見に行こうとしている映画の原作が小説だった時、その小説が未読である場合、「原作の小説を先に読むべきかどうか?」「原作を読んでから映画を見るべきだったか?」という命題に悩まされる。
今回は映画を見たのちに、小説を読むというスタイルになったが、個人的にはそれが一番ベストだったように思う。原作を見ていたおかげで小説の登場人物たちは、妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、柄本明、宮崎美子、松尾スズキさんたちにそれぞれ同化した。そして文中に漂う何とも言えない閉塞的な漂泊感は久石譲の紡ぎ出す旋律に溶け込んでいった。
映画だけでは理解できぬ事柄はたくさんあったが、その全てが今回小説を読むことで全てを埋めることが出来たのは、映画が出来るだけ原作の質感を損なわない様に製作されたからなのだろうと私は思う。映画で淡々と進められるシーンと同じように(「淡々と進んで行く物語」は映像で描くよりも、文章で表現することの方が格段に難しいように思っているのであるが)原作もまた何というか淡々と、それでいて読みながらも切なくて切なくて、目頭が熱くなるシーンがあったりして、それらのギャップがとても不思議でならない気がした。
次は、もう一度DVDなどで映画「悪人」を見直したくなってきた。本当にとてもいい読み物を読んだと思う。ところで上記の命題と同じく「で、結局、映画と原作はどちらが良かったか?」という質問もよく頭に浮かんで来るのであるが、今回は原作に軍配が上がっている。もし、映画を観る前に原作を読んでいたなら、果たして清水祐一や馬込光代の人物像をどのように想像しながら読み進めていたのかも実は個人的に興味津々なところである。
悪人(上) (朝日文庫)
悪人(下) (朝日文庫)
映画「悪人」を見た
今回は映画を見たのちに、小説を読むというスタイルになったが、個人的にはそれが一番ベストだったように思う。原作を見ていたおかげで小説の登場人物たちは、妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、柄本明、宮崎美子、松尾スズキさんたちにそれぞれ同化した。そして文中に漂う何とも言えない閉塞的な漂泊感は久石譲の紡ぎ出す旋律に溶け込んでいった。
映画だけでは理解できぬ事柄はたくさんあったが、その全てが今回小説を読むことで全てを埋めることが出来たのは、映画が出来るだけ原作の質感を損なわない様に製作されたからなのだろうと私は思う。映画で淡々と進められるシーンと同じように(「淡々と進んで行く物語」は映像で描くよりも、文章で表現することの方が格段に難しいように思っているのであるが)原作もまた何というか淡々と、それでいて読みながらも切なくて切なくて、目頭が熱くなるシーンがあったりして、それらのギャップがとても不思議でならない気がした。
次は、もう一度DVDなどで映画「悪人」を見直したくなってきた。本当にとてもいい読み物を読んだと思う。ところで上記の命題と同じく「で、結局、映画と原作はどちらが良かったか?」という質問もよく頭に浮かんで来るのであるが、今回は原作に軍配が上がっている。もし、映画を観る前に原作を読んでいたなら、果たして清水祐一や馬込光代の人物像をどのように想像しながら読み進めていたのかも実は個人的に興味津々なところである。
悪人(上) (朝日文庫)
悪人(下) (朝日文庫)
映画「悪人」を見た