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選挙運動中のトランプ氏の公訴をも陪審員裁判で裁くアメリカ

2024-04-17 06:59:19 | 時評
【毎日】◆ トランプ氏公判、陪審員選ぶ42の質問 半数以上が辞退 【ニューヨーク中村聡也】  抜粋
* 「トランプ被告は業務記録を改ざんしたことで起訴された。有罪か無罪かを決める責任があるのは、あなたたちだけだ」――。ニューヨーク市中心部マンハッタン地区の裁判所。訴訟を指揮するマーチャン判事は初日に呼び出された96人の
  陪審員候補に向かってそう強調した。トランプ氏に評決を下すのは住民から選ばれる12人の陪審員だ。その資格があるのはマンハッタン地区在住の18歳以上の米国市民で、無作為に抽出された約500人の中から連日行われる選任手続きで
  絞り込む。検察側と弁護側はそれぞれ質問をしながら、自分たちに不利な判断をしそうな候補を排除していく。

* 陪審員候補への質問は、米国社会の分断ぶりを反映したものになった。「トランプ氏や反トランプ派の集会に参加したことがあるか」「参考にしているメディアは何か」「(極右陰謀論)『Qアノン』を支持するか」。用意された42問は、
  党派性を尋ねるものが目立った。
   マーチャン氏は、陪審員候補への賄賂や脅迫を防ぐため匿名にすると決めた。検察側、弁護側双方にリストは渡したものの、複写や撮影は禁止した。ただ、初日は96人の候補のうち半数以上が「公平に判断できない」などとして辞退。
  選定には数日かかる見込みで、この日は一人も決まらなかった。手続きの難航は必至だ。
   陪審員の評決は全員一致で、有罪になれば判事が量刑を言い渡す。一方、11人が評議で有罪としても、1人が無罪を主張すれば、審理は無効になる。

* 刑事事件の陪審員選任手続きに詳しいニューヨーク・ロースクールのアンナ・コミンスキー教授は「そもそも『中立』の立場の陪審員を探すのはいつも難しい」と指摘。
  「政治や事件自体に全く興味がない人を見つけることが、公正な公判を成立させる上で重要だ」と述べつつ「今回は特に困難な作業になる」と指摘した。
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 ここで根本的な疑問。それは、訴訟になった行為「業務記録の改竄」それ自体は単純な事実認定の当否を判断するだけの筈が、何故、トランプ氏をめぐる党派性・政党支持にまつわる質問が必要なのか?
それと、何故、被告である人物(=トランプ氏)が陪審員選出のプロセスについて異議申し立てを許されるのか?
  https://www.saibanin.courts.go.jp/introduction/how_to_choose/index.html

 日本で「裁判員裁判制度」が始まったのは平成21(2009)年だから、今年で15年になる。上に引いたURLをご覧になればわかるとおり、米国の陪審員制度とは選任方法から大きく違う。
最も大きな違いは全ての公訴案件を「裁判員裁判制度」にかけないし、政治的言動に関わる人物の行為を日本の場合「裁判員裁判制度」の対象とはしないだろう。
そして、裁判官は米国のように市民の評決に拘束されない。これらの差異を考えると、裁判や司法制度における「個と公」「民主」概念に日米で大きな違いのあることが浮かび上がる。

 更に言えば<人を裁くこと>は「真・善・美」「罪と罰」「死刑の受容」など、より根源的な問いと当然ながら結びついており、トランプ氏をめぐる争いを対岸の火事ではなく、日本人が此の事例を機に
「個と公」「民主」概念を考える良い機会となればと願う。
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