渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

外れ個体 〜肥後守〜

2016年05月31日 | 刃物


研いでいて、どうもなあと思ったら、鎬線がウネリまくりの個体を買って
しまったようだ。
店でパッケージ開ける訳にいかないからねぇ。
裏がこうなっていたのは分かりようもない。うひゃひゃのトホホ(≧∇≦)

これはあげる物とはせずに、おらの実用肥後守としとくか。
とりあえず、刃を付けてこのままおいらが使おう。
鎬線は成形できるけど、かなり身減りするので、これはこのままで使う
のが正解かと。

おいらが普段使っているこの個体と仕上げ違い過ぎるけどね(≧∇≦)


ちなみに、防衛省の人においらが研いだ肥後守と包丁をあげたらメールで
返事が来た。
「スゲーす(^^;)」とのこと。
切れ味を超える切り味の世界へ、ようこそ。


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耳に聴こえる音と心で感じる音

2016年05月30日 | 刃物


「朝の5時前からシャカシャカこんこんやるの、やめてくれない?」
と、かみさんに叱られた。
でもって、帰宅後、深夜まで研いでいたら、「夜中に音出すのやめてくれ
ない?」とまた叱られた。
どーお、さーせん(≧∇≦)
でも、日中は仕事だから、早朝か夜にしか研げないんだよ〜ん。

てことで、高番手の研ぎならばシャコシャコ音が出ずにグッグッという感じ
だから文句も出ないだろ(笑

って、下地研ぎは土日にしか出来ないやんけ!

いろんな砥石でいろんな研ぎ味がありますが、おいらは青砥が好きだな。
まるで、硯の上で墨をすってるような感触なんだよね。ウリウリウリていう
ような。
あと、白目の名倉砥かなあ。柔らか目の。研ぎ汁が乾くと薄力粉のように
真っ白なサラサラになる砥石。

でも、最近思うんだよ。
ある目的を持って狙い澄まして研ぐのではなく、研ぐこと自体が楽しくて
仕方ないというのは、何だか方向性見誤ってないか、という自問がある。
それは仕上がった時の嬉しさはあるけど、その過程の工程そのものが楽しい
というのは、これまたある種の脳内
麻薬なのでは、とか思ったりする。

ただ単に切れるように研ぐのは簡単だ。刃を立てればよい。
でも、その先、さらにもっと先、もっともっと先、というような所を目指し
て、その段階ごとの入り口が見えてきたら、どんどん目がらんらんとして
くるのが自分でも判る。
これね、やっぱ変態の領域のように思える。
それでも追求はやめられない。
「切れ味ではなく、その向こうの切り味の世界を」という欲求は止まらない。

そして、今のところ、私が手がけた刃物は、かなり切れるという評価を人様
から頂いている。
人によっては、「今まで体感したことのない異次元の切れ味」とまで評して
いる。
でも、それは単に「切る」ということを純粋特化して、単純に具現化させた
だけのことだ。
もっと先の世界を私は求めている。

ただ、過去の30年程前の一歩踏み出した頃を振り返って、あれで良かったの
かもと思うことがある。
それは、「狭き門より入れ」ということだ。
道程を歩むにあたり、楽な道を選択しなかったことが、今となって大きな
財産となっている。
神が示した一つの理を、今改めて知る。

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研ぎの勉強

2016年05月28日 | 刃物



若き戦闘指揮官が研ぎをやりたいとのことで、砥石の詰め合わせを送る。

`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブッ!!


研ぎ上がりサンプル含めてあと何点か同梱するので、9キロは超える。

刃物研ぎといっても、主として包丁と肥後守などの小型ナイフを研ぐよう
だが、89式銃剣も研ぐのだそうだ。
89式小銃も銃剣も駐屯地の外には任務以外では持ち出しはできないが、
隊内では銃の整備や銃剣の手入れは任意らしい。
十分に研ぎをマスターして、単なる趣味の領域を超えて国防の一助として
くれたなら幸いである。

私の刃物研ぎ30年の集大成的な研ぎマニュアルを製作して同梱する。
これは、一般的には書籍やネットでも公開されていない実用的ノウハウも
満載している。
分かりやすく、簡易に、かつ、要点を押さえつつ詳細にまとめた。
枚数はかさむが、冗長は回避した。
つぶさに網羅すると、一冊の書籍になってしまう。
なので、最低限の理論的な基本概論とメソッドの要諦のエッセンスのみを
まとめた。
一読して理論と実践の要諦は頭では理解できても、実際に実行に移して
自分が定めた獲得目標を掴むことを実現させるには、技術の蓄積が必要
であるので、一朝一夕にはいかないだろう。
だが、理論と正しい研ぎの仕組みを知るか知らないかでは、道程において
大きく経過時間が異なる。
職人技は「急がば回れ」が伝統的原則とは云われているが、伝統的なこと
としては「伝授」というシステムもある。
私の研ぎの真価を認めてくれる人であり、その本人が「研ぎをやりたい」
と言うので伝授する。単なる「切れ味」ではない、その向こうにある「切り味」
の世界を開く扉の鍵を。
但し、左久作師から非公開として教わった一部分については、師から許可
を貰っていないので伝授はしない。
私が私自身で自得した私の研ぎについて伝授する。

