渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

会合

2014年11月30日 | 火と土と水、そして鋼

まあ、上野てなあ、位置的には東京帝大の坂下りた辺りなんだけどね。
森鴎外の『雁』に出てきた無縁坂を通ってね。
しのぶしのばず無縁坂、て唄ったのはさだまさしさんだった。
ここらは、高校の帰りによく寄ったのよ、遠い昔に。
東叡山忍岡辺りというのは、坂を下って、また山になる辺りのこった。
しのぶがおか、てのは何だか響きがいいぜ。
ここいらに希代の刀工虎徹興里は住んでた。
長曾袮三之丞さんがなぜこの地を選んだのかは定かでない。

刀工小林康宏と上野駅不忍口改札で待ち合わせ。
待ち合わせ時刻の20分前に改札に行ったら、直紀師匠はもうすでに来ていた。
相変わらずだね(^_^)

程なく、新藤氏も来て、3人で予約していた店にて食事しながら打ち合わせ。
新藤氏に馳走になった。かたじけなし。
詳細事項も合議で確定した。
未来に曇りなし。道は開けた。

帰りにルノアールで3人でお茶飲む。

刀工は、また明日から山に行く。

しかし、直紀師匠は酒強いね〜。
六合呑んでもシャキッとしてる。
俺はビールのみにしといた。中ジョッキで7杯位。

先々月は、玉鋼30キロを持ち上げようとして腰痛めたが、先月は、卸し鉄
用の古鉄持ち上げようとして、治りかけた腰をまた痛めた。
気をつけてちょーよ(≧∇≦)

江戸期の鉄は貴重だが、使う時には使う。
但し、直紀師匠は大肌は嫌いだからね。
如何にも混ぜ鉄って感じの肌にはしない。
だから、上研ぎで小杢が出るような感じなのだが、下手したらツルッペタ
に見えちまう(笑
但し、色は青い。

斬鉄剣製作とは別に「来年は鋼の再研究」と自ら位置づけたようだ。
でも、新ちゃんにも言ってた。
「正直申し上げて、私は刀作りが下手です」
なかなか言えないことだと思う。

康宏刀の鑑定について、あることを直紀さんに確認した。
私の推論は、まさに的中だった。
私は新藤さんにだけこの推測を告げていたが、新ちゃん、私の目利きに驚い
ていた。
私の二代目康宏平成四年作(游雲)は、とても歴史的に貴重な作品と判明した。
でも、こうした真実の歴史は、得てして知る人のみ知っているだけで、
やがて歴史の中に埋れて行くのだろう。
それでも刀は残る。
いや〜、斬鉄剣持っててよかった〜、俺(^_^)
俺のは1/10靖国刀のDNA。今後二度と作れない。あ、娘の嫁入り短刀もだ。
もう康宏で私は鉄は切らないけどね。極上研ぎ後に秘蔵の鑑賞刀にしたし(笑
大正解だったよ。
道理でねえ。91年の『秘伝』の扉の一枚の謎が解けた。
当時、「これはあれのあれでしょ?」と言ったら、鍛人番頭の栗原さんは、
「!!(; ̄ェ ̄)なんで、おまえさん判るの?嫌なやつだね〜、オタクは」
とか言ってた。
今夜、直紀先生もおいらのことを、「初めて会った時はただのオタクかと
思ったよ。でもただのオタクではなかった」(前者と後者の「ただの」は意味
が違う)と言ってた(笑)。
要は「キムのゲーム」なんだよね。生存のための訓練を受ければ、それは身
につく。トロい奴はどんどん死んで行く。瞬時に「違い」と「同質」は
見抜けないと生き残れない。

