まっしゅ★たわごと

街歩き、建築、音楽、フランス、それに写真の話題を少々

兇人邸の殺人《屍人荘の殺人シリーズ》読了!

2021年08月08日 14時17分49秒 | おすすめ


「屍人荘の殺人」で鮮烈なデビューを果たした今村昌弘氏の「屍人荘の殺人シリーズ」、「魔眼の匣の殺人」に続く第三弾「兇人邸の殺人」を読了。このシリーズの作り出す世界観とミステリーの舞台装置として作り出される奇妙で常軌を逸したミステリーサークルの設定が面白すぎてほぼ一夜で読み切ってしまう。ただ、今回は仕事が忙しすぎて一週間ほどかかってしまったがそれでもその期間は至福の時間であった。(連続殺人の謎解きミステリーなのに・・)ラストは切なくて感動的な余韻があるのも第1作目と同じ感じ。次回作も期待大!!

ネット上の書評を見ると意外にも賛否両論に分かれるが、私はこのシリーズがとっても好き。



前作の「屍人荘」は物語中の舞台となる「紫湛荘」という合宿所と同じ音で、
前々作の「魔眼」は物語の中心となる「真雁」という地名と同じ音であった。



では今作の「兇人邸」は物語中の舞台となる屋敷のことなのだろうけれど、これは最後まで読んでやっと「狂人」なのかなと思い至る。最初は「巨人」とかけていたのだと思っていたから、それならば「虚人邸の殺人」でもよいのではと思っていたけれどもそうではないっぽい。それと、今作のストーリーは前2作と比べ遺体の状況が映像化しがたい感じに感じる。これはデビュー作の「屍人荘の殺人」の映画がお世辞にもあまり良い出来ではなかったことへのささやかな抵抗だったのではないかと穿った見方をしてしまう。案外映像化の良し悪しで小説の今後の売れ行きがけっこう変わってしまうものだとすると、作者氏は本シリーズの映像化は御免被りたいと思っているのかもしれない。

小説内では扱っている題材が題材だけに主人公たちが交わすやりとりは時にコミカルで時に心温まるものになっているが、これらのやり取りが、いやこれらのやりとりを逸脱したところまでもが無駄で怠惰で救いようのないコミカルストーリーになってしまっていて、作者が目指したところの世界観が全くと言っていいほど再現されてなかったと感じるのだ。

裏を返せば、それだけ小説の世界観が素晴らしいということなのかもしれない。
2021年7月31日初版発行
兇人邸の殺人 屍人荘の殺人シリーズ
魔眼の匣の殺人 屍人荘の殺人シリーズ
屍人荘の殺人


『へうげもの』読了!

2019年06月16日 19時03分25秒 | おすすめ


織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の時代を生きた古田 織部(ふるた おりべ)を描いた物語。戦国時代後期から江戸時代前期へ至る時代の移ろいを武人の立場ではなく、茶人の立場から、描いた異色の意欲作。一は誰しも高慢・物欲・嫉妬・怒り・肉欲・貪食・怠惰という七つの業(ごう)を持ち、そのいずれの業によって突き動かされ、裏切り合い、殺し合い、生き抜いていくのだということが通奏低音のように作品全体にちりばめられている。そんな折り込み聞いた某上司の言葉を信じて読み始めたコミックである。

正直なところ戦国時代、特に「織田・豊臣・徳川」ライン、もしくは「信長・豊臣・家康」ラインには苦手意識があった。よくわからなかったのだ。作品の中で、古田 織部はこれら時代の主人公たちを脇役にして、「同僚の秀吉と共に信長に仕える34歳の古田佐介」として生き、やがて秀吉の元、千利休の弟子として天下のために尽くし、最期は家康より逆賊の嫌疑をかけられ1615年6月11日に切腹をし命を落とすところまでが描かれている。享年73歳。

ちょっとコレの作品は自分でも想定外なのだが、一式買い揃えて手の届くところに置いておきたい衝動に駆られている。
へうげもの(1) (モーニングコミックス)
へうげもの コミック 全25巻完結セット

ウィキペディアによると第1服の刊行が2005年12月22日で、最終巻となる第25服が2018年1月23日となっていて、実に13年の時を経て描かれているということも驚きだし、最終巻の刊行が一年半程度前の事であったことが、また新鮮に感じた。良い作品を教えていただいたことに改めて感謝である。