私も半百を過ぎて久しい。
19での決意の時から、いつ死んでもよいとの心構えでここまで辛うじて
たまたま運よく何度も命を拾って生きては来たが、人間そうそういつまでも
ラッキーな命運は続かない。
研ぎについては私もまだまだ達しておらず勉強中だが、ここまでの蓄積と
して、今のうちに一つくらい次世代に残せるものがあってもよいだろう。


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御肥後守研處(おんひごのかみとぎどころ)

2016年05月25日 | 刃物



御肥後守研處「さつき堂」でございます(笑)。

刀工康宏友の会「游雲会」の近県メンバーの方が、わたくしの研いだ
肥後守をご所望とのことで、近々に個体を仕入れて研ぎ上げ
ことにいたしました。

研ぎは時間かかりますが。

私が研ぐと、肥後守はこのようになります。(全鋼)


自重で切れます。

おかげさまで、好評のようで、多くの方にご愛顧いただいております。
と申しましても、手前は包丁研ぎも肥後守研ぎも業ではやっており
ませんので、あくまで懇意にお付き合いいただいている御方の
お腰物
しか手掛けないのですが。

このような埋もれた包丁の復活再生も手掛けております。

これが・・・
 ↓
このように。


この包丁の関連記事はこちら → 包丁百年。

 


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研ぎの違い 〜肥後守〜

2016年05月24日 | 刃物

平地。人造砥石8000番まで。ミラー系になる。


平地。天然砥石、本山合さ(あいさ)。日本刀のように薄曇りとなる。
鋼の素顔もよく見える。





しのぎ地はタンガロイなどの磨き棒で磨くのが防錆上も好ましいが、
目の細かい砥石のみの仕上げとする。

ここまでで、全体の48/50工程終了。


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超絶切れ味の秘密

2016年05月23日 | 刃物



昨夜、久しぶりに東京西勘の包丁を使った家内が、「やっぱり西堪のほうが
ずっと切れる」と言う。

そら、おまいさん・・・。
この西堪にはおいらが特殊な研ぎ方をしてるからだよ(^^;
日常的に使っている新潟の包丁にはサッと刃を付けただけの並み研ぎをして
いるからだ。
この西堪には特別な研ぎを入れているのだよ。





この画像から、これがどうなって何をやっているのかを見ぬける人が
世の中に何人いることか・・・。
最大の情報資料であるのだが。

何事も「見抜く目」を持たないと、次元の獲得は不可能だ。

家内に言わせると、胡瓜を切ると一番切れ味の微妙な違いが判るのだという。
なるほど、一理ある。
理由は割愛。


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研ぎながら錆を防止する

2016年05月23日 | 刃物



炭素鋼の刃物は研いでいると、砥石の番手によっては研いでいる
そばから錆びてくることがある。薄黒い小さな斑点が錆びである。
これは砥石で擦ると取れるが、研ぎやめるとすぐにサーッと発生する。


そういうときにはこれを使う。

NaHCO3パワー!
この炭酸水素ナトリウム溶液を水道水の代わりにシュッシュとスプレー
して研ぐと錆びない。
日本刀の研ぎなどでも使われているが、注意しなければならない点として、
ぬるぬる滑るので研いでいる刀身で怪我をしないようにすることだ。


これで研ぐと、錆びないまま研げて肥後守もこうなる。
この記事一番上の画像の錆部分はこの肥後守のしのぎ地根元部分の画像だ。
重曹溶液によりまったく錆びていない。市販されているスプレータイプが便利だ。




こちらの小さな自作小刀(こがたな)の鋼は純度が高く、研いでいてもあまり錆び
ないのであるが、
それでもよく見ると研いでいる途中なのに錆びてきている。
この作も、折を見てきちんと最後の刃取りまで研ぎ上げてあげたいと思う。
以前は刃取りまで研ぎ上げていたが、最近研ぎ直しを久しぶりに始めている。





ハバキは別パーツではなく、ナイフ一丁での削り出し(笑)


入れ物は荒削りのままだ。鞘にはしていない。


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研ぎ場

2016年05月23日 | 刃物

私の研ぎ場。いつもピカピカ。


って、洗面所を一時的に占拠して使うのだけどね(笑
さらにこの足もとには写っていないが砥石がごちゃまんと置かれている。

砥石は平面出しが命だ。
こうやって定規をあててきちんと平面が出ているか確認する。
少しでも隙間があればきっちりと面一になるまで面磨りを行なう。
これをやっていないと研ぎにならない。


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肥後守の研ぎ 〜下地研ぎ終了〜

2016年05月22日 | 刃物



肥後守の下地研ぎ終了。





通常はここまであたりで終わりなのだが、ここから平地としのぎ地の研磨
に入る。
最終的には刃を付ける。今でも十分に切れるのだが、そこでは終わらせ
ない。




これから研磨に入る。
ここまでで、全行程の30/50終了。
普通ならばこれで十分なのだが、ここから天然砥石の登場となる。
(この下地終了段階までの使用天然砥石は天草と青砥のみ。他5種は人造砥石)

この状態でも、自重で切れていく。


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ジェスホーンのナイフ

2016年05月21日 | 刃物



すごいことをやっちゃってる人がいる。
パイオニア精神に拍手を送りたい。
こちら → 分解!ジェス・ホーンLHL フォールディングナイフ Jess Horn

ホーンのナイフを分解というのは、とてつもなく決意のいることだ。

まるで日本刀の古刀の断面を解析したいがために古刀をいくつも
切断して顕微鏡で分析するくらいに。(初代康宏はやっちまった)
いや、そこまではいかないか。ナイフの分解だったら、パーツを
復元すれば再生できるから。