鉄切りは薄い鉄は逆に加熱が高くて、刀を傷め易い。薄鉄板の厚みで部分的
に焼きが戻ったりする。
5番線が鉄切りには適当との斬鉄剣刀工の談だが、刃付け注意とも言っていた。
硬物には硬物の刃付けにする。
「ほら、昔、ああた(あたくし)と滝田さんが切った鉄板の・・・」と師匠は
例を出して新ちゃんに説明していた。
新藤氏も町井先生と同じく居合斬術の遣い手だが、町井先生同様に注文した
康宏作で鉄を切るつもりはないと言う。
それがいいと思う。300キロの速度が出るバイクだからと300キロ出す
必要ないもの(例えがわけわかめだが)。
300キロ出るの分かってるし。
それに、私の游雲は硬物汎用タイプなので、棟重ねは6.3ミリと薄いが、
地肉たっぷりの断面が餃子だから(笑
大陸語でギャオツーてやつね。
元幅は31ミリだが、二尺三寸六分で刀身単体重量が850gオーバーなのだ
から、ゴツさ推して知るべしてな感じだ。
二尺三寸二分に磨り上げた時に、かなり地を押してもらったけど、それでも
かなり重い。
幅広長大ではなく、パッと見がごく一般的な姿なのに、持った人は「うわ、
何これ」と言う。重いから。
ところが、あら不思議〜。
振ると重さを感じない。バランスが良いから。ナカゴが長いのも、バランス
の良さの一因だろう。
先輩たちは、「お前の康宏は良くないね」と言うけど、私は大満足だ。
イグサ巻特化仕様でも土壇特化ゲテモノでもないからだ。これで抜き打ち
バンバンできるし。勿論、私は抜刀抜き付けで手を切ったことなどは26年間
で一度もない。ただの一度もだ。
平で腕にポンと中って怪我をしたことはあるが、演武や稽古の抜刀・納刀で
は一切手を切ったことがない。
手を切ることは居合の師匠からは教わっていない。
教わっていないことはやりようがない。
ニセモノの自称でない土佐の直伝英信流本流の抜刀法を守れば、手など切る
要素がない。微塵もない。
正しい刀法は安全なのである。その安全は、危険から逃げることではなく、
死線の中で生存のために先人が編み出した術としてある。
抜刀後の物切りだけをやっていては、到底マスターできないどころか、知覚
さえできない。これは断言できる。

えーと、それと、刀で石は切れません。
それはファンタジーですから(笑
皆様も妄想族にならないようにお願いします。

打ち合わせで面白かったのは、昔の話で、作刀依頼あっても、依頼者の
態度が横柄で直紀さん自身が断った
話だった。
でもって、それは今でも私の窓口でも継承している。
俺様大将には絶対に作らない。
あと、慇懃無礼な人ね。
新作刀の注文主は選ばせてもらっている。経済的なことや社会的地位や
肩書きは一切関係ない。人物だ。
これは、今後も変わらない。
なぜならば、直紀さんと私の100%合致意識で、人を差別するのが嫌いで
あるがゆえに、その意識性の地平に頓着しないような人は区別するからだ。
まあ、こういうのは人の心根の問題だから、解り得ない人は一生解らない
ことだろう。
つまり、我々とは縁がない。
出会う前からサヨウナラてやつなのさ。

一番おかしかったのが、康宏先生の勘違いだ。
「だって、ああた(あちきのこと)、まだ45歳位でしょう?」(康宏談)
今54だと言うと、「え?ええっ?!」と。
センセ、出会ってからもう23年経ってるのよ(笑
初めて会ったのはご自分が47歳の時で、あたしが31歳だったんだから。
直紀先生、時間が止まってます(≧∇≦)

てか、離れて7〜8年位の感覚から来る錯覚なのかも。私もそれ位の感覚だし。
実質は、俺が東京離れてから16年が過ぎた。
てか、先生、おかしいわ(^_^)
娘が生まれた時に記念にくれた娘の嫁入り短刀だったが、その俺の娘が今年
大学入学だよ(笑
娘が直紀先生の大学の後輩になったのは単なる偶然だけど(^.^)

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上野の御山

2014年11月30日 | 外出・旅

「これはどなたですか?」
(除幕式に立ち会った故西郷吉之助の妻の弁)

