◎◎ 【日本株週間展望】一進一退、欧米の感染者ピークアウトを横にらみ
伊藤小巻
2020年4月10日 15:44 JST
新型コロナ感染者数の動向次第ー経済指標の悪化は織り込み済み
業績計画未定の企業増えれば不透明感強まる見通し
◐◐ 4月3週(4月13日-4月17日)の日本株は一進一退が見込まれる。新型コロナウイルスは、欧米の感染者数増加のピークアウトが確かなものになるかが注目される。業績計画を未定とする企業が国内で増えて市場参加者の目線が近視眼的にならざるを得ないため、個別銘柄を選別する動きが強まりそうだ。
★★ 新型コロナの感染拡大は、欧米ではニューヨークで入院患者数が鈍化するなど好転の兆しも出始めた。景気に対する過度な懸念は海外を中心に和らぎ始め、マーケットの下支えになりそうだ。ただ、国内に目を転じると、東京都の感染者数が連日で最多を更新するなど勢いに衰えは見られない。感染者数の増加に歯止めがかからないようだと、世界の主要市場が回復基調を強めても、東京市場は遅れかねないという。
¤¤¤ 来週は、14日にIMFが世界経済見通しを発表、15日にはG20財務大臣・中央銀行総裁会議、17日にはIMF・世界銀行総会が予定されている。1月にIMFは2020年の世界経済を3.3%成長と予想したが、今回は大幅な下方修正が避けられない。G20では、3ー6カ月先を見据えた経済政策などで金融当局が協調姿勢を示せれば、市場が好感する可能性があるという。
⇨ 米国では15日に3月の小売売上高、4月のニューヨーク連銀製造業景況指数、16日に4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表の予定。ニューヨーク連銀はマイナス32.5(前回マイナス21.5)、小売売上高は前月比8.0%減(同0.5%減)、フィラデルフィア連銀はマイナス30(同マイナス12.7)と総じて悪化見込み。中国では17日に3月の工業生産や都市部固定資産投資、1-3月期国内総生産(GDP)などがある。1-3月の工業生産は8.1%減(1-2月は13.5%減)、固定資産投資は15%減(前回24.5%減)へ改善、1-3月GDPは悪化見込み。
★☆ 米国では決算発表が本格化する。14日にウェルズ・ファーゴやジョンソン・エンド・ジョンソン、15日にシティグループやゴールドマン・サックス・グループなどがある。世界経済の不確実性を理由に業績見通しが出せない企業が相次げば、世界の株式市場に不透明感が広がりかねないので注意が必要となる。2週の日経平均株価は週間で9.4%高の1万9498円50銭と反発。
《市場関係者の見方》
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジスト
「世界中の新型コロナウイルス感染者数に市場は素直に反応にするだろう。経済統計などで数字が悪いのは織り込み済みで、想定より悪い数字が出ても反応は薄い。市場は良い情報に飢えていて、米国、特にニューヨーク、欧州で感染者数にピークアウトの傾向が続けば、日経平均は2万円回復もあるかもしれない。ただ、再び悪化となればやや大きめの下げもある。日経平均予想下値は1万8000円」
三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジスト
「底堅い。米国の経済指標の悪化はすでに織り込んできている。ネガティブに反応しなければ地合いはしっかりしてきていると判断できる。失業保険申請件数が前週比で明らかに減少していれば好感される。米国が追加で大規模な経済支援策を出したことが転換点となり、成長力の高い半導体株などが上昇をけん引するだろう。他方、国内の感染者が増加していることや、経済対策を打ち出すスピード感が遅く徹底していないことへの懸念は残る。欧米に比べて日本株が劣後するような展開になりそう」
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