットをカットしている(扁平に近いタイヤだからランクルような心地良さは少ない:安全性は高い)。ディーゼルながらスムーズでソフト。踏み込むとピューマのように飛び出し、レーシンカー以外は勝てるか。
残念なのは、Sで開発した安全機構などがML購入時に間に合わなかったこと。50km/で自動ストップ、飛び出しにブレーキ、歩行者危険度表示、追従運転、アラウンドビューモニタは是非、実現して欲しかった。
Sの価格表を見て思ったのは、ベンツは購入層やその感覚・満足度などを考慮したプラスアルファーで価格をつけているのか。ハイブリッドが車両価格1,090万円で、ロングが1,540万円前後。BMWやフォルクスワーゲンでは(ベンツで長さの差は有るものの)ハイブリッドの方が高い。