(© Copyright(C) 2018 神戸新聞社 All Rights Reserved. 漂着ごみが散乱する海浜植物の群生地=神戸市須磨区須磨浦通6 )
① ""希少植物群生地がゴミの山 豪雨や台風で大量漂着、爪痕今も 須磨海岸""
神戸新聞NEXT/神戸新聞社 2018/10/27 14:30
都市部の砂浜では希少なハマヒルガオなど海浜植物の群生地となっている神戸市の須磨海岸に、大量の漂着ごみが打ち上げられたままとなっている。7月の西日本豪雨やその後相次いで襲来した台風の爪痕だが、希少植物のピンチに、保全活動に取り組む市民らは「せっかくの貴重な景観が損なわれている」。神戸市は「年内をめどに環境回復に努めたい」などとしている。(中西大二)
地元の人たちが清掃活動を続けており、少しずつごみは減少しているが、まだ多くの流木やプラスチックごみなどが散乱し砂浜を覆っている。長く海岸で自然保護活動を続ける市民団体「すま・はまの会」世話人の男性(71)は「見かけては拾うようにしているが、あまりに多くて…」と肩を落とす。
群生地は一ノ谷川河口付近に広がり、かつて同市沖を埋め立てる土砂運搬用桟橋があったことで、手つかずの自然が残っていた。初夏に開花する ※A ハマヒルガオのほか、※B ハマエンドウ、※C ハマダイコンなど約10種の海浜植物が確認されている。
埋め立てに使う土砂をベルトコンベヤーで運び出す「須磨桟橋」が設置されたのは1964年。約40年間、ポートアイランドや神戸空港などの埋め立てに使われ、付近は人が立ち入れなかった。そのため「山、海へ行く」と称された開発行政の“象徴”が皮肉にも環境保全に役立ったとされる。桟橋撤去後には同市が案内板を設置するなどし、植物の存在を周知してい
た。
須磨の自然に詳しい「あいな里山公園」の高畑正園長(65)は「自然の砂浜が少ない大阪湾岸で、多数の海浜植物を集中的に見ることができる環境は珍しい」と指摘。「ある程度の流木は仕方がないが、あまりにプラスチックごみが多く、長い年月をかけてできた群生地としての美しい景観が損なわれる」と心配する。
群生地の東に当たる須磨海浜水族園からJR須磨駅にかけての海水浴場にも大量のごみが漂着したが、市は漁業関係者やボランティアらと清掃作業を実施した。市みなと総局は「年内に、できる範囲で重機を投入してごみを撤去し、環境の回復に努めたい」としている。
🌸 ※A ハマヒルガオ
ハマヒルガオ(浜昼顔、学名Calystegia soldanella (L.) Roem. et Schult.)はヒルガオ科ヒルガオ属の多年草。典型的な海浜植物である。
特徴[編集]
同属の他種がつる植物であるのに対して、匍匐性植物となっている。茎は砂の上を這い、毛はなくてなめらか。時に茎が砂に埋もれて葉だけが出る。葉は腎心形、やや丸くて基部は左右に張り出す。葉はつやのある緑で厚みがある。長さは2-4cm、幅は3-5cm。
花は5-6月に咲き、淡紅色で、径4-5cm。花柄は葉より長く、葉の上に抜き出て咲く。
🌸 ※B ハマエンドウ
ハマエンドウ(北海道以久科原生花園・2007年7月)
ハマエンドウ(浜豌豆、学名:Lathyrus japonicus)はマメ科レンリソウ属の多年生。
特徴[編集]
北海道から九州までの日本各地の海岸に分布する海浜植物。日当たりの良い砂地や岩場などによく見られる。まれに内陸部の湖岸でも見られる。
全体に粉白色を帯びており、草丈は高くなく、地表面に沿って茎を伸ばし這い広がる。 葉は偶数羽状複葉。葉の先端には巻きひげがあり、樹木や柵などがあれば、巻きひげで絡み付いて立ち上がる。
花期は4-7月。濃紫色の花を咲かせる。花はスイートピーに似ており、美しいので栽培されることもある。果実はエンドウマメのような形状で、若いものは芽と共に食用にできるが、ラチリズムを引き起こすオキサリルジアミノプロピオン酸などの毒成分を含むため[1]、過食は禁物である。
和名の由来は、浜辺に生えて、エンドウマメに似ていることから。 種小名はjaponicus(日本の)となっているものの、汎世界種であり、アジア・ヨーロッパ・北アメリカ・南アメリカなどの海岸に分布している。
🌸 ※C ハマダイコン
特徴[編集]
根出葉は羽状複葉で、頂小葉は大きい。太い主根は主軸が肥大して食用となる。収穫せず春を迎えれば、アブラナ属と似た淡紅色を帯びた白花をややまばらに付ける。果実の種子数はアブラナ属より少ない。
茎は、葉の付け根の低い三角錐部分で、食用にされない。また、一般的に根と呼ばれる食用部分のうち地上部分は、発生学的には根ではなく、胚軸に由来する中間的な性質を持っている。青首大根では特に目立ち、ジャガイモ同様、光に応じて葉緑体を発達させる茎の性質を示している。
茎、胚軸、根の区別は道管の位置で区別できるが、ひげ根(二次根)でも見分けられる。根の部分は両側一列ずつ二次根が発生し、店先のダイコンではその痕跡がくぼんだ点の列として観察できる。
アブラナ属のカブ(蕪)では、丸く肥大する食用部分が胚軸で、根はヒゲ根となって食用にされない[3]。