まりっぺのお気楽読書

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『リスタデール卿の謎』新たな一面を見せるクリスティ

2009-10-26 00:56:32 | アガサ・クリスティ
THE LISTERDALE MYSTERY 
1934年 アガサ・クリスティ

“ チャンチャン ” ていうエンディングが多いバラエティに富んだ一冊です。
収載されているのは12篇の短篇。
小さなアドベンチャーとミステリーがちりばめられています。

『リスタデール卿の謎(The Listerdale Mystery)』
金詰まりになったヴィンセント夫人親子が格安で提供された美しい邸宅。
持ち主はリスタデール卿という謎に満ちた人物です。
息子ルパートは何か裏があると睨み探りをいれます。

この物語は、雰囲気は嫌いじゃないのだが内容はあまり好きじゃないですね。
貴族は貴族らしく暮らしてほしいという思いが詰まっているのですけど
食べたきゃ働きなよ! と言いたいですね。
特に娘と息子、アルバイトぐらいしたらどう?

『ナイチンゲール荘(Philomel Cottage)』
遺産を手に入れてジェラルド・マーティンと結婚したアリクスは
ふとしたことから夫の過去が殺人鬼だということを知りました。
逃げ出そうとしたアリクスですが夫が何食わぬ顔で帰って来ます。
アリクスは以前ロマンスがあったディックに助けを求めようと試みます。

これは面白いですよ。
短い物語ですが、緊張感あふれるサスペンスの要素が凝縮されています。
現代では携帯電話があるから難しいことかもしれませんが
アリクスの機転がすばらしい! 私には無理だわ、と思いました。

『白鳥の歌(Swan Song)』
大富豪の田舎の城で公演を依頼されたオペラ歌手ポーラは『トスカ』ならと
条件を出して出演を承諾しました。
急遽相手役に選ばれたブレオンは、開演前に、遠い昔に裏切ったオペラ歌手の
思い出を語りました。

結末はみえているのですが、ドラマティックなので選びました。
主人公ポーラの大物然とした姿が超然としていてクールです。
腰の低い二流タレントよりは傲慢な天才の方が見ていて美しい気がします。
傲慢な二流タレントは… いてもいなくてもどうでもいいや。

ポアロやミス・マープルで名声を得たクリスティが
新しい方向性を模索しているようにも見えます。
でも、やっぱり名探偵シリーズの方が好きかなぁ…
キャラクターがはっきりしているだけに、ストーリー以外の楽しみがあるもの。

火サスや土ワイがシリーズ化されるのもむべなるかな、なんて思います。
家政婦やママチャリや温泉若女将なんて、よく考えたら笑っちゃうけどね

名探偵は登場しませんが、一話一話楽しめる一冊です
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



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