歴史捏造は、常にある。



上野の御山を歩く。



おフランスな雰囲気のカフェ。


寛永寺。






ここがどんな寺か解ります。



清水の舞台。






本当に山なのよ。
小高い丘程度だけど。

















刀工との待ち合わせまで、まだかなりあるので、不忍通りから裏路地の
アメ横へ。
小学生の頃から親しんだアメ横で時間潰し。



昭和だぜ(笑



5時間ほど歩いたので、休息を取るため、喫茶店に。


アキバのニセメイドではなく、本物のメイドさんがいるカフェです。


今、ここ。

本日は、刀鍛冶と和食で会食です。
虎徹が住んだ場所のそばを選んだのは、私のささやかな思いです。

来年か再来年には、かぬち会で忘年会兼ねた会合なんてのができると
よいですね(^.^)
その前に、鍛刀場合宿ツアーを組みますけど。
九州の軍刀研究者の先生も参加します。
鍛刀場のすぐ近くにペンションがありますから、泊まりはそこかな。
鍛治場横の母屋にも泊まれますけど、ここは数名なので、刀工と弟子
専用みたいな感じになるので。
来年、平成27年は、いろいろな親睦会を企画しようと思います。
規則も会費もない集まりの、真の親睦会を。
参加条件は、ただ一つ。
小林康宏の刀が好きな人。
ジャスト・イン・オール。

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星が流れて行くのは -2001-

2014年11月30日 | 音楽


「あり得ない偶然」を発見した。
でも、むしろ私は嬉しい。
判る人には解る。
あ、これは!と。
歌詞見れば直ぐに判る。
ごく一部の昔の私の音楽仲間しか判らないだろうけど(笑
でも、題名に隠されたメッセージに水面下での思いが乗せられている。
あり得ない偶然って、あるよね?
ね、正やん(^^)
源氏だしさ(^_^)

ただ、知名度の問題から、どちらがパスティーシュかは、一般人には
判らないことだろう。

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新橋駅前

2014年11月30日 | 外出・旅








JR新橋駅。
昔、横浜からの通勤で毎日利用していたのですが、新橋駅前にはSLがあります。
省線時代は知りませんが、機関車は私が大学生の頃の国電時代からあった。
通称「SL広場」と呼ばれています。

昨夜は機関車のイルミネーションがとても綺麗だった。
大音量のクリスマスソングに合わせて変化していました。
多くの人が写真を撮ったり動画に収めたりしているのですが、居酒屋の
チラシ配りのあんちゃんがド真ん前で立ってどかずにます。邪魔(笑
SLの真ん前にいても、人はそこを通らないってば(≧∇≦)
ビラ配りがわかってないなあ(笑

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プレミアム・カフェ・グラッセ

2014年11月29日 | 外出・旅

お。ここですよ。

まあ、いわゆるアイス・コーヒーなのだが、淹れ方が違う。
新橋なので、1杯860円もするのであるが、飲むのである。
うまし。

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雪国

2014年11月29日 | 外出・旅



「まだ人の顔は見えませんわね。
今朝は雨だから、誰も田へ出ないから。」
雨のなかに向うの山や麓の尾根の姿が浮かび出してからも、女は立ち去り
にくそうにしていたが、宿の人の起きる前に髪を直すと、島村が玄関まで
送ろうとするのも人目を恐れて、あわただしく逃げるように、一人で抜け
出して行った。
そして島村はその日に東京に帰ったのだった。







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越後湯沢

2014年11月28日 | 外出・旅


国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。
駅長さあん。
ここは越後湯沢にござる。

駒子おらず(笑

いろいろあるけど、まあ、そういうこともあるかもね〜、くらいにとって
おいてちょ。
江戸時代のことは知らんし、イレギュラーな稽古技を普遍的とみることは
できないしさ〜。
あんまし、突っ込まれても、リンダ困っちゃう〜。


つーこって、これから温泉に浸かる。


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庖丁研ぎ講習動画「研ぎ澄ます切れ味」全編

2014年11月25日 | 刃物

藤次郎ブランドの新潟の藤寅工業の研ぎ解説動画です。
参考までにどうぞ。

庖丁研ぎ講習動画「研ぎ澄ます切れ味」全編


私は「切れ味」ではなく、「切り味(物理的にどれだけ切れるか
ではなく、使い手の好みのタッチのこと)」に対応したいため、
刃物研ぎには10数種類の砥石を適宜使いますが、一般家庭用
包丁では3種類あれば十分です。
私も本家実家で母の包丁を研ぐ場合には、本家にある3種類の
砥石のうち2種類で研ぎあげます。ただし、同じ砥石でも研ぎ方
によって研ぎ目を粗くしたり細かくしたりできますので、その技法
は使います。