しかし、すげ〜。やるなぁ・・・。私もホーンモデルの内部機構の秘密は
知らなかったよ。
これ、バラブシュカのキューの構造を調べるためにハギをばらした
ようなものだ。(だから違うって言ってんべ>俺)


おいらのイトコの子が小学校の頃にあげたホーン・コピーはどうなった
だろう。
その子は今年大学を卒業して社会人になった。

 


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しのぎを立てる 〜肥後守の研ぎ〜

2016年05月21日 | 刃物



鎬(しのぎ)を立てる。
荒砥の段階でビシッとしのぎは立ててはいるのだが、荒砥というのは

目が粗いので、微細にしのぎ線がデコボコしている。高番手に移行する
段階でその微細な凹凸を除去しつつ、
しのぎもさらに立てて研ぎ進めて
行く。

しのぎは、たった一押しの蹴り(研ぎ用語で鎬しのぎを潰してしまうこと)
だけでしのぎ
線が大きく潰れるので細心の注意が必要だ。

荒砥の段階で甘かった部分を中心に番手が上がった砥石でも攻めるが、
総体の均し研ぎの前に
線研ぎの段階で決めて行く。
この画像の場合、中央より少し切先よりのしのぎの甘い部分を整えている。



肉眼で凝視してよく見る。角度も変えて光の反射も利用し、また目視で
きちんと崩れている部分はないか確認する。これは下半分を面研ぎ、
上側の断面でRになった部分を線研ぎで整えている段階。

日本刀の場合などは平地全体がRなので片面で12面程の線研ぎとなる。
その線を素麺のように並べて綺麗なRにしていくのだ。研ぎ師町井勲氏の
下地研ぎを実際に見た時、まるで機械で研いだような研ぎ線がキッチリと
並んでいた。凡手ではできないことである。

それ一つをとっても、日本刀の研ぎは素人には絶対に無理であることが
分かる。
日本刀ではなく、このような小刃物でも研ぎ上げるには技術が必要である
のに、刀身全体が複雑な形状となっている日本刀を形を崩さずに、あるいは
崩れた物は本来の形に整えながら仕上げていくのは、そもそも日本刀のことを
よく
知っていなければならない。技術以前に、日本刀について無知な者は刀の
研ぎ師にはなれないのである。

日本刀の研ぎ師はある面では刀鍛冶や研究者よりも日本刀のことを知っている。
それは多くの刀剣と接する機会があるというのもあるが、実によく日本刀
のこと
を深く勉強しているからだ。(もしかすると日本刀の業界の中で一番刀剣の素顔と
素性を知り尽くしているのが日本刀研磨師かも知れない)

そして、打ち上って鍛冶押し後の日本刀に直に素手で触れるのは日本刀
研磨師だけだ。時代刀剣ならば研ぎ師のみが刀身に素手で触れる。(業者市
などで物色する刀屋たちの中には袱紗を使用せずに刀身を素手でつまんだり
する者がいるが、論外である)

また、私がこの日記に書くようなこのような一般刃物の研ぎなどは日本刀の
研磨とは比較にならないほど次元の低いものであり、私だけでなく他の人も、
多少一般刃物が研げるからと日本刀が研げるなどと大きな勘違いをしては
ならない。
私のようなこういった一般刃物研ぎは、日本刀研磨の次元からしたら児戯に
等しいのである。

日本刀の研磨は、単に砥石の上を刀身をスライドさせているだけでなく、砥石を
適宜工程ごとにあるいは刀身との適性を感知しながら選んで、突いたり引いたり
しながら、肌を起こしたり、肌を伏せたり、冴えを表に出したり沈めたり、いろいろ
なことを技術を駆使して日本刀研磨師が刀身に施している。
日本刀研ぎ師から見た一番その刀剣個体の良い持ち味を引き出して欠点を
伏せてやるのが日本刀研ぎ師の仕事だ。ただの刃付け研ぎ屋ではない。包丁や
一般刃物の研ぎの世界とは雲泥の差があるのだ。折り紙の紙飛行機作りと宇宙
ロケット開発くらいの差がある。


裏面も根元から高番手でしのぎ線をさらに立てながら研ぎ上げて行く。



しのぎは、素手で触るとエイペックスの頂点部分の突起を感知できる
程に立ててある。だが、これからまだ立てる。これでもかというくらいに
エッヂを利かせたしのぎ立つ研ぎに持って行く。

ここまでで、全行程の15/50くらい終了。

しのぎはビシッと立ったが、画像に映っている縦疵は、刃物の業界では
ヒケと呼ばれる引きこすり
疵。これはあるセットを終えた研ぎやめの時や
研ぎ途中の
手返しの際などに出たりする。これはミスに入る。
このヒケは全体のナラシ研ぎの際に消して行く。
ヒケ疵は研ぎによってしか絶対に消滅しない。日本刀なども、打ち粉を
打ってからいきなりティッシュでギュッギュと刀身をこすったりすると、
打ち粉は内曇砥の粉、角粉、牡蠣殻粉だったりするので、日本刀の
刀身にすぐに疵がつく。また、極上研ぎなどの場合は、打ち粉のタンポを
強く打っただけで、タンポの布目が刀身に疵として刻まれることもある。
上質極上研ぎの日本刀の取り扱いは厳重注意なのである。

