渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

色名

2021年12月03日 | open


運送業者の緑のナンバーは通称青
ナンバーと呼ぶ。
日本語ではグリーンもブルーも
「あお」という呼び方をするから
だ。
なので、昔の信号などは完全に緑
だったが「青信号」と呼んだ。
1960年代の3灯の周囲にシマシマ
の背面板があった頃の信号機の
「進め」の色は全部緑だった。


それが1970年代中期あたりから
濃い水色が登場した。
青葉とは言うが、葉っぱは緑だ。
ブルーではない。緑も青も日本語
では「あお」なのである。
信号機はここ30数年でようやく
青色=ブルーの信号が普及した。
山手線の色から京浜東北線の色に
なったという感じ。
省線時代にはどちらも茶色だった
が。

昔の山手線の色。のちにオレンジ
がかったくすんだ黄色に。さらに
曇った黄緑色になった。
山手線は二系列あり、赤羽-池袋間
も山手線だったが1972年に赤羽線
として名称分離、のちに埼京線と
なった。

いわゆる会社線の新車両導入に
より黄色や緑や青の色分けがされ、
この旧車両はローカル線に回され
た。
私が子どもの頃の国鉄京浜東北線
この車両だった。車内は木造で
入り口入ってすぐのど真ん中に
パイプの柱があった。乗客が転
ばないようにつかまる為の物。
私が学生時代の1980年代の横浜の
国鉄鶴見線はまだこの車両が現役
で走っていたし、高校生の頃は
国鉄赤羽線(現埼京線の一部)でも
この茶色車両が運行していた。
ジュラルミン地肌剥き出しの車両
は東急東横線の東急車輌製が先駆
だが、順次国電(今のJRの通勤線。
国鉄の会社線をそう呼んだ)にも
ジュラルミン地肌剥き出しが普及
した。
塗料はかなり重たいので、全塗装
すると鉄道車両は相当な重量増し
だった事だろう。
貨物自動車のローリー系の大型ト
ラックのボデーやキャビンなどを
フルで全塗装すると、大体80〜
100kgも減トンとなる。
それゆえ、粉粒体運搬車ではない
液体ローリー車などは積載量が減
トンになるのを避ける為にステン
レスボデー(ボディではない業界
呼称)を剥き出しのままにしている
のである。

ところで、茶色はお茶の色なのに
なぜ緑(青)と呼ばないのかと思う。
緑色の事を茶色と呼んでもよい
とは思うが、そのあたりは日本
に茶が入って来た時の命名だろう。
烏龍茶みたいな加工後の茶葉が
日本に来たのではなかろうか。

最近使わなくさせた色名に「肌色」
がある。
これは使用を禁じて正解かと思う。
人の肌の色は白系や黒系もあるか
らだ。日本人の肌の色が標準とす
る発想の命名は現代社会にはそぐ
わない。
旧「肌色」は現在は「うすだいだい
色」もしくは「ペールオレンジ」
と呼ばれる。

ちなみに日本の伝統的な色は現在
の色分けで460種以上あるといわ
れている。
繊細な彩色が求められた着物文化
を持つ日本は、染物を中心として
色に非常に繊細かつ細分化された
区分けの実態と美意識を持ってい
た。
反物屋さんとか、460以上の色を
全部覚えているのかなあ。
いるんだろうなあ。プロは。

上野池之端の江戸時代からの組紐
屋さんの「道明」さんでも、実に
多くの色の糸が用意されている。


和色は特に青系に種類が豊富だ。
日本刀の下緒や着物の帯締め、
羽織紐などでは高級品として上野
池之端道明は1600年代から親し
まれて来ている。


この色見本ほんのごく一部。
なんたって日本の色は465色もある
のだから(笑


薪ストーブの火入れ

2021年12月03日 | open
薪ストーブの火入れ




高速道路にて 〜危険なバトル〜

2021年12月03日 | open
蛇行嫌がらせトラックと煽りセダン

事故にならなかったのが、せめてもの
幸い。

色の流行

2021年12月03日 | open



最近、不思議に思うことがある。
色にはどんなものでもいつの時代
にも流行があるのだが、四輪車
と二輪車で、ここ数年、かつて
無い色が登場して流行っている。


それはグレーだ。


オートバイメーカーやヘルメットメーカー、
カスタムショップ等だけでなく、四輪車
カスタムや標準カラーでもこのグレーが
採用されている。

このグレーは塩ビパイプの色のような
色合いであり、F15イーグルのストライク
イーグルカラーとも異なる。




戦闘機のこの色は、完全な軍事色
であり、空に溶ける単色迷彩色と
して採用されている。
ジュラルミンの磨きだと空の色を
映すので光学迷彩のような現象が
起きてよいのだが、光を反射させ
るために敵に発見されやすくなる。
大戦中に日本への爆撃機が無塗装
の銀地のまま飛来したのは完全に
制空権を日本軍が失っていたから
と高高度爆撃に日本が対応できな
かったから迷彩つや消し塗装など
しなくてもよかったからだ。