ここで少しだけ、気になった言葉・記憶に残った言葉を書き残してみる。

・肩突
・小茄子
・楽焼
・今焼
・緑釉
・織部焼
・志野
・織部十作
・楢柴肩衝
・肩衝
・茶杓
・茶室
・小堀遠州
・上田宗箇
・徳川秀忠
・伊達政宗
・佐竹義宣
・金森可重
・本阿弥光悦

いや、もうどっから手を付けて良いのかわからないが、興味の幅が広がったのは事実である。
コミックが原作なんて嫌だろうが、是非とも大河ドラマでやって欲しい一作である。せっかくなので、勝手にキャストを考えてみる。

・古田織部:大泉洋

・織田信長:遠藤憲一
・豊臣秀吉:高橋和也
・徳川家康:内野聖陽

・明智光秀:堤真一
・石田三成:山本耕史(真田丸と被るのだが・・・)
・伊達政宗:香川照之

・小堀遠州:濱田岳
・金森可重:神木隆之介 
・千利休 :堺雅人

・おせん :松岡茉優
・茶々  :蒼井優
・おね  :仲間由紀恵

だめだろうか。

くらくら倉敷紀行【07】てくてく美観地区4(くらしき桃子様)

2019年05月20日 18時54分20秒 | おすすめ


倉敷でスイーツパフェと言えば「くらしき桃子」が定番と言えるだろうということでやってきた。



本店と中央店の他に最近になって総本店というのが出来たらしく、新参者には少しややこしい。店ごとで扱っているパフェも違うらしい。。。



やってきたのは中央店。ガレのカラフルな器たちが美しい。倉敷は大原美術館の影響もあってか和洋折衷的な雰囲気のある街とい印象が強い。だから店内に西洋ガラス器があっても不思議ではないような気がする。



注文したのは「いちごパフェ」
フルーツの旬に合わせてのメニュー展開のため、通年販売しているのは中央店限定のももこパフェぐらいしかないのだ。
いちごたっぷり&クリーム少なめで大変美味しゅうございました。

つづく
くらくら倉敷紀行2019(まとめ)

『魔眼の匣の殺人』を読んだ。

2019年05月07日 21時55分17秒 | おすすめ


およそ一年程前に「屍人荘の殺人」という書籍を読んでものすごく感動し、映画かと続編を望んだ。そして図らずもそのうちの一つである続編が三ヶ月くらい前に刊行された。ちなみに、「屍人荘の殺人」も年内中に映画化されるみたいであるから今から楽しみである。

タイトルからして京極夏彦氏の『魍魎の匣』を想起させるが、似て非なるものであることは確かである。

今作も前作と同様に、時空を超えたと言っても過言ではないほどに、未だかつてない程に奇想天外なクローズドサークルが形成されていて、作者の力量が存分に発揮されているように思う。ここで書きたい感想を書いてしまうと全てネタバレになってしまいそうなので、この場では何も書かないという選択肢を取ってみようと思う。そして読んだそばから、私は本作の映画化と更なるシリーズ化を望むのであった。

魔眼の匣の殺人

バウムクーヘン博覧会2019へ行ってきた。

2019年03月04日 20時22分53秒 | おすすめ


平日のお休みを利用してバウムクーヘン博覧会2019へ行ってきた。まずは、焼きたてバウムクーヘンを食べるべく整理券を取りに並ぶ。



整理券を取って並んでいる間に、バウムクーヘンは着々と焼かれ始めていく。



そして、あれよあれよと言うままに焼き上がり、美しく裁断されてアツアツのバウムクーヘンがやってきた。



何もトッピングしないプレーンと「追いバター」をトッピングしたものを妻とシェアする。軽いノリでトッピングしてみた「追いバター」がことのほか美味しいことを発見する。来年も行くことがあれば絶対「追いバター」トッピングだな。ちなみに、この焼き立てバウムクーヘンはユーハイムがやっているのだが、ブースには何も書かれていない。お店の人に尋ねると「ユーハイムです」と答えてくれるし、スタッフスペースのトレーやらの備品が全てユーハイムさんのものなので、尋ねなくてもわかるといえばわかる。