私は日を跨ぐ刃物研ぎの場合には、その日の研ぎやめ後は防錆オイルを
塗っているが、それでも炭素鋼の刃物は多少の錆が出る。
これは私が研ぎ用に重曹やソーダなどのNaHCO3を使わずに水道水を
そのまま使っているからで、これも砥石の番手を上げて行くと完全に消す
ことができる。
(それでも天然砥の場合は砥石と鋼の相性によっては研ぎの途中で錆が
出やすい場合もある)

これは刀工小林康宏が日本刀工法康宏伝で作った鎌である。(先ほど撮影)
荒砥で錆切り(頂いた時には赤錆と黒錆の混在状態で真っ茶色だった)と
刀工のセンがけの疵を除去した私の成形研ぎをした状態のまま放置して
いる。刀身部分が青白く見えるといっても、これでもすでに荒研ぎ状態の
ブレード部分は錆びてきているのである。

ただし、肉眼で目視できる顕著な酸化鉄たる赤錆ではなく、その酸化鉄が
不動態被膜という状態に進行して自然に表面をコーティングして酸素との
結合を阻害しているので、いわゆる赤錆としては錆が進行していないのだ。
鉄は酸素と水がある場所では必ず錆びる。鉄の表面が大気中の水分と
酸素により酸化還元を発生させてイオン化して酸化鉄となるからだ。鉄は
元の安定した世界に戻ろうと大気の中で活発に動き出す。鉄そのものが
自然界には存在せず、人間が無理矢理に人工的に酸化鉄の酸素を剥す
還元により作り出したものであるので、放置していたら元の状態に戻ろうと
するのは自然の摂理だ。鉄は金のように死んだ金属ではなく生きているの
である。
ただし、不動態形成については、水分によって鉄の赤錆化が加速されるとは
いっても、ある条件が揃えば海中や淡水などの特定水液の中での不動態
形成も見られたりする。
戦後の逸話として、海中に没した日本刀が何年もキラキラに輝いたままで
あったのに、それを引き上げた途端にみるみるうちに刀身が真っ赤に錆びた、
などといいうエピソードもある。これは尾道水道(海中)で実見した人からの
体験談を私が聴いた。
逆にある特性の水溶液の場合、不動態形成ではなく一気に赤錆が進行する
ことも化学的に確認されている。原理とカラクリは非常に複雑かつ専門的で、
ここで簡単には説明できない。
大学の理系学部出身で興味のおありの方のうち日本刀愛好者の方は専攻
専門外でも調べられたら面白いかも知れない。院卒ではなく学部程度の学識
でも理解が及ぶと思われる。


一般刃物でも日本刀でも一番大切なのは下地研ぎである。日本刀も
いくら化粧研ぎが上手くとも、定番手の荒砥でビシッと形が出せない
研ぎ師は下手(げて)の部類に入る。
「日本刀研磨師」の看板を掲げていても、研ぎに出したら鎬がまんまる
にされてしまったり、平肉をペッタンコにそぎ落とされてしまったりした
例を私は身近に知っている。要するに、きちんとした日本刀の研磨の
技術を持たない所に研ぎを出してしまった結果がそれなのだ。
金額ではない。腕だ。凡そ日本刀の研ぎ代金は相場が決まっている。
また、「美術研ぎだから」「抜刀研ぎだから」という区別はない。抜刀研ぎ
だから形を崩してもいいということは絶対にない。
試斬研ぎや早研ぎは砥石の数を減らして工数を割愛することで料金を
安くしているのであり、及ばない技術だから安いのだということは決して
あってはならないことなのである。

日本刀の研ぎ師を選ぶのは、インターネットなどでお手軽に調べるのでは
なく、依頼したい研ぎ師が手掛けた研ぎ上がりの作を実際に自分の足を
使って見て、あるいは事前情報を十分に収集して確認するのが一番いい。
私は名人平井千葉氏の研ぎ上げ作を何口も見たが、私は平井研ぎの
ある特徴を知っている。平井千葉研ぎにしか出ない特徴というものがある。
どうやったらあのような現象が出るのかは不明だ。物理的に想像がつか
ないのだが、思うにあれは、研ぎの隠し銘のようなものではなかろうか。
それはバーコードではなく、刀身に「研ぎ」として出ている。
ただ、平井先生の研ぎはね・・・欠点を隠すのが天才的に上手すぎて、
先生以外にその刀を研げなくなってしまうという弊害があるようにも思える。
また、それは歴史的な稀代の名人が抱えた思わぬ弱点のようにも思える。
平井千葉先生が研いだ名刀を後代の人が研いだら、多分、まったく別物の
刀のようになってしまうのではなかろうか。

日本刀の楽しみは、刀身の出来を観ることだけでなく、研ぎ師の仕事を
じっくりと観察できることも大いなる楽しみの一つだ。
それにしても、あのハバキ下のバーコードは誰の研ぎだとか、あれで判別
付くのかしらね。
刀身は押形で記録が取れるけど、あのバーコードの記録なんて見たことない
けど、押形集ならぬ日本刀研ぎ師バーコード集一覧なんてあるのかしらん。


