ラ・デファンスは人工的に作った巨大な人工地盤の上にシンボリックな高層ビル群が立ち並んでいる。では、巨大な人工地盤の端っ子は一体どうなっているのか?、旧市街地からの眺めはと言うと、当然のごとく、人工的な盛り上げられた新市街地を見上げるような感じになっている。しかも、ちょうど私たちの宿泊地付近は新市街地で今もなお継続して建設が続いている地区のものと思われる工事現場事務所が設置されていた。
上から見るとこんな感じ。前の写真はこの写真の左下付近から右方向を見上げたもの。前方の高架道路はデファンスの新市街地をかすめるような軌跡を持って通っていてちょうど写真中央付近で人工地盤上の建物のファサード部分のロータリーにアプローチできるように分岐している。正面の建物は人工地盤の縁に建っており、左手側の旧市街地方向からは地上階を通じて、右手側の新市街地方向からは中層階を通じてそれぞれアクセスできるように設計されている。また、前方の高架道路の下をくぐる電車はSNCF(フランス国鉄)でラ・デファンスを南北方向に貫き、ちょうど新凱旋門の真下で東西交通のMETRO-1号線とRER-A線とTRAM-2号線との乗り換えができるようになっている。
高架道路右寄りの分岐部分をズームアップしてみたもの。この形態は再開発地帯のみならず、フランスでは片田舎の農村地帯でもたまに見られる携帯なのだが、横断歩道部分が歩道の高さに合わせて車道側が凸型に盛り上がっているのである。こうすることで歩行者は無駄な段差を上り下りせず、まさにバリアフリーで横断歩道を往来することができ、逆に通過車両は車体に衝撃が来ないよう相当減速せねばばらず、歩行者の安全がより効率よく確保されるというのである。なかなかいいね、このシステムは!
真横から見た新凱旋門。この角度からの眺めではあまりシンボリックさがなく、とても不思議な感じがする。
グーグルマップで見るとよくわかるのだけれど、人工地盤の真下には自動車専用道路が縦横無尽に走っているのだけれども、今回、バスでこの下を走ってみて改めて思ったのは、地下のトンネル内での分岐ジャンクションが非常に多いということと、ところどころにパーキングが点在しているということである。これらはもしかすると各ビルディング専用のパーキングになっていて車で来訪した人たちは、直接ビル内のパーキングに車を止めるのだろうなあと思ったりした。
ここで、一晩旅の疲れを軽く癒したあと、ツアーバスに乗り込み一路ベルサイユを目指して走りだす。このアングルでグランダルシュを見上げると、割と人工地盤の端の方に建ってるのだなあと思う。
ラ・デファンスからベルサイユへは、セーヌ川を渡った先のポルト・マイヨというところから環状道路に入り、ブーローニュの森の東側を走っていくものだと思っていた。それは、現地駐在のガイドさんもそう思っていたらしく、デファンス地区を抜けてすぐのセーヌ川を渡る手前で「これから、セーヌ川渡り・・・」と言っているそばから、運転手は突如ハンドルを右に切り始めセーヌ側沿いに走り出した。さすが、ラテン気質!!ガイドさんも特に驚いた様子はなく「フランスの人たちはいつもこう。我が道を行くのです」と笑って解説して下さってました。セーヌ川沿いにはたくさんの船舶が停泊していて、これらは住居として使われたり船上レストランとして使われているとのこと。船上生活者立ちは病むに病まれず船上に生活してるというわけではなく、相当のお金持ちが生活しているとのこと。気が向けばいくつもの運河を渡りロシアまでも船で行けてしまえるとか・・・なんとも贅沢な話である。
高速道路でよく見かける運搬車。パリの市街地では連節型のパリの市営バスをよく見かけたが、郊外に出ると連節型の業務用の運搬トラックをよく見かけるのにこれまた驚いた。ちなみにおおタイプのトラックは最大で上に5台、下に4台の合わせて9台を積載して運搬してるのである。日本と比べるとスケールでかいなあと思う。
バスの運転手の突然の経路変更が凶と出たのか吉と出たのか定かではないが、往路のセーヌ川畔沿いの道路は大渋滞で予定よりも相当遅い時間にベルサイユ入りをした我々は、添乗員さんも唸らせるほどの入場待機に出くわしたわけで、団体専用入り口であるBゲート前でおよそ1時間近く待たされるのであった。現地駐在のガイドさん曰く、「あとから遅れてきて、我々より先に入場できる団体もいるが、この国はどういうわけかそれがまかり通る。それに対し不満をぶつけると、逆にイジワルされてなかなか通してもらえないこともあるので、この国では怒った方が負けなんです」とのこと。あ、それ、わかるような気がする。
入場制限も激しかったが、実際に入館してみても館内の混雑は相当に激しいものであった。昔、真冬の朝いちばんに訪れた時は、ほとんど人がおらず床の板張りの模様までじっくり見て歩けたが今回はそうはいかない感じである。
そんな中で、今回のベルサイユで良かったなあと思えたことが2つあった。一つは前回のときに上手く撮影出来なかった王の墓が上手く撮影できたこと、そしてもう一つは、
ガイドさんの巧みな解説で当時の暮らしや背景が立体的に理解できたことである。上の写真左側の楕円の中にある絵は、まるで彫像のように見えるように技巧的に書かれてる。実際は平面だということがだまし絵みたいですごい。こんなんは解説無しでは気が付かないままスルーしてしまいそうな事柄だろうなあと思った。このあと、我々はベルサイユ宮殿横のレストランで昼食を撮り、いざシャルトルに向けてバスを走らすのである。
つづく
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