神戸と言えばバウムクーヘン、日本でバウムクーヘンと言えばユーハイムで、今回の企画もユーハイム発信だというし、各店舗のブースだけに留まらず、焼きたてブースをも「ユーハイム」としてしまうと、まるでユーハイム博覧会みたいになってしまうので、そうしなかったのかなとか邪推してみる。



続いてはバウムクーヘンBAR47というもの、まさかAKB48とか意識してないよね??
各都道府県ごと1銘柄ずつ参加していて、それらを自由な組み合わせで5つ選んで400円で試食できるというもの。プラス150円でコーヒーが、更に無料でミルクをトッピング出来る。我々がチョイスしたのは、何とまあシンクロ率充填120%的な。。。

1東京都 洋菓子ヴィヨン バウムクーヘン
チラシには「ラム酒とナツメグの香りが特徴じゃ」と書かれていてラム酒推しで食べてみたがラム酒の風味は無く、むしろナツメグが強烈に香ってきて。こんなにもナツメグ風味を醸し出すことへの必然性を見いだせないまま食べ終えた。これは無いな。

2山梨県 パティスリー・ザ・エレン エレンバウム「時のなる木」ハードタイプ
チラシには「表面はカリッと中はしっとりとした食感が特徴」とあったが、カリッと感もしっとり感もなく、中が詰まり過ぎてもっさりした感じだった。正直なところ、どのような状態で切り分けたものを保存しているのかが見えないので、オーダーが少なければぱさぱさ感が増してしまうのは否めないなあとも思ったよ。元からこういう質感の食べ物なのかもしれないけどね。

3大阪府 松月堂本舗 パインバウム
チラシには「パインアメの美味しさがそのまま楽しめる」とあったが、まさにその通りの風味。しかしなぜ、パインアメ?と思ったが中心に穴が開いていること繋がりで行けば理解はできる。。。か。妻に言われてなるほどと思ったが、少しビールのような風味を感じた。パイン由来の酸味と、そして微かな苦みのようなもの。もしやビールのお供になるのではないかと思ってもみたり。



4福岡県 ボンサンク ブリュレ・ド・サンク
チラシには「ほろ苦いキャラメル層のしっとりとしたコクのある食感が絶妙」とあった。外周部のキャラメリゼに相当する部分はキャラメリゼというよりもむしろ、キャラメリゼ風味のゼリーといったところ。このゼリー状の物体が生地に染み込んでいる部分がなんとも美味しかった。13時くらいに会場に行った時は、商品自体は売切れになっていたが、その理由はわかる気がするけど、これを1/4個とか食べるのは甘さが多くて少し大変かなとも思った。



5沖縄県 大家スイーツ工房 福ブラウン
チラシには「黒糖の深いコクや豊かな風味を活かし」とあったが、黒糖由来のコクや風味は全く感じられずだった。。。

オマケ 神戸市 UCCコーヒー
さすがご当地のコーヒーだけあって、なんちゃってではなく美味しいコーヒーをいただくことが出来た。
てな訳で、バウムクーヘン博覧会は、ご当地神戸において、ユーハイムのバウムクーヘンとUCCコーヒーの美味しさを再認識する博覧会であったような気がするよ。



チラシより...

Q:日本でいちばん最初のバウムクーヘンって?
A:1919年3月4日、ドイツ人捕虜による作品の展示即売会が広島県物産陳列館(現・原爆ドーム)で開催され、そのときドイツ人菓子職人のカール・ユーハイムによって焼かれたのが日本で最初のバウムクーヘンである。

ってことは、100年前のまさに今日3月4日が、日本で最初にバウムクーヘンが焼かれた記念日ということになる。この偶然は何気に嬉しいよ。
日本のバウムクーヘンの発祥は神戸ではなく広島なのね。だから、このバウムクーヘン博覧会も「そごう神戸」と「そごう広島」だけの開催なのね。