さて、さらにしのぎを立てる。

筋違い(すじかい)から最終の勝手下り仕上げでしのぎは完璧に立った。
ここまでで全行程の25/50。
これから均し研ぎに入る。ここまでで1300番
の人造での下地研ぎ終了。砥石はこれまで5種類使用。この後、2000番
程の青砥で均し研ぎの後、仕上げ研ぎと研磨に入る。通常の実用使用の
研ぎではこの段階であとは刃をつけて終了だが、今回は研磨までやるので、
さらに倍の工程を控える。このあとは6000番と8000番で人造砥石を使う
が、それ以降はすべて天然砥石で仕上げて行く。
最下段の画像でしのぎがうつむいているように見えるのは角度による錯覚
である。



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刃物の良し悪し

2016年05月21日 | 刃物

良い刃物は下地研ぎの段階でもサッと刃が付く。
荒砥の段階で刃がきっちり立って刃返りがしっかりと出る。
日本刀も一般刃物も駄目鍛冶は鍛えの段階から高温に加熱し
過ぎて粒子を粗くしてデッドスチールにしてしまう。
そういう物は、研げない。砥石にあてると刃先がポロポロと
ビスケットのように刃こぼれするからだ。

この肥後守の個体は荒砥の段階で綺麗な返りが出た。
この点のみを抽出するならば、駄目日本刀よりもこちらのほうが
ずっと出来が良い。たった700円の肥後守なのにだ。値段や材料の
問題ではない。この個体の製作者は、ごく初歩的で基本的なことを
外していないだけのことだ。研げない刃物は刃物ではない。
日本刀も研げなければ美術品にさえもなりようがない。
だが、現代刀は研ぎ師が研げない物が非常に多い。有名な人気
作家でもそうだったりする。しかし、刃こぼれしやすい救いようがない
作を多産していることは、剣士の間には広まっており、既知の事実
として認識されている。そういう日本刀作家は関東にも、東海にも、
中国地区にも、九州にも、日本全国いたるとこにいる。というか、
ほとんどの刀工が刃を付けられないようなデッドスチールにして
しまっていながら「美術日本刀である」「武用刀である」と自称して
いる。ともかく、現代物の沸物はよくよく吟味しないと折損危険の
ある作が多すぎる。自家製鉄でやっても鉄を殺してしまっては
元も子もない。また、造り込みも無垢だろうが芯鉄構造だろうが
関係ない。鉄が死んでいるのだから。
しかし、それらは鍛冶職として何の反省もないまま自称日本刀
作家たちによって今も製造され続けている。





刃先に見える白い部分は下のマットの糸なので、カエリと見間違わない
ように願いたい。
こういうところも、本物かどうかをサッと見抜いてほしい。GAKTとまでは
いかなくとも。
(でも、あの人、ビリヤードは超下手です。フォーム見て2秒で判りましたし、
実際のプレーも超ド素人でした。500万円位のジナキュー持ってるんだ
けどね)

ところで、本家カネコマの肥後守なのだが、笹葉形にしただけで、値段が
倍以上アップというのは、さすがにいかがなものかとも思ったりする。
最近の私の愛用はもっぱら全鋼ホムセン700円の物だ。(歌舞伎町でよく
放送されていた800円!ではない)
これがまた物凄く切れる。
私はこれで十分。
「安くて手軽に買えるのに、研げば凄く切れる」というのが肥後守の昔の
コンセプトだったはずだからだ。


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肥後守の下地研ぎ

2016年05月20日 | 刃物



御肥後守研ぎ処の備後三原のさつき堂にござりまする(笑)。

月末に戦闘教育機関監獄から帰還する友人のために肥後守
を研ぐ。

一本は研ぎの見本で渡す個体で、もう一本は研ぎ練習用に
提供する個体
だ。
渓流式笹の葉がご希望とのことで、私が背を落として私風
笹の葉にした。一般市販されているカネコマの笹の葉形とは
少し異なる。
私のはこういう感じ(別友人の個体)。


これは私の肥後守。廃番の(小)だ。使っているのでハンドルは酸化している。



これは友人にプレゼントした物。私好みのシルエットでとのことで、
サスガのようなブレードシルエットにした。


さて、アルミナの#500荒砥で初期出荷のグラインダーの削り目を
消していく。

ここまでで型面のみで1時間。研ぎは一に根気、二に根気、
三四が根気で五に根気である。1時間程度はまったく休まず
ただひたすら押す。状態を都度確認しながら。私の表紙は
八押し二回がワンセットで、それを適度に組み合わせて押す。
リズムは8ビートで、細かく仕上げる部分ではスライド幅は
ほんの数ミリで16ビートになる。



以前、別な友人のを研いでいても出てきたが、このOEMの
廉価版全鋼の肥後守さあ・・・。
明らかに日本刀のような焼き刃があるのだけど・・・。


以前の個体の研ぎ途中。(監獄研修中の友人のとは別個体)


研ぎ進めると見えなくなる。(監獄友人のとは別個体)


ん〜。微妙だな。見える人には見えるかも。


きっと、土はペトンと均一に塗ってるのではなく二段にして
いるか、もしくは刃先から水平に刀身を冷却液に下ろして
焼き入れしているな。
もしかしたら、量産で一期に何本も並べて真下に下げる
機械を使っているかもしれない。