銀地は空を映し、色が変化する。


最近流行のグレー塗装は、ストライク
イーグルのブルーがかったグレーとも
色合いが異なるし、戦時中のドイツの
国防軍に見られたジャーマンブルー系
のグレーとも色が異なる。


今流行の二輪と四輪のこのグレー
色は
一体何なのだろうかと思う。

ふと思った。
F15ストライクイーグルが飛行単色
迷彩色
であるならば、ここ2年ほど
で多く登場
してきたオートバイや
自動車も、その発想
が彩色思想に
デザイン的に採用されたの
では、と。
つまり、コンクリートやアスファルト
等の
舗装道路の色にあえて近づけて
いるのでは、
と。
「ことしの秋はサンドカラーを流行
させ
よう」とかのファッション界の
意図的な
思い付きでの色の流行創作
操作ではなく。
アパレルファッションの「流行」と

いうものは、仕掛け人のデザイナー
によって「ことしはこれを流行ら
せる」
と常に意図的に企画されて
展開される。

ユーザーからの自然発生的な流行と
いうものとはファッション界の図式
異なる。消費者は自然発生的な
多くの人々が呼んだ人気
かと勘違い
して流行り物を買って「消
費」する。
流行に左右されないデザイン
とコン
セプトのアパレルショップや
ブラ
ンドは極めて稀有だ。
それらファッション界の思い付きの

色選択とは様相を異にする現象と
して
今の車両のグレー塗装がある
のでは
なかろうか。
仕掛け人が仕掛ける販売戦略として

は同質だが、着眼点の起点が車両の
場合はファッション界のそれとは異
なるように思えるのだ。
これは数値やデータ的な根拠は精査

してない。あくまで漠然たる感想だ。

着眼点としての都市型迷彩色、街と
街道
に溶ける融和的単色迷彩カラー
としての
戦略みたいな基部、一般的
なファッション界とは異なる色選択
の視座のようなものが、ここ最近の
グレー普及にはなんだか見えるよう
な気がする。



コンクリートとアスファルトは微妙に
色が異なるが、あえて色分けでいう
ならば同色系だ。

映画『初恋』(2011)のロケ地から。
最近のレトロ設定の邦画のロケ先の
メッカである北九州市内だ。


コンクリートよりもアスファルトの
ほうがややブルーがかる。
これが夜明け前には「紫のハイウェイ」
となる。(ハイウェイとは英語で公道
の事)


映画『初恋』(2011)のロケ地の
自転車屋さんの原型。



上の店舗を時代つけ外装大道具建築
によって囲って、1968年の新宿の
店舗の雰囲気を出して映画撮影に
使われた。映画製作スタッフの大
道具さんの職人技だ。映画は俳優と
監督だけでは作れない。何百人と
いう人たちが一つの作品に参加して
ようやく作品として完成する。


「時代つけの汚し」の演出技法は
邦画では黒澤明の
映画に始まるが、
J.ルーカスやスピル
バーグ監督たち
もクロサワに強い影響
を受けて自分
たちの作品に反映させた。
元々は日本の刀装具金具などの加工

の世界には「時代つけ」という技法
思想が日本には存在した。英語で
パティーナと呼ぶ。
日本刀の刀装具などでは金無垢は

キンキラキンの金は下品とされ、
金錆と呼ばれるくすんだ時間経過
の経年変化が出たような表面処理
があえて珍重された。新品のピカ
ピカはくそださい、とする日本独自
の美的感覚の文化だ。
それは「偽物」「贋物」の製作目的

ではなく、美的標準値の価値観とし
て日本にはその美意識が歴史上存在
しているのである。
長年に亘り物を使い続けて出てきた
用の美
を貴ぶのが日本人の感性だ
からだ。


とにかく、グレーの二輪と四輪が
増えている。
これは10年前には存在しなかった

現象だ。
日本だけではなく世界でここの

ところ一気に増えた色あいだ。
少し前にはマット(つや消し)の
ブラックが二輪界で大流行した。
これは四輪からの流れだったが、
今回のグレーは二輪のほうが先行
しているように感じる。