前にも書いたことがあると思うが俺がNの母親と初めて会ったのは
Nが天神橋筋9丁目の天九荘に住んでいた頃だった・・・・・・
どういう経緯でそうなったのかはさっぱり覚えていないが
ヤツの母親と二人きりでヤツの部屋に取り残されたことがあった
気まずい空気が流れる中、彼女は俺に静かに語りかけてくれた・・・
「コウジは一人息子でございましょ・・・・・ですからね
一人っ子にありがちなひ弱な子供にだけは育てまいと思いましたの・・・
それで、もう、小さい頃からなるべく自分の足で歩くようにさせたんですよ
そうしましたらなんとか足腰だけは丈夫な子に育ってくれましたの・・・・
でもね・・・・・・」
そこで彼女は遠くを見るような目をして、ため息混じりに言葉を継いだ
「一度、家を出たらなかなか戻ってこない子になってしまって・・・・・」
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とても清楚な森の中の湖のようなヒトだった・・・・・