この動画に出て来る包丁生産者が一般的に使っている回転水砥石
は、刀工でも使用している人もいます。
もう亡くなった方ですが、熊本県八代市の源盛吉(故人)刀匠と子息
の延寿宣次(故人)刀匠の日本刀鍛錬場では、私が見学に伺った
頃は大きな回転水砥石を使用していました。熱をもたないのでナイフ
用のベルトサンダーのような一般的モーターツールよりも鋼を傷めま
せん。
ただし、この動画のように、タイヤが縦回転するようなホイール型の
大型水砥石でなければならず、ホームセンターなどで売られている
超小型のレコード盤型の回転水砥石では回転中心部と外周部で
刃物接触面の通過速度が異なりますので、あれは刃物研ぎには
適していません。あくまで簡易なバリ取り程度にしか使えません。
手研ぎのほうがずっと正確にビシッと研ぐことができます。




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刃物無しでロープを切る方法

2014年11月25日 | アウトドア

How to Cut Rope in an Emergency


災害時の緊急対処法として、これは覚えておいたほうがいいかも。


こっちは覚えなくてもいいかも(笑
かなり、強引(^^;
How to Open a Bottle - Life Hacks



こちらは便利だね。神業チックだけど。
How to Fold a Shirt in Under 2 Seconds


昔、コンバットブーツの紐締めで、こちらがエッチラオッチラとやって
いる間に、某国軍あがりの奴が外掛けフックのコンバットブーツで
サッと3秒で先から元まで紐を掛けて締め上げたのにはびっくりした
けど、一般的に知られていないこういう早業のノウハウというものは
世の中にはある。
そいつ、FN FALをフルオートで連射して、車両をボコボコ(というか粉々)
にしたことがあった。


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林檎

2014年11月25日 | 風情・季節・地球



先日の出張の際、農家売りの林檎を買った。
かなり美味い。
3個で100円(^-^)/

岡山県ってのは、水と果物と刀はいいよなあ。
人はともかく。


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アルビノのマグロ

2014年11月24日 | 時事放談



真っ白なマグロが水揚げされて話題になっている。
マグロのアルビノは非常に珍しい。
めったにない。
なんたって普段はマッグロというくらいで(slid down...so cheesy...)


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藤次郎の和包丁 続編1

2014年11月24日 | 刃物

気になる鑢目のような砥石目を研磨で除去。

研磨前。


まだ途中ですが、錆の原因になる砥石目は取っていきます。
(ここまで3時間。まだ途中。鎬線もピシッと出して完璧に仕上げます)


日本刀でもそうですが、丸い灯りを反射させて、歪んで見えるのは刀身の
研磨面にうねりがあります。下地研ぎが出来ているかいないかはここで
見る。日本刀は早研ぎの居合研ぎだろうが、極上観賞研ぎだろうと関係
ありません。反射の灯りが歪むような下地が出来ていない研ぎはアウト。
その研ぎ師には二度と出してはいけません。日本刀は断面が曲線です
ので、包丁研ぎなどとは比較にならないほどの技術が要求されます。
素人は日本刀を研ぐことはできません。日本刀こそ内曇りまでの下地研ぎ
が決め手です。


もしかすると、研磨前にあった鑢目のような研ぎ目は、初期出荷時から
あった砥石目かもしれない。回転水砥石の。
ただ、裏を見ると手研ぎの痕跡もあるので、断定はできない。

肥後守。反射光の直線に歪みが出るような研ぎ方をしてはならない。


肥後守もこのように灯りを反射させて、きっちり研げているか確かめる。


下地研ぎがビシッと出来ている刀剣研磨師による日本刀の研ぎ。一切の
ごまかしが利かない厳しい世界だ。髪の毛ほどのゆるみも許されない。


絶対に素人は日本刀を研ぐことができない。
刀の研ぎができる、拵が作れるなどと公言している自称武術研究家もいる
が、伝統技能を
とても馬鹿にした話だ。ナイフや包丁と日本刀の研ぎは
まったく別次元な研ぎの世界なのである。次元が違いすぎるのだ。
バイクでも峠族や街乗り屋は、コースでの本チャンを経験してみれば
次元のあまりの違いに気付くことだろう。200km/hでのフルバンクなど
は公道ではあり得ない。低速サーキットの筑波最終でさえ160km/hの
フルバンクだ。
それと同じように、日本刀の研磨と一般刃物の砥石こすりは、まったくの
別物なのである。


