クラシック通のアナタなら
「何を、また冗談をぉ。ラフマニノフのピアノ協奏曲は4番までしかないでしょ」
と思うはず。
そして、
『さては、まっしゅ。エイプリルフールを目前に控え、とち狂ったか!』
とも思っているはず。
しかし、クラシック狂のそこの彼なら怖いもの見たさで既に持っているかもしれない。
私が、これを入手したのはほとんど偶然と言ってもよいかもしれない。
というのも、普段、昼休みに行かないHMVにふらりと立ち寄って、当ても無くクラシックの新譜コーナーに目をやり、思いがけず目に飛び込んできた金字の「V」の文字。何の「V」なのかもよく考えず手に取る。そして私の脳細胞はこう呟くのである。
「何を、また冗談をぉ。ラフマニノフのピアノ協奏曲は4番までしかないでしょ」
どうせ、すぐに聴き飽きて棚に並べられてしまうのにと思いつつも、もしやこの一枚で至福のひとときを過ごせるかもしれないという淡い期待も抱いてしまうところが、クラシックファンの哀しい性であると言ってもいいかもしれない。
結局、私は買ってしまったのだ。
このCDはラフマニノフの遺した幻の「5th Concert」なのではなく、彼の交響曲第2番を善意の第三者がピアノ協奏曲に編曲しただけのものなのである。個人的には、こういう遊びを真面目にやっている人たちもその結果生み出された作品も好きであるし、実際に聴いてみるとこれがどうしてなかなか面白い!!
ただ、残念なのが某サイトのレビューにも書かれているが、一番期待していた第二楽章が割愛されているのである。編曲不可能によって削除されてるのか、アチラの国では大して人気の無い楽章なのか、それとも無理やりコンチェルトスタイルの3楽章式にしたことにより、緩楽章であるアダージョ楽章が残されたに過ぎないのか真意は今の所不明である。あと、終楽章の破綻振りはヒドイけど、これもまた「真面目なお遊び」としての一つの味なのかなあと思う。
ラフマニノフのピアノコンチェルトを初めて聴いたときは、チャイコフスキーやらグリーグやらそれまで私が聴いた事のあるピアノ協奏曲とは明らかに趣を異としているのがわかった。それはまるで「ピアノ伴奏付きのシンフォニー」の様であったからである。ならば、同じ要素を含んでいる交響曲第2番にピアノ伴奏を加えたい、ひいてはピアノ協奏曲に編曲してみたいと思うのは、ある意味当然の欲望だと私は思うのである。
しかしながら、ただ一つこのCDのおかげでわかったことがある。それは、「ラフマニノフ自身が交響曲第二番をシンフォニーとして完成させ、ピアノ協奏曲を(ピアノパート付きの)シンフォニーにしなかったこと。そして、その逆も無かった」ということが何故なのか、わかるような気がするのである。まあ、ラフマニノフ自身が編曲した結果の楽曲ではないので、氏自身の編曲であれば、また違った楽想になっていたかも知れないのだけどね。
興味の有る人は買ってみてみて~♪
HMVのサイトへGO!→ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第5番」