はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

一日一首

2012年07月18日 19時05分31秒 | 日詠短歌

2012/6/18(月)
   初めて、職場にクーラーを入れる。

 竹の柄の団扇ひわひわゆらめいて乳母車からこぼれる声を


6/19(火)
   台風来る。

 部屋なかの音のすべてを消すことの震えと軋みのみ聴くことの


6/20(水)
   さあ―― ごっこ遊びをしましょう
          (鏡の国のアリス)

 滅びよりもほろびの後の碑を建てるまなざしにこそ宿れ紅


6/21(木)
   「しゃべらん疲れ」というのも、あるのかもしれない。

 頬笑みの張りついたまま手の甲に浮く静脈であみだくじする


6/22(金)
   夏至も過ぎたのに、クーラーも入れているのに、何故か冬の続きのような心地が抜けない。

 せつなか 腕が無くとも抱きしめることは出来る、と言い切った人


6/23(土)
   映画『コクリコ坂から』をブルーレイで見る。父と母が出会ったころの、横浜。

 満開のシロツメクサに濡らされて煉瓦道から外れた靴は


6/24(日)
   『岡井隆全歌集』全四巻を読み終わる。二年かかったか。

 竹群に少し離れて立つ竹の少し曲がってすこししなって



一日一首

2012年07月13日 18時42分53秒 | 日詠短歌

2012/6/11(月)
   今年の梅雨は、律儀そうな感じがする。

 晴れときどき雨の歩道に の を描き蚯蚓三匹ひからびたまま


6/12(火)
   天候のせいにするのは、卑怯ではある。

 疎まれることなく終わるはずだった色鮮やかなままの傷なら


6/13(水)
   時いまだ来たらずといふ紅葉かな恋しさゆゑに火をな放ちそ
                       (『武悪のひとへ』水原紫苑)

 見ためより熱かったのか手洗いのアルコホールの教える傷に


6/14(木)
   前の梅畑が、そろそろ収穫のころか。

 喰らうため産むためだけに舞う蝶の雨上がりまた雨が降りだす


6/15(金)
   花言葉は「君がいて幸せ」 長寿も暗示するという。

 晴れあがった水たまりのなか紅のゼラニウム一鉢降って砕けて


6/16(土)
   おやまにあめが ふりました
   あとからあとから ふってきて
   ちょろちょろおがわが できました

   いたずらくまのこ かけてきて
   そうっとのぞいて みてました
   おさかないるかと みてました

   なんにもないと くまのこは
   おみずをひとくち のみました
   おててですくって のみました

 山あいの尾根におそらくこのときも熊は寂しく水を弾くか


6/17(日)
   実は『不思議の国のアリス』を通して読んだのは、初めてだ。

 穴はただそこここにあり穴があるそれだからこそいきものとよぶ