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藤次郎の和包丁

2014年11月24日 | 刃物

預かり物の藤次郎の薄刃には個人的にとても惹かれる。
錆切りを兼ねて、窓開けのように
研磨してみた。

研磨前。表面に薄らと不導態が形成されている。これがあると錆びない。
化学反応による自然コーティングだ。



錆切り(錆び落とし)で地の部分を2000番のペーパーで軽く研磨した。
鎬線は一切触っていない。隠れていた下の砥石目が出て来た。


思ったよりも粗目の砥石で研いでいたことが判明した。


包丁の銘というものは、刀鍛冶の銘の鏨運びとはかなり異なる。
スーッと彫り銘のような鏨運びをする部分が必ずある。
日本刀の銘の場合は、毛筆書きの本人の直筆を本人が鏨で銘切りしている
ような感じだが、包丁は直線部分で
彫り込む鏨線が出るのが特徴だ。そして、
包丁銘は刀工の銘のようにまろやかさがなく、言うなればキンキンと文字が
とんがっているような印象だ。どの包丁でもそのような銘ぶりになっている。

これも一つの文化なのだろう。


刀鍛冶の銘。伸びやか、かつまろやかである。包丁のように鋭く長い三角形の
銘切り痕を残す鏨運びをする刀工はあまり存在しない。鏨による銘切りといっても、
いろいろあるものだ。刀鍛冶の日本刀の銘は、この画像が典型例といえる。
(将平刀匠は、なかご仕立てがとても丁寧な仕事で、なかごだけ観ていても楽しめる)



太陽光で見ると日本刀も包丁もスッピンの表情が見える。
特に色については蛍光灯や黄色刀では本当の素顔が見えない。

鉄が青い。地だけでなく、白紙の刃部もだ。しびれる。


午後のまどろむ陽の中に静かに横たわる藤次郎。

いい包丁だ。


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和包丁

2014年11月24日 | 刃物

神戸のイトコから研ぎ依頼で送られて来た包丁の中に目を引く
一刀がありました。

藤次郎の薄刃です。


銘「藤次郎 花押」。古い時代の銘です。新潟県燕市の包丁メーカーの打ち刃物です。

花押を銘に切っているのは、作者の心。

とにかく鋼が青い。(刃部だけでなく地も低炭素鋼です。純鉄はまず
刃物には用いられません。これは日本刀のアンコもそうです。感度の
弱い低炭素鋼をアンコに用います。包丁の場合は造込工法の日本刀
のように外側に硬い鋼ではなく、鋼の板材と地金の板材を貼り合わせ
ます。全鋼の無垢製法は「本焼き」と呼ばれ、ひずみも出やすく製造も
管理も高度な技術が求められるので、ごく一部の上級者を除いては
包丁人でもあまり本焼きを使用しません)

先端部がなぜ曲がっているのだろう?研ぎで曲げたか?と思いましたが、
トップの三頭の頂点が揃っているので、最初からこのような仕様なのかも
しれません。(と思って藤次郎のサイトで角型薄刃包丁のラインナップを
見たら、定法通り真っ直ぐだったので、これは使用者が自分の使い勝手が
よいように研ぎ上げたものだと思われます。つまり、しのぎ線をキッチリと
揃えた研ぎが施されているということです。薄刃に菜切りの機能も持た
せた使用者によるカスタマイジングかもしれません)




この薄刃、めちゃくちゃ欲しい!
身幅3.64センチ、アゴからの長さ15.4センチ、重さ140gちょっきり。
最高です。
状態も良く、ほとんど研ぐ必要がありません。刃も付いている。
この個体は、錆切りをして刃先を整える程度にします。
試し切りは大根のカツラ剥きで試そうと思っています。
いいなぁ、これ。
状態も最良で、ことのほか大切にされてきたことが判ります。
これで、骨付き肉を切ったりしたら絶対に駄目っすよ。
これは野菜用に特化された和包丁です。



映画『武士の献立』より。(本当はこの時代にはこの包丁は存在しませんでした)




『武士の献立』は、心温まる映画ですので、機会がありましたら
是非ともご覧になっていただければ。
これまで、数多くの映画を観て来ましたが、個人的には一番である
『七人の侍』の次に推したい映画作品です。



