勇者は叫んだ「あ、あなた様は!伝説の神、ル・ミーナリ様!!」
神も叫んだ「おー、コラコラこっちを見てはならんバレるではないか」
「いや、もうバレていますけど、耳が・・・」
「失敬な、これは耳ではない!タテガミぢゃ。おーそうそうオマエに2種の神器を授けよう」
神の両手には武具と防具が握られていた。
「一つは、氷の杖。コレで魔人どもの炎でできたドクロ神殿を破壊するのじゃ」
「そしてもう一つは、王者の兜。さ、これをかぶるとよい」
勇者は言われるがままに王者の兜をかぶり、氷の杖を手に取ると、
王者の兜が激しく輝き始めたのである。
それまで、静かに事の推移を見ていたドクロ魔人がわなわなと震え始めた。
「甘いわ!!そんなもので、ワシを倒せると思ったか!」
勇者に襲いかかるドクロ魔人。勇者はドクロ魔人の攻撃から身をかわすと、すぐに攻勢に出た。
それまで、穏やかに見えたドクロ神殿は、
まるで炎のごとく妖しく発光したかと思うと、
微振動を繰り返し、やがて激しく揺れ始めた。
神殿の中で繰り広げられている死闘は、きっと想像を絶するものであるに違いない。
一体どのくらいの時が費やされたであろうか、何度かの大振動の後に、
ドクロ魔人の悲鳴が聞こえた。
それがきっと断末魔の叫びであったのであろうとわかったのは、神殿がこれまでになく激しく振動してからのことであった。
先ほどまでの烈火のような赤い輝きは失せ、
全体が異様に白んじ始めたかと思うと、
白い光が神殿全体を包み込むように肥大し、
一瞬の空白の後、
それまで激しく轟いていた地鳴りや森のざわめきも止まり、
・・・世界が破裂した。
歴史を語る生き証人はここには存在しない。
勇者は勝ったのだろうか。それは誰にもわからない。のちの誰かが事の顛末を語るまでは。。。
おしまい。