これは戻って、今回の個体。まだ本格的下研ぎ前の下地
を整える段階だ。
この私の工程は一般的には「下地研ぎ」とも呼ばれているが、
私は下地研ぎ以前の段階だと捉えている。
日本刀でも、内曇りあたりまではあれ下地の範疇に入るで
しょうよ、とか思っている。地艶・刃艶あたりからだな。仕上げ
の段階は。
ということで、この状態は全工程の1/50位かも。時間ではなく
工数ということでは。


研ぎ止めたら油を引いて保管している。
油は必殺バルブオイルね(^0^)v


使ったのはこのアルミナ系人造砥なのよ。研ぎ目は#500と
細かいのによく効く。研ぎ味がとても良い。
荒砥石は人造・天然併せて粒度違いを7種類持っているが、
この個体の砥石がすこぶる良い。

不思議なのは天然砥石のように粉状になった酸化鉄を含んだ
研ぎ汁がすぐに茶色く変色することだ。化学変化起きてるね〜。

成分は不明だが、この砥石の個体はかなり良いので、とても
気に入っている。大村砥を少し硬くしたような感じ。しかし粒度は
細かい。

肥後守のグラインダーの削り目はこれですぐに消える。
これ無くなると困るなぁ。そんときはシャプトン買うだな。
でも、すぐにグラインダーの削り目が消えるといっても、小1時間
ほどは刀身を丁寧に正確にぶれないように押さないと
だめよ。


使用後に面磨りして面一のフラットをビシッと出したところ。


砥石って大切っすよ。
刃物を研ぐのに砥石がなければ始まらない。
夜の中、道具だよ、道具。
道具を揃えることと、良い道具を選ぶことだね。
レンチやチャージャーなければ、車のタイヤも
ホイールから外せねえべ?
それよ。
とりわけ、刃物の研ぎは砥石も選び抜いたほうが
いいす。

友人には研ぎのマニュアルを書いてあげる約束
なんだ。
ほんとにいろいろあたしに良くしてくれるから、できる
限りはしてあげたい。
一般的な包丁研ぎなどの出版物には載っていない
裏技的な私の研ぎ方の口伝も書くつもり。
筆書きで虎の巻の巻き物にしちゃおうかな。
あ。ああいうのは業名だけか。駄目だこりゃ(笑


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過剰品質研ぎ(笑) 〜包丁〜

2016年05月20日 | 刃物

あたしみたいに包丁に過剰品質研ぎをするマニアってあたしの他にも
いるのよ(苦笑

こちら → 刀剣研磨まがいの包丁研磨

ただ、沸(にえ)は折り返し鍛錬したものにしか出ない、というのはちと違う
けどさ。折り返し鍛錬していない満鉄刀などにも沸は出るからね。

霞ではなく全鋼の本焼き包丁の場合も、鍛打することにより内部に
方位性を
もたらす内部炭素および他の元素の偏在等により、焼き入れ
の影響で
変態が生じ、沸えが付くことがある。

肥後守の刃部の拡大画像。刃中と地に見えるこの麹を散らしたような
チリチリした現出物は沸だと思うよ。


沸(にえ/錵)とはマルテンサイトの粒であるので、単一鋼材の場合
荒沸はつきにくいが、小錵や匂いは付く。また狙って付かせることも
できる。
折り返し鍛錬の狙いは、あくまで材料内部の不均質な初析炭化物
の偏在の均一化作業であり、「要らない」とされる「不純物」を叩き
出すために行なわれる(実は「要る」物であり、「不純物ではない」物
まで
叩き出してしまうこともある)。
従って、折り返し鍛錬は、すればするほど鋼の地鉄の働きは乏しく
なる傾向にある。
一方、一般鋼材などの均一素材の場合も、働きが乏しくなる。

また、水べしなどで最初から炭素量別に鋼材を分けている工法は、
現代製品板材(炭素鋼板材や利器材等)を使用するのと理論的に
同じ面がある。

のっぺらとした単一鋼材にしないために、一般日本刀工法では水べし
を行なった後には
詰み沸かしをするのだが、単純に「折り返しをした
から肌目のない
地鉄になる」とか「精良な鉄になる」という単純なこと
ではない。

いろいろな要素が絡まってきて地鉄の内実は向かうところが鍛冶に
よって
与えられる。

話を戻すが、私も包丁には料理に使う実用包丁以上の過剰品質とも
いえる研ぎならぬ研磨を施すが、実用一点張りを考えるならば、刀身
を研いで適度に研磨してツルツルピカピカにしておけばよい。それは
錆にも強い。
研ぎは鉄の表面にミクロ単位のざらざらの刻みをいれることであり、
表面積が増えるのでとても錆びやすくなる。
しかし、その刻み目を潰してツンツルテンの磨きで鏡面状態にすれば
炭素鋼といえども錆にはとても強くなる。(クロム多量含有鋼にはかなわ
ないが)


しかし、ツンツルテンの炭素鋼刃物はまるでステンレスナイフのようであり、
なんとも風情がない。戦時中の軍刀身の軍事研ぎなどもツルッペタに
研いでしまったりしたものもあり、これは観ていてつまらない。
だが、軍刀は軍用の物理的側面のみをみればこのほうが軍用刀身には
適している。ただし、そこに一切の精神的関与を差し挟まないのであれば
の話だ。軍刀は指揮刀であるからあくまで白く光らせたのであり、完全に
軍事斬撃用ならば野戦も考慮して黒染めしていたことだろう。現代の軍用
タクティカルナイフがすべて艶消し黒染めされているように。

