橋本ドクターから紹介してもらった三重耳鼻咽喉科へ行く。
怖がりの俺はいつものように奥さんの付添。
かつて高橋さんとこで受けていた聴力の検査が繰り返される。
それから血圧検査、寝て検査に立って検査。
いったん待合に戻り、再び名前を呼ばれて診察室へ。
「突発性難聴の左耳だけでなく、右耳もあなたの年齢にすればかなり下回っていますね。ことに高い音ではかなりひどい」
やはり高橋さんとこで見せられたのと同じような表が目の前にある。
しかし前に比べると高域での下落が激しい。
「まあ、最近の補聴器はすべての音域を一様に上げていた昔とは違い、それぞれの音域を調整して上げることができるようになってます。ですから聞こえなくなるというような不安はありません。ただ、補聴器を使用する段階でもないようです。生徒さんに「先生は耳を少し悪くしてね、だから大きな声で目を見て話してくれないか」・・・そんな感じで情報を伝えればいいでしょう」
「それは一応やってるんですが、いざとなると忘れますね」
「さて、耳鳴り・めまい・吐き気・・・これらすべては一つの原因から派生しています。しかし耳鳴りは消えることはなりません。でも、和らげることは薬の服用などで可能です。どうでしょうか、2週間ほど薬の服用で様子を見ようと思いますが・・・」
ありがたい。
ともあれ、これで塾にしがみついていられる。
ただ、なんとか生徒を怒らなくていいような展開がベストなんだが・・・。
今日のスタッフは里恵(6期生・国語講師)と龍神(17期生・慶応大学法学部4年)と諒(21期生・三重大学工学部物理工1年)。
俺の怒りを3分の1ずつあげよう。
耳鼻咽喉科のドクターたち、それぞれの病例に対する温度差が激しい。
温度差・・・緊迫感というようなもの。
突発性難聴に関して、高橋先生は少しばかりひどい風邪をひいたかのような雰囲気だった。
ところが宮原先生は、仕事が何をしているのであれ、すぐに入院しなさい! 熱血漢だった。
そして橋本ドクターの奥さんが小さなときから通ったという今日の三重耳鼻咽喉科の荘司先生はその中庸あたり。
誰がいい悪いではない・・・各自各様それぞれがスタイルだ。
しかし、患者の立場とすれば、最初にかかったドクター次第でその病気に対する認識が変わる。
その意味では耳鼻咽喉科の場合、最初にどこの医者に行くか・・・これは大きい。