『プロジェクト×(ペケ)』シリーズの第4弾である。第3弾はコチラを参照あれ・・・ プロジェクト×(ペケ)3【B&B到着、そして彼方のオーロラへ】
朝食はフランスパンのトースト・チーズ・ヨーグルト・ハム・オートミール・オレンジジュース・ジャムとフランスの一般的なものである。これにプレーンオムレツを焼いて出してくれた。個人的に気に入ったのが巨大ピクルスである。私にとってのピクルスとはマクドのチーズバーガーに申し訳なさそうに挟みこまれているソレか、町中のカフェのサンドウィッチセットの端に串刺しにされているソレくらいしか経験がないだけに、この大きさは衝撃的だった。しかも、輪切りではなく、なすびみたいに切っているし・・・。もちろん酢漬けなんだけれど、他の食品が麦製品・乳製品である中では、結構刺激的で美味いのである。結局、3切れあった全てを食べつくしてしまった。
昨夜の夕飯の時に次の日の朝食の時間を言っておかなければならない。逆に言えば宿泊客の要望に応じてくれるのである。但し、食べ初めはいちばん遅くて午前11時までである。当然、夜更かし必至の私は、11時朝食をお願いしていたのでなんとか旅の疲れを8時間睡眠で解消できたような気がする。しかし、昨夜のオーロラには正直がっくりさせられた。(日頃の行いがいいので)狂喜するようなオーロラが見えると信じて疑わなかった私にはツライ体験だった。そんな衝撃もあってか、朝食後、またもやベッドに潜り2時位まで仮眠、そのあと室内で30分程マッタリとしてから周辺を散策することにした。
出発の前にフロントの電話機からCJリンクサービスへ電話を掛ける。昨夜、上村氏より明日10日のユーコンクエストのことを聞かされていたからである。松宮氏からの説明の際に「ダウンタウンまでの送迎は片道35$。通常は二人以上が最少催行人数なんだけど、明日は他のB&Bからダウンタウンへの送迎が朝10時にあるからそれに便乗すれば大丈夫。送迎希望ならばCJリンクサービスに電話をして欲しい」旨を言われていたのである。
「フロント横の電話機」は実は二台あって、どちらも公衆電話みたいな格好をしてないのでどちらを使えばいいかわからなかった。そこで、呼び鈴を鳴らしてみることに。結局2回鳴らしてみたが誰も出てこなかったので、勝手に拝借することにした。市内であれば一回25Cらしいので後で事情を説明して払えばいいのだし。
実は海外から国際電話以外の電話をしたのがこれが初めてである。ちょっと緊張・・・。CJリンクサービスに電話が繋がると何だかとてもネイティブな英語で何かを言われる。きっと「はい、CJリンクサービスです」みたいなことを言っているのだろう。で、そんなん言われてもわからない私は咄嗟に「Japanese speaking please」とタドタドしい英語で答えてみた。すると、急に柔和な口調に変わった。松宮氏だったのである。というわけで、明日はダウンタウンにユーコンクエストを見に行く事になった。
ちなみにユーコンクエストとは2年に一回ユーコン準州内で開催される犬ぞりレースの世界選手権大会である。開催はスタート地とゴール地が回ごとに変わり、ななんと今回はホワイトホース中心街のメインストリートがスタート地なのだと言う。日本人選手が1人出るみたいなのでこれも楽しみである。
昨日は夜到着だったので全く周辺の状況がわからなかったが、周りは広い丘陵になっていた。ハイウェイと丘の間には雑木林があって、車両の往来はわからないようになっている。昨夜、松宮氏より「あまりお薦めできない」と言われたユーコン川を目指すことにした。何故お薦めできないのかと言うと、ハイウェイ沿いに30分ほど歩かなければならないのであるが、ハイウェイは車やトレーラーがビュンビュン飛ばしながら走り、その道には歩道がないからである。(路側帯はあるのかどうか未知だけど有っても、雪で覆われていて見えない)
そんなわけで、私もこんなところで命を落としたくないのでハイウェイ脇の雪の積もった部分を行けるところまで歩くことにした。フツーに歩くと足が新雪にはまって身動きが取れなくなるのでスノーモービルの轍の上に足を載せながら慎重に歩くことにした。
そして、30分ほど歩いたところでどうにもこうにも新雪に足を取られて前に進めないところまで来てしまった。きっとフツーに歩いたら10分くらいの距離しか進んでいないのできっとユーコン川は上の写真のあの林の向こうくらいになるんだろうなと思いつつ、やっぱハイウェイを走るトレーラーが日本のソレよりもはるかに巨大なことにおののきつつ引き返すことにした。今度は来た道と反対側に進んで見る事にするがこれも30分ほど進んだところで、どうにもこうにも前に進めないところで立ち往生、しぶしぶ帰る羽目になってしまった。
