東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

中学入試問題R2(27)[灘中]

2020-06-21 10:54:41 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、令和2年度灘中の問題です。

問題は、
「平面上に、1辺の長さ6cmの正三角形ABCと、半径が6cmの円の形をした輪があります。輪ははじめ下の図のように置かれていて、輪の中心は点Bと重なっています。


次のように輪を平面上で移動させるとき、輪が通過する部分の面積をそれぞれ求めなさい。ただし、輪の太さは考えないものとします。また、円周率を 3.14 とし、三角形ABCの面積を 15.59cm2 とします。

(1) 輪の中心が、辺BC上をBからCまで動く。
(2) 輪の中心が、辺AB上をBからAまで動いたのち、辺AC上をAからCまで動く。」
です。

輪の中心が、辺BC上をBからCまで動いたとき、輪が通過する部分は図1の斜線でマークした領域になります。(ここで輪が通過する部分は、輪を円周とする円の通過する部分とは異なることに注意しましょう)


▲図1.輪の中心が辺BC上をBからCまで動いたとき輪が通過する部分です

この斜線部分の面積は、全体の面積(陸上競技のトラックの形をした部分の面積)から、Bを中心とする半径6cmの円BとCを中心とする半径6cmの円Cの共通部分Xの面積を引いたもので、ここから図2に書き入れた数値を使って、それぞれを計算していきます。


▲図2.輪の中心が辺BC上をBからCまで動いたとき輪が通過する部分の面積を計算します

全体の面積
全体の図形は、左右にある2つの半円と中央部の長方形を合わせた図形なので、

から、

です。

2つの円の共通部分Xの面積
2つの円の共通部分Xの図形は、半径6cm、中心角60°の扇形から一辺6cmの正三角形を除いた図形4個と、一辺6cmの正三角形2個を合わせた図形です。

したがって、2つの円の共通部分Xの面積は、半径6cm、中心角60°の扇形4個の面積から正三角形ABC2個の面積を引いたものになるので、

です。

以上から、斜線部分の面積は、

で、これが(1)の答えです。

続いて(2)です。

(1)と同じように、輪の中心が辺AB上をBからAまで動いたとき、輪が通過しない部分は、図3の左側の図に示した円Bと円Aの共通部分Yで、輪の中心が辺AC上をAからCまで動いたとき、輪が通過しない部分は、図3の右側の図に示した円Aと円Cの共通部分Zです。


▲図3.輪の中心が辺ABおよび辺ACを動くとき輪が通過しない部分はそれぞれYとZになります

これから、輪の中心が辺AB上をBからAまで動いたのち、辺AC上をAからCまで動いたとき、輪が通過しない部分はYとZの共通部分になり、したがって、輪が通過する部分は、図4の斜線部分になります。


▲図4.輪の中心が辺BAおよび辺AC上をB→A→Cまで動いたとき輪が通過する部分です

この斜線部分の面積は、全体の面積から、半径6cmの円A、B、Cの共通部分の面積を引いたもので、ここから図5に書き入れた数値を使って、それぞれを計算していきます。


▲図5.輪の中心が辺BAおよび辺AC上をB→A→Cまで動いたとき輪が通過する部分の面積を計算します

全体の面積
全体の図形は、中央上の半径6cm、中心角120°の扇形と左右下にある半径6cm、中心角150°の2つの扇形と1辺6cmの正方形2個と1辺6cmの正三角形2個を合わせた図形なので、

から、

です。

3つの円の共通部分の面積
3つの円の共通部分の図形は、半径6cm、中心角60°の扇形から一辺6cmの正三角形を除いた図形3個と、一辺6cmの正三角形1個を合わせた図形です。

したがって、3つの円の共通部分の面積は、半径6cm、中心角60°の扇形3個の面積から正三角形ABC2個の面積を引いたものになるので、

です。

以上から、斜線部分の面積は、

で、これが答えです。


簡単な問題です。