刃物はただ単に実用一点張りというのでは、持つ者の心に響かない。

だから、一般の和式包丁でも刃鉄と地鉄の合わせ構造の物には霞を
入れて研ぎで曇らせて地と刃の明暗を出したりしているのだろう。
あれも極限ポリッシュしたら地と刃の境目は見えづらくなるし、日本刀で
さえも同様に刃文は見えなくなる。(刃文が消えたのではない。刃文とは
焼刃の頭の線のことであるので、研ぎで焼刃が消滅することはない)

ちなみに、日本刀の研磨は、研磨といっても鏡面ポリッシュではなく、
微細な砥石目を重ねることにより曇らせている。それによって鍛打による
鋼の働き、さらに熱変態による変化と働きが浮かび上がるようにして
いるのである。(肌目と働きは別次元。折り返し鍛錬による重ね肌目は
折り返し鍛練によってしか現出しない。沸などは折り返ししていなくとも
付く。こちらは熱変態による組織の変化だからだ)

日本刀も実用一点張りであるならば、荒砥→中砥→合わせ砥の刃付け
だけで十分であるのだが、湾刀である日本刀の登場直後からどうやら
「観る」ための研ぎも施されていたようだ。
律令時代の兵役では武器自弁の原則だったが、義務として兵役に就く
者が必ず持参せねばならないものとして砥石があった。
それを腰袋に入れてぶら下げていた。鉄器刀剣を研ぐためだ。
武器としてのみならば、所持刃物の刃がなまったり欠けたりしたら砥石で
ザッと研いで仕上げた。武器であるだけならばそれでいい。
ところが大刀から太刀の時代に入ると、ただの白く研いだ長い刃物武器
という面だけではないことがらを刀剣に日本人は求めた。

「観る」ための研磨技術と世界唯一の仕上げ砥石の埋蔵国だったから
日本は世界史の中で稀有な存在として一千数百年前の刀剣が現存して
いるのである。刀剣研磨の技術が不在だった朝鮮半島では古代からの
剣は残っていない。(アジアの中で西欧のような学術的な「中世」が存在
したのは唯一日本だけである)
それらの歴史的遺物である日本の刀剣は、今使えば十分に戦闘力を持つ
武器となる。ただの博物館の骨董品ではない。
化粧室などにある鏡は現代の物が古代の銅鏡よりもずっと優れている
だろう。
しかし、こと日本刀だけは、大昔の刀剣であっても研ぎ上げればそのまま
現役
武器として使用できるというところに日本刀の特異性がある。
よくこの点を知って外国人は驚く。骨董品だと思っていたら殺傷力が優れた
現役武器となるからだ。
私たち日本人とて、石器時代の石斧が仮に現代での実用武器として成立
するなら驚いてしまうことだろう。外国人の日本刀への驚愕はそれに似て
いるものなのだろう。


だからといって、実用刃物である包丁に日本刀に準じた研ぎをすることの
意味は薄い。私もやっているが(笑
ただいえることは、包丁は食品を切るものであるので、日本刀のように
「拭い」はかけない。対馬だろうが金肌だろうが、拭いはかけない。
しかも、切る前に研ぐのではなく、包丁は使い終わったら研ぐ。
切る前に研ぐと、確実に研ぎによる妙な味が食材に移るので、絶対に
切る前には研がない。これは料理人は誰でも知っている大原則だが、
一般家庭でも、使い終わってから研ぐほうが良い。

包丁をここまで研磨する必要はないのだけどね(笑

(私の包丁)

これは完全に研ぎ手の趣味の領域なのだが、まあ、ただのツルピカ
で品の無い包丁よりはこちらのほうが持っていて気持ちがいいことは
気持ちがいい。
気分の問題なのだが、気分って結構大切なのよ。特に料理などは。

そして、紹介したブログ主も書いているが、地艶を入れることは、研磨
した刀身を「晴らしてあげる」ことなので、心も刀身も晴れ晴れしくなって
よいと私個人は考えている。
研磨における「晴れ」とはツルピカにすることではない。晴れ上がった
青空のように、すっきりと晴れわたる鋼の表情を引き出してやることだ。
気持ちがいいことだと私は思う。
なんてのかね、日本刀もそうだが、包丁も喜んでいるような気がする
のよね。勿論、それを鍛えて作った人も。
そうしたセッションができるのが打ち刃物の良いところで、常に「人」と
「物」の接点が存在する。
そういうところに、私は魅力を感じるのさ。
その頂点が日本刀だと思うが、包丁だって精魂込めて作った人がいる。
そういうところに思いが行かないのは、本当の愛刀心や手打ち刃物を
愛でることではないと私自身は思っているのですよ、と。





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文化包丁

2016年05月19日 | 刃物



手に入れたくても現在ではなかなか手に入らない物がある。
その一つ、文化包丁。
現在は「三徳包丁」が主流になり、この昭和時代に登場した
文化包丁はほとんど見かけなくなった。

この包丁は、小学校三年生の時に家庭科の授業用に親が
私に買い与えてくれた物だ。それを今でも大切にしている。
親から貰った直後に彫刻刀でハンドルに苗字を彫った。
今なお現役の包丁である。
当時は、私が通った小学校では学校に備え付けの包丁が
あるにはあったが数が足りず、各自が自宅から持参していた。
爆発的な高度経済成長期であり、私が通っていた横浜の小学校
の1学年は50人学級で12クラスほどあったと記憶している。
校舎に生徒が入りきれず、工程に飯場のようなプレハブ校舎が
建てられてそこで授業を受けた。当然給食もなかった(笑
そして、授業のための包丁を持ち歩いても、文房具の肥後守を
持ち歩いても、その刃物で悪いことをする子どもなどいなかった。