台風24号による計画運休

2018年09月30日 12時32分58秒 | おすすめ


前回の台風21号による都市機能への影響が甚大であったこと、甚大ではあったがJR西日本を中心に行われた計画運休が功を奏し人的被害は最小限に抑えられたこと、などにより今回も計画運休が盛大に行われている。今回の再接近は30日の21時前後ではあるが、28日くらいから計画運休の予告発表があり、29日の夕方には計画運休の内容が発表される事態となっている。それに伴って、関西圏における主な百貨店、グランフロント大阪やルクアを始めとする大型複合商業施設、海遊館やUSJ、ひらかたパークなどが終日閉店や閉園を発表している。平日の通勤の足を奪われることによる経済的損失もさることながら、休日の商業活動の機能停止による経済的損失も、これからの課題になっていくのではないかとも思う。

てな訳で、30日AM中に発表されている運行計画をまとめてみた。



↑↑↑近鉄:全線で遅延中。



↑↑↑南海:12時頃から順次取りやめ。



↑↑↑京阪:15時頃までに全線運休。



↑↑↑阪急:昼以降の運休の示唆に留まる。



↑↑↑阪神:山陽との相互乗入の一部中止。自社線については昼以降の運休の示唆に留まる。



↑↑↑(1401追記)阪神:指定時間以降、当面の間は普通電車のみで運行。



↑↑↑(1435追記)阪神:普通の最終電車を発表し、17時頃までに全線運休。



↑↑↑山陽:12時頃までに全線取りやめ。



↑↑↑神戸市営地下鉄:15時をめどに西進中央~名谷間の一時見合わせを示唆。



↑↑↑神戸新交通:今後の取りやめを示唆。



↑↑↑神鉄:15時30分頃までに全線運休。



↑↑↑泉北高速:相互乗入の一部中止と今後の運転休止を示唆。



↑↑↑新幹線:概ね12時頃までに運転取りやめ。



↑↑↑(1301追記)東京行きの最終の「のぞみ」はこんな感じになっているらしい。



↑↑↑JR東海:中でも伊勢方面を走る参宮線がいちばん早い運休。



↑↑↑(1301追記)JR東日本:20時以降の運休を発表。



↑↑↑(1411追記)JR西日本は、全ての列車の運休が完了したことを発表した上で、



↑↑↑(1411追記)翌10月1日(月)においても、ほぼほぼ全線にわたって始発から運休する可能性を示唆するという念の入れよう。





↑↑↑(1744追記)とまあ、そんなわけで本丸が再接近するのはもうあと2~3時間ほど先なのだけれども、気が付くと関西圏内にある主要な鉄道路線網は地下鉄線を覗いて全て運休となっていた。

エクセルシオールでラテマキアートをば

2017年08月20日 21時23分38秒 | おすすめ



カフェマキアートを初めて頼んでみた。
なんでもカプチーノよりもミルクが多めなのだとか。

このお店ではラテアートを作る工程をカウンター越しに見ることができるのだが、カプチーノのようにエスプレッソにミルクを垂らすのではなく、ラテマキアートはなんとミルクにエスプレッソを垂らすのだ。

おおまかな工程は次の通り…

ガラスのカップに入った白い液体にエスプレッソで丸く円を描き、すぐに円の中心に残りの液体を垂らす。さらに時間を置かず先の尖った棒で円弧に対してグルリと手を動かしながら円の中心から外へ、外から円の中心へと手首を返していくのである。

ペペペペペ~ッって…

あらかじめ確保しておいたテーブルに運び改めてカップを横から眺めると、上澄みは細かい泡の粒だったらしく、色的に2層構造が出来上がっていたので驚いた。

ああそうか、だからカプチーノは陶器のカップでラテマキアートはガラスのカップなのかと。ミルクの甘い感じが嬉しい、優しい味のラテマキアートにホッコリする休日午後の昼下がりであった。

生産終了発覚日にiPod nano(第7世代)をお買い上げ~

2017年07月29日 12時09分21秒 | おすすめ


7/27(木)夜
妻の使っているiPod(第3世代)がそろそろお釈迦になりそうだとのことで、週末の7/29(土)にiPod nanoを買いに行くことを決める。

7/28(金)朝
そのわずか7時間後、目覚ましタイマーとして使っているiPhoneのネットニュースの文字情報に「7/28(金)未明にiPod nano生産中止」の報が表示される。土曜日まで待つ案と合わせ正午過ぎまで協議した結果、たまたま午後から振替休日だったこともあって、大阪で妻と待ち合わせをしてiPod nanoを買いに行くことにしたのであった。