日本の和包丁は直接的には日本刀との関連性はありませんが、
鍛冶職として鋼を扱う点では、包丁職人は「切れる事」と「使い易い
事」を第一義にしたという点で、包丁鍛冶も日本刀の刀鍛冶と同じく
真剣勝負だったことでしょう。
実用刃物の鍛冶職は、見た目だけを追いかける鍛冶職とは比較に
ならないくらいにシビアで厳しい環境に置かれます。
なぜならば、使い物にならない刃物を造ったら、いくら「俺のが日本一」
などと威張っても、誰からも相手にされなくなってしまうからです。
実力主義。これが鍛冶職に求められた判定基準でした。
現代刃物においても、現代刀の鍛冶職では「俺のは誰よりも切れる」
とか「俺は日本一」とか公言してふんぞり返っている職方がいますが、
その作者の刀で竹を斬っただけで刃こぼれしたり、ポロポロ刃先が
ビスケットのように崩れるので、展覧会に出展するのに研ぎ師が
やむなく外見上判らないように刃引きせざるを得なかったなどという
現実もあります。
武用刀を標榜する作者の作でさえ、現代刀ではこの有様です。
現代において日本刀を使うのは、本来の対人斬撃の目的のために
使われることが決してあってはならないのですが、伝統武芸においては
斬術稽古も必要となります。模擬刀は銃刀法の関係上、あえて折れ易い
材質と構造にしてありますので、模擬刀で斬り稽古をする訳にはいき
ません。居合刀術と同じように真剣日本刀を用いてのイグサ巻きや
竹の試斬や斬術稽古や演武となります。刃が簡単に欠けては話に
ならないし、イグサ巻きを切っただけで折損する事故も起きています。
刃こぼれし易いということは刃部の損壊ですから、そこから一気に
本体折損ということになりかねません。現実に多く起きているし。
日本刀は中心に柔らかい鉄を入れて外を硬い鋼で包んでいるから
折れにくいというのは、あれは嘘です。
造込工法だろうと無垢本鍛えだろうと、折れにくい刀は折れにくいし、
折れ易い刀は折れ易い。すべて鋼をどう処理する仕事をしたかに靱性
はかかっている。組み合わせ造り込み工法が折れにくい日本刀の構造
だというのならば、なぜそのような構造にしたのに幾多の折損事故が
発生してしまうのか。構造は折損原因と関係ない。むしろ破断については
合わせ構造のほうが進行する断面部位のブリネル値が急変するので
断裂が進んでから一気に折損する危険性を否定できない、ということが
いえます。しかしこれは同時に、無垢造りであれば何でも良いのか、
ということを補完しません。日本刀の場合は、求められる衝撃負荷耐性が
非常に高いので、ただの無垢では駄目で、硬軟の鋼を重層的にまるで
織物のように組み合わせて、さらに部位によって緩衝地帯を設けるような
工法が必要です。ただ、この工法は一気に仕事を進めねばならず、途中で
停止したり、材料を作り置きしておいていつでも途中工程から取り掛かれる
ようなことが求められた大量生産時代には適さない工法のため、効率化
を工夫して、「板材」に初期工程で区分けする工法が日本刀の工法で採用
されてきたのだと思います。このことは、奇しくも鎌倉末期から続く戦乱期の
美濃金具の合わせ構造の登場と期を一にします。
従って、日本刀は「無垢だから良い」とか「芯鉄構造だから良い」とかいう
ことではありません。どの構造でも、鋼の処理の仕方如何で刀は靱性が
あったりなかったりするからです。
一つの事柄への拘泥が一番良くないでしょうね。頭ごなしにこうなんだ、と
思い込んで決めつけることは、傲慢さは得られても、真実の探求とは程遠い
ものです。
刀も実は答えは簡単です。作者が能書き言う前に、出来た刀で試して
みればいい。本当はそれだけのことです。

