実際にはいないで動物ですが、人間が作り上げた色々な動物をミックスした動物を題材にするのが続きました。
しかも両方「能」つながりです。
まず前回記した「鳳凰」です。
聖獣とされている幻の霊鳥。吉祥のシンボルとされ天下泰平の世に現れるとされています。
能装束「長絹(ちょうけん)」の図柄として必須アイテムです。
もう一匹は「鵺(ぬえ)」です。
こちらは妖怪ですね。
今年の7月公演の新国立劇場「現代能楽集 鵺」のチラシ、ポスター制作のためです。
「鳳凰」がめでたい動物たちを組み合わせたのに対して、「鵺」は怖がられたりしている動物たちが組合わさっています。
こちらが、できあがったヴィジュアルです。
今回はシルバーに刷り上がっており、おどろおどろしさよりも品がある「鵺」に仕上がっています。
顔の部分は、能の演目で使用される「鵺」の面です。
「鵺」とは、もともとトラツグミという鳥を指していたそうなのですが、夜に鳴く声が不気味なことから「鵺の声で鳴く得体の知れないもの」を指すようになったそうです。
そして、猿の頭、狸の胴体、虎の手足、蛇の尾などをもつ奇怪な動物が作り上げられたようです。
「平家物語」によると、弓の名手・源頼政によって退治されたとかで、その様子の絵も京都のお寺に残されています。
今回の劇は現代能楽集ということで、世阿弥の古典能でも、三島の近代能でもない、まったく新しい感覚で構築されたお話のようです。
チラシに書いてある言葉をお借りすると
「今日の『鵺』は、平安から現代、また日本からアジアへと舞台を移しながら、戦乱の世をさまよい続ける敗残の悪霊、あるいは正史に名を残さなかった『まつろわぬ魂』との遭遇を描く、”鎮魂の劇”です。」
演出には新国立劇場の芸術監督・鵜山仁さん自らがあたります。
作:坂手洋二 演出:鵜山仁
出演: 坂東三津五郎 田中裕子 村上 淳 たかお鷹
公演:2009年 7月2日(木)~20日(月・祝)
新国立劇場 小劇場 THE PIT
チケットはもう販売されています。
詳しくはこちらへ
→http://www.nntt.jac.go.jp/play
宣伝ついでに、
最近関わった物を2点程。
新潮社さんから
著 加藤廣 「空白の桶狭間」が発売されました。
といっても1ヶ月くらい前ですが・・・。
告知が遅くてごめんなさい。
こちらの装丁画にわたくしの作品が起用されました。
織田信長、豊臣秀吉を交えた新しい視点からの歴史ミステリーになっております。
そして、こちらは
集英社さんの月刊誌「小説すばる」
この中にある「ニューカマー’09 いま期待される作家特集」で、
巻頭に紹介されている「木内 昇(のぼり)」さんの「紅蘭」という短編に挿絵を提供させていただいています。
時代物が続いています。
どちらもとてもおもしろいので、ご興味のある方は是非どうぞ。
* * * *
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