更に、近年中に壊れる可能性のある私のiPod nano(第4世代)くんも、予定代替品の繰上げ新調を兼ねてiPod nano(第7世代)をお買い上げしてみた。まあ、そんなわけで、生産終了発表日がiPod nano(第7世代)の購入記念日となった次第である。



この時間がいちばん楽しいかも。。。

『君の膵臓を食べたい』を読んだ。

2017年05月15日 00時06分51秒 | おすすめ


読み始めはイメージと違うなあ、とっつきにくいなあと思いながら読んでいたけれど、途中からぐいぐい引き込まれた。そして、不覚にも泣かされてしまった・・・とあるカフェの奥の席でだけどけっこうジュビジュビ涙が出てきた。


ここから


先は


ネタバレ


なのかも。


よく考えられたストーリー構成だと思った。登場人物たちのやり取りが軽すぎて少し疲れるところもあったが、それでも心に刻みつけられるようなハッとする表現も多かった。総じて良い物語だと思った。

前半は、主人公から見た主人公自身の内面と、主人公が見たヒロイン桜良(さくら)の外面のみが描かれる。そして、、、呪文のようなあの言葉「君の膵臓が食べたい」この言葉を発したときに世界が反転する。

後半は、桜良らか見た主人公の外面とヒロイン桜良自身の内面を中心に描かれる。だが、そこには既に桜良はいない。そう共病日記の中で、そして遺書として描かれるのだ。前半をA面としたときに後半はB面となる。全てはこのB面のためにA面が描かれていたのだと思うと、何もかもが切ないものに感じられる。

桜良のいずれやってくる「死」は不可避なモノとして冒頭から提示されるのだが、それこそがこの小説における最大のトリックだったことを知る。謎かけは他のところにたくさん貼っているように見せかけておいて、実は「そこを攻めますか?」という展開が待ち受けていた。本当に「そう来たか!」という驚きがあったし、いやいやそうなんだよねというしっくり感もある。

これはまた時間を置いて再読したいなと思う。
ちなみに、7月28日に映画化されるということだけれども、予告編を見る限り、ラストはちょっと変えてそうな感じがする。見るべきか見ざるべきか迷い中である。
君の膵臓をたべたい

初めての本格狂言会を見てきた。

2017年04月30日 21時16分00秒 | おすすめ


知人が出演するというのと、会場が中野であることでとりあえず行ってみた。(正直そんなことでもなければ足を向ける理由は私にはなかった)

大蔵流五家狂言会・・・うーん、大蔵流も五家もよくわからないまま、だけれど、一応演目から簡単なあらすじだけは頭に入れて観劇に望む。以前、手塚治虫のブラックジャックのあるお話を狂言に取り込んだ勘当息子というのは見たことあったが、それきりだったので多少の構えもあった。

ところがどうだ。想像していたものと全然違っていて、とにかく展開がスピーディーでテンポよく、しかも古典的な(そりゃ古典芸能なんだもの!)笑いなのに、なぜかクククっ、ヒヒヒっと思わず笑ってしまう不思議な要素を含んでいた。

演者たちの声はよく通り、姿勢はすこぶる良く、身のこなしが軽い。表情は豊かで、言葉は少し古いが、集中して聞けば何を言っているかわかるし、それがわかると物語も終わり方もすごく軽快に見え、思わず拍手をせずにはいられないことに我ながら驚いた。

これまでクラシック音楽や外国のPOP音楽のステージは何度も見ているが、狂言会館での鑑賞というのも初めてで、入口の雰囲気、ホワイエ(?)の雰囲気、お客さんの雰囲気、それぞれが独特で面白いのである。

今まで食わず苦手(少なくとも嫌いではなかった!)の分野だと勝手に決めつけていたが、これはもしや新しい世界への扉を開いてしまったかもしれない。先日訪れたGINZA SIXの地下3回にある観世能楽堂でも狂言の舞台が催されることもあるようなので、機会があったら是非訪れてみたいところである。



ちなみにこの建物、品があって1960年代後半くらいの有名な建築家さんの隠れた名建築かなと思って検索してみたら、大江宏氏の1960年の作品なのだとか。そんな建物が中野にひっそりもあることも驚きだが、そんな風情のある建物で観劇できたことも私にとってはプチサプライズであった。