むしろ、現代は、日本刀の刀鍛冶よりも和包丁の鍛冶職のほうが
造った物の真の実力が問われており、それに応えるべく仕事をしている
といえる面もあります。
刀鍛冶の諸君、慢心して偉そうにふんぞり返らないでね。
刃こぼれしにくく、折れない刀を造れるようになってから俺様風を吹かせて
ください。
もっとも、真の実力者は、決して威張ったりふんぞり返ったり、裏で手を
回して圧力かけたりしませんけど(^^;
権勢を振るうのが実力でもなんでもなく、職人は仕事の中身がどうで
あるのかが実力です。
面白いもので、表に出ない刀鍛冶の裏での評判というものは、造る刀の
実態とピッタリと符合します(苦笑
威張りちらさず、じっと控え目な作者は、実力ある作を造る(既存あるいは
今後の可能性)ことができる、という一つの指標にもなりますので、これは
現代刀を武用刀としてお求めになる方々も覚えておいて損はないと思います。
鼻息荒く威張ってる人の作は、態度とは裏腹に大抵はペケ。
私も、この世界の裏を知ってから四半世紀、ようやくそれらの確信が持てて
きました。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。これ当たっています。
人柄で刀は造るものではないのでしょうが、人柄が「本質特性」まで規定
するような現象が日本刀にはあるようです。現代は。
江戸時代の刀鍛冶のことは知りません。見知っていないのだから、当然です。

さて、まな板を使う料理に適した和包丁にはいろいろな種類があります。
これらは文化文政時代以降に日本で一般化しました。つまり世界の歴史に
登場しました。

和包丁の種類>(藤次郎のサイトから)


リンク先をご覧になっていただくとわかるように、日本の包丁には実に多くの
種類がありますが、幕末までは日本刀のような形をした包丁しか存在しま
せんでした。(「信長のシェフ」は時代考証無視のファンタジー。でも夢があり
ます)
この世界に誇る日本の包丁の発信地は現大阪府の堺でした。
現在の包丁の形状を作ったのも堺の包丁鍛冶で、もともとは鉄砲鍛冶が
平和な時代に需要が減少して包丁鍛冶に転じたものでした。
堺の包丁は「堺土産」として全国各地で大人気を博し、この堺の包丁の
形状が後の日本国の包丁の形となっていきます。

外部サイト 包丁 TOJIRO

ここ藤次郎のサイトはコンテンツが非常に充実しています。
特に「豆知識」のコーナーは、とても勉強になるし、読み物として読んで
いてもためになります。こうした文化面をフォローする姿勢は、現代企業と
してもとても優良な企業だと私は思います。使い捨て消費による利益追求
を第一としておらず、文化的側面までをも射程に入れて事業展開をする。
こうした企業が今後は社会的にはもっと育成されていくほうが、社会がより
多くの意味で豊かになり、人々の暮らしに真の潤いが生まれると思います。



私が包丁を愛するのは、それは刃物の平和利用だからです。
料理を作って、それを美味しくいただく。
食材の金額ではない。料理の値段ではない。
ほんの小さな心がけだけで、料理は格段に美味しくなります。
手が届くこうしたところに手を届かせることは、幸せを作っていく
ことの小さな努力の一つのように私には思えるのです。
是非、包丁を研いで、そしてご家庭での料理に使って欲しい。
どんな料理でも、「工夫する」という心遣いがあれば、絶対に美味しく
なります。
是非とも、包丁をよく切れる状態にして使ってみてください。
ご家庭の笑顔は包丁から。


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きょうの日の出

2014年11月24日 | 風情・季節・地球

きょうの日の出。
広島県三原は、尾道との境の糸崎岬の山に遮られ、日の出が遅い。
本日、太陽が見えたのは7時6分。
近所の恵下(えげ)谷の山に登り、日の出を見た。


眼下に我が家も見える。













サンライズとサンセットを見ていると、地球の自転の速度は凄く速いことが解る。



山はモミジが綺麗です。


山を下る。








暫く下ると、そこには神社があります。










銀杏がぶちでかい!





これ、90度真上を向いて撮影。

早朝の神社のなんと清々しいこと。
あたしゃザビエルだけど。

城下町が一望できます。




神社にいるノラコ。
妊娠しているみたい。







誰か待ってるみたい。


近所のおばちゃんが来たら、慣れてる様子でついて行きます。
ご飯貰ってるのかな。


あ。さっき、山にいた猫ノラコも寄って行きます。
テリトリー広いなあ。




アメリカンショートヘア系ですね。
でも、ノラコの模様。
犬猫を捨てないでね。
この子たちも捕まったら愛護センター送りで殺処分になります。
養育放棄の遺棄は、悪意の遺棄であり、生き物を殺すことです。
生き物は、死ぬ最期まで家族である飼い主が看取ってあげてください。



皆様も、きょうもどうかお元気で。


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