2021年9月下旬の観察記録です。
猿倉山森林公園の芝生広場は、猿倉山の麓にあり、傾斜地に広がる大きな芝生広場のほか遊具施設や休憩所、駐車場、公衆便所などがあり、ゆっくり楽しむことができます。私も、ときどき、犬を連れてピクニックに出かけています。
この日、芝生の上を犬と散歩していると、ノウサギ(ニホンノウサギ、このあたりだと冬には耳の先の黒い部分を除いて白くなるトウホクノウサギでしょうか)の「ため糞」がありました。それほど新しいものではありません。
《猿倉山の麓にある芝生広場の上部 2021/09/24》
《芝生広場にあったノウサギのため糞 2021/09/24》
《芝生広場にあったノウサギのため糞 2021/09/24》
ノウサギについては、動物写真家の宮崎学さんによるフォトエッセイ(ウエブサイト)『森の動物日記/ノウサギの見つけ方』(2017/2/16)に、個体数の近年の増減や糞のしかたについての興味深い説明がありました。
「長野県伊那谷では、ここ数年来ノウサギが少しずつ見られるようになってきたと兼ねてから発信してきました。30年ほど前の1980年代には、中央アルプス山麓ではまったく姿を消していたノウサギだったので、もう、絶滅してしまうのではないのかと思っていたのです。それが、ここ5年ほどの間に雪の上にちらほらとノウサギ独特の足跡が見られるようになって、その後の動向が気になっていました。それが、今年(2017年)はノウサギの足跡がいたるところで目撃されるのです。もちろん、糞などもあります。これは、ノウサギ完全復活と宣言してよいでしょう。
いまから50年ほど前の1970年前半までは、ノウサギはいたるところに生息していました。
中央アルプスのロープウェイのある県道では、夜間に車を走らせると、10kmほどの道のりだけで、多い夜には70頭ほども林道に飛び出してきたものです。とにかく、ノウサギだらけでした。
それが、1980年代には同じ道路を走っても一頭も飛び出すことなく、雪道にもノウサギの足跡が目撃できませんでした。そして、いつかは復活することを夢見ていたら、ここ数年の間に少しずつノウサギの足跡が見られるようになってきたのです。
…糞がまとまってたくさん残るのは「ため糞」なので、ノウサギが安心して長時間すごす重要な場所。こうした糞のちかく100m以内には必ずノウサギの姿があります。
活動中のノウサギは便意を催すたびに糞をどこへでも落としていきます。本来はそうした一粒の糞を見つけることのほうが多いのです。
自然界は30年単位くらいで、植物などが盛衰を繰り返して動いているものです。
…今回のノウサギの復活劇も、こうした30年スパンの一つに過ぎないと思うのです。
このあと、再び激増期を迎えて、30年ほどして、また衰退していく可能性もあります。
そこを見届けていくのが、私たち現代人の自然観なのではないのか、と思っています」
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