上砂理佳のうぐいす日記

10月5日~16日まで大阪狭山市の「ギャラリー美游館」さんで銅版画オンリーの個展があります。お近くの方はぜひ★

プロフェッショナル★北島康介編

2014-04-29 | モロモロのスポーツ
昨夜、NHKで北島康介選手の「プロフェッショナル」見ました。
大ちゃんとダブり、じーんとしました。

北島選手の肩書きは「プロスイマー」となっている(?)
水泳選手のプロって…なんなのだろう。
スノーボーダーみたいに試合で多額の賞金をもらえるわけでなし(水泳でそんな試合あるんだろか?)、スケーターみたいにショーで滑って稼ぐわけでなし。
良くわからんのですが、彼は自分で会社を興して「泳ぎ続ける手段を持っている」ということは知っていました。立派やな~と思います。
金メダルを獲ることも、世界新記録を出すことも、大事なのかもしれないけれど、それは「その時だけ」の栄誉ですもんね。いっときは大騒ぎされるけど、「それだけ」。
自らの行動で、「こうやって泳ぎ続けて生きることが出来る」事実を作り、後輩に見せること。そのことも、彼の「プロ」の意味のひとつなのかな…と思ったりします。

このあいだの全日本水泳。北島選手はメダルは獲れなかった。100mが7位?だったのかな。200の方は予選敗退だったか。
私も見てたけど、この番組内で自らが語る通り、「爆発的な」「勢い」は無かった。
「勝つ人」の迫力ではなかった。
でも「衰えた」とも思わなかった。
苦笑いするでもなく、悲しむでもなく、レース後の彼はただ淡々と「事実を受け入れる」姿を見せていました。
余計な事は喋りませんでした。
かつて頂点を極めた人が、勝てなくなると、すぐ周囲は「引退では?」と騒ぎ出すけど、彼のインタビューは凄みがあって、「くだらない質問はさせない」と突っぱねる強さに満ちていました。
「余計な事は喋らない」男っていいね。かっこいい。
昨年の秋に、大ちゃんとも対談してましたよね。
あの時も、「なんのために続けてるの?…そんな質問をする奴なんか無視したらいい」って、キッパリ言ってたけど、目は全然笑ってなかった。
水泳選手が泳ぐのは、息をするのと同じこと。
スケーターが滑るのは、生きていくことと同じこと。
金メダルとか、世界記録とか、それが何だってんだ。
そりゃ、みんな金メダルを目指して必死に練習するけど、それが全てじゃないんだ。
でないと、金メダルが獲れなくなったら、もう生きる意味が無くなってしまう。
彼の発する少ない言葉と、表情から、そんなメッセージを感じました。

「水泳を言葉で表現するって…出来ないんですよ」。
そうだよなー。
だから、ただ泳ぐ。泳ぐことが表現で、泳ぐことが言葉。
それをシンプルにとらえ、過剰な演出も無く、いい番組でした。
金メダルを獲った直後によくある「なぜ彼は成功出来たのか」という分析番組、あれが、なんとも陳腐に思えてくる。

ただ泳ぐ。ただ滑る。ただ絵を描く。
「意味」を考えては駄目。

その力が尽きた時が、引退する時なのだろう、と思いました★
コメント
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