でも、ツラツラと歩いてみると沿道にはわずかだが2~3件の民家のようなものが見えるし、ハイウェイの交通量も無茶苦茶少ないわけでもないことに気がついた。
ハイウェイから離れて宿に戻る一本の道の向こうから一匹の犬がコチラ目掛けて走ってくるではないか!犬は立ち止まっては吠え、吠えては走り出し、私のことを不審者だと思い威嚇しているようなのだ。しかも、私が次ぎの足を前に出しても後ろに出しても奴の挙動は「前進あるのみ」みたいなスタンスでだんだん私との距離を詰めてくるのである。
こんな誰もおらんところで犬に襲われても、きっと誰も気がついてはくれないんだろうなあ。そんでもって、血まみれになりながら行き倒れ、ここで凍死なんかしちゃったりしてとか、いろいろ考えていると、遠くの方で笛の音が聞こえた。犬は私との対面を名残惜しみながら笛の音の方向に去って行った。
しばらくすると全身防寒具に身を包んだ白人の若い男性が犬を連れて歩いてきた。この人の飼い犬だったのね。向こうはコチラに敵意がないことを示すために「ハイ!」と手を挙げて挨拶してきたのでこちらもビビッて(?)ないよということを示すため(?)に「ハイ!」と手を振り上げ挨拶をした。
でまあ、そっから簡単な会話が始まる。向こうは日本人大歓迎みたいな雰囲気でいろいろと聞いてくる。せっかくなので覚えている範囲で復元を試みる。本当に中学英語をカタカナ読みしかしていないのだが、この恥ずかしさを励みに次回はもっと頑張ってみようと思う。(以下、白人氏は赤字。私は青字)
How do you doing?(←なんかこんな感じに聴こえたので) I'm fine,thank you.
Where... Osaka. Osaka?it's big city.
This dog name is "SACHI". SACHI? its good name.
北欧系の人名にはよく「アキ」「マキ」「ミカ」という名前が男性に付いていたりするので、もしかしたら「サチ」も?と思ったが、ここは北欧ではなくカナダである。緯度は似ているかもしれないが文化圏が全然違うのでこれはありえないかなと思ってみたり。本当はココで「『サチ』という音は日本では「幸せ」のことです」くらいのことは言いたかったのだけれど、文章組み立てている間に話題は次ぎのネタに・・・でも、後からいろいろなことを総合的に考えてみると、本当に日本語名が由来だったのかもしれないと思った。で、話題はオーロラの話へ。
Are you photographer? It's hobby. Oh hobby,it's good? No...I could not look northen litgts last night. Beacause cloud? Yes.
そして、何日いるのと聞かれ(←何と言われたかは忘れてしまった)
Four days.Today is two... Second? Yes second.
そんな感じでものすごく日本人慣れしていて、英語の出来ない日本人の対応もものすごく上手いなあと思った。最後にHave a nice trip!と言って歩いて行った。外国人と話をしていてこんなに楽しいと思ったことはこれまで一度も無かった。ちゃんとこっちが言おうとしていることを真摯に受け止めてくれようとするし、こちらの耳でわかるようにゆっくりと話してくれるからである。彼との会話を楽しんでいる間、サチは私の足元で、そんな私のことをシゲシゲと珍しそうに仰ぎ見ていたのである。サチとの出会いは私にとって幸せなひとときだったのである。
そうこうしているうちに、体感温度が急にグッと下がり始める。日中でも肌を露出させているとヒリヒリと痛みを帯び、そのうち感覚がなくなって来るくらい寒いのである。たまにフェイスマスクなんかを出して防護するんだけれど、手袋をしている指の先までもが感覚がなくなってくる。なんというか、腕の先に自由の利かない突起物である指がくっついているような感じ。ちょっとマズイなあと思い急いで宿に戻り、浅いバスタブに湯を張り半身浴でカラダを温めることに。軽い凍傷にでもなったら大変ことである。凍傷はカラダの先端からやられるので、まさに指先の感覚の麻痺はその前触れでもあるのだ。
静かで美しい夕景にタロー君もご満悦の様子・・・って、また持って行ったんかい!!とツッコミが入りそうだけど・・・。そして私は2回目のオーロラ鑑賞に臨むのであった。
続きはコチラへ→プロジェクト×(ペケ)5【オーロラ観測2日目の夜】