紅葉を求め、山梨都留市にある本社ヶ丸(ほんじゃがまる)1631mに登ってきた。大体、笹子トンネル付近に位置する山と言ったらわかりやすいだろうか。アクセスが不便な山なので中央高速に乗って都留ICで降り、登山口となる宝鉱山駐車場に車を止めた。
宝の山ふれあいの里を抜けてゆく。宝鉱山の後を過ぎると針葉樹林帯の本格的な登りが始まった。所々に標識や赤テープが巻かれてあるので道に迷うことはない。
今年最後の、山に咲く花たちが出迎えてくれた。まずはリンドウ、そしてコウヤボウキ。地味ながら味わいのある花たちだ。
そしてセンブリとヤマトリカブト、何ともどちらも人間にはなじみ深い、薬と毒だ。
針葉樹林帯をジグザグに標高を稼いでいく、やっと一つ目の鉄塔が見えてきた。
梢の間から望めるのは三ツ峠山のアンテナ
次第に木々も赤や黄色に染まり始めてきた。
足元の枯葉の間にはツチグリ
見上げると頭上には錦秋に染まり始めたモミジ
落葉松からはさらさらと細い葉が雨のように降り注いでくる
落葉松と広葉樹の入り混じっている一帯
登ること2時間不意に明るい稜線に出た。吹きすぐ風が汗を拭きとってくれる。
登山の醍醐味はこんななだらかな稜線歩きに尽きる、と思っているのは私だけだろうか。
キノコで幹をびっしりと蔽われた樹
木々の葉も原色に近い色合いになってきた
何ともため息の出るような紅葉だ
そして黄葉
見上げる私の心まで真っ赤に、そして黄金色に染め上げられていく
同行する人もなく、出会う人もない、静かな稜線の道の上をひっそりと風が通り抜けていく。
やっときつい登りは終わったようだ。周囲の木々は葉を落とし、視界が開けて明るくなってきた。
やっと頂上だ
ずいぶんと狭い頂上だが、現在いるのは私だけ。11時少し前で早いが、昼と決めた。比較的平らな岩に腰を下ろし、持ってきたお握りを頬張る。おかずは360度見渡せる大展望だ。北側には大菩薩や奥多摩の峰々、わずかに雲やガスががかかっている。
西には南アルプスの雄峰が雲の上から白い峰々をのぞかせている。
そして南側には三つ峠山の右手に配し冠雪した富士山が見える。
久しぶりだ、こんなに機嫌のよい、奥ゆかしい富士山は。
計画ではこの先清八山、茶臼山、御巣鷹山と回って三つ峠山まで登り、千段の滝を下山する予定だったのだが、左足が攣りそうになってしまったので断念。
短縮ルートに変更、唐傘岩から宝鉱山へと下ることにした。行き返りとも一人の登山者に出会うことのない静かな山行きだった。
下山時に通り過ぎた唐傘岩
この辺で。