これは私が大学に入った時に購入した薄刃関東型包丁だ。
「肉などは食えない。どうせ野菜炒めばかりだろう」てなことで
薄刃包丁にした。文化包丁は小学生の時の物があるので。
あと、使わないだろうなとは思いながら小出刃を持っていた。


この薄刃包丁は購入後37年になるが、いまだに現役である。
野菜切り専用に特化されたものなので使い勝手は良い。
私が割烹でバイトしていた時の桂剥きの練習はこれでやっていた。


和包丁のよいところは、切る物によって性能が特化されているので、
それ専用に使うととても使いやすいことだ。


ツマを作る桂剥きなどは出刃ではできない。やはり薄刃がマッチして
いる。しかも、私個人は関西型よりも関東型の切先のない切っぱが
使いやすいと感じている。ただし、薄刃は手入れと保管がかなり大変。
研ぎも下手な研ぎをくれると、地鉄と刃鉄の張力の違いからうねったり
刃道がデコボコになったりする。


和包丁というものは、高額な物は造りも確かだが、廉価な物でも
しっかりしている物もあるので、揃えると料理のバリエーションも
広がる。家庭での利用は50年ほどはゆうに使用できるのでは
なかろうか。
和包丁こそ、日本が世界に誇れる日本の文化だと思う。
それは妄想概念などではなく、和食文化と密接につながった
有機的な存在として。


小学校の家庭科の授業というのは、実は道徳と並んで一般

学科よりもとても大切な教育科目だと私は思っている。
以下、文科省による最近の学習指導要領について紹介したい。

第2章 各教科 第8節 家庭

第1 目標

 衣食住などに関する実践的・体験的な活動を通して,日常生活に
必要な基礎的・基本的な知識及び技能を身に付けるとともに,家庭生活
を大切にする心情をはぐくみ,家族の一員として生活をよりよくしようと
する実践的な態度を育てる。

第2 各学年の目標及び内容

〔第5学年及び第6学年〕
1 目標
  • (1) 衣食住や家族の生活などに関する実践的・体験的な活動を通して,
    自分の成長を自覚するとともに,家庭生活への関心を高め,その大切さ
    に気付くようにする。
  • (2) 日常生活に必要な基礎的・基本的な知識及び技能を身に付け,身近
    な生活に活用できるようにする。
  • (3) 自分と家族などとのかかわりを考えて実践する喜びを味わい,家庭
    生活をよりよくしようとする実践的な態度を育てる。
2 内容
A 家庭生活と家族
  • (1) 自分の成長と家族について,次の事項を指導する。
    • ア 自分の成長を自覚することを通して,家庭生活と家族の大切さ
      に気付くこと。
  • (2) 家庭生活と仕事について,次の事項を指導する。
    • ア 家庭には自分や家族の生活を支える仕事があることが分かり,
      自分の分担する仕事ができること。
    • イ 生活時間の有効な使い方を工夫し,家族に協力すること。
  • (3) 家族や近隣の人々とのかかわりについて,次の事項を指導する。
    • ア 家族との触れ合いや団らんを楽しくする工夫をすること。
    • イ 近隣の人々とのかかわりを考え,自分の家庭生活を工夫すること。
B 日常の食事と調理の基礎
  • (1) 食事の役割について,次の事項を指導する。
    • ア 食事の役割を知り,日常の食事の大切さに気付くこと。
    • イ 楽しく食事をするための工夫をすること。
  • (2) 栄養を考えた食事について,次の事項を指導する。
    • ア 体に必要な栄養素の種類と働きについて知ること。
    • イ 食品の栄養的な特徴を知り,食品を組み合わせてとる必要が
      あることが分かること。
    • ウ 1食分の献立を考えること。
  • (3) 調理の基礎について,次の事項を指導する。
    • ア 調理に関心をもち,必要な材料の分量や手順を考えて,調理
      計画を立てること。
    • イ 材料の洗い方,切り方,味の付け方,盛り付け,配膳(ぜん)及び
      後片付けが適切にできること。
    • ウ ゆでたり,いためたりして調理ができること。
    • エ 米飯及びみそ汁の調理ができること。
    • オ 調理に必要な用具や食器の安全で衛生的な取扱い及びこんろ
      の安全な取扱いができること。
C 快適な衣服と住まい
  • (1) 衣服の着用と手入れについて,次の事項を指導する。
    • ア 衣服の働きが分かり,衣服に関心をもって日常着の快適な着方
      を工夫できること。
    • イ 日常着の手入れが必要であることが分かり,ボタン付けや洗濯
      ができること。
  • (2) 快適な住まい方について,次の事項を指導する。
    • ア 住まい方に関心をもって,整理・整頓(せいとん)や清掃の仕方が
      分かり工夫できること。
    • イ 季節の変化に合わせた生活の大切さが分かり,快適な住まい
      方を工夫できること。
  • (3) 生活に役立つ物の製作について,次の事項を指導する。
    • ア 布を用いて製作する物を考え,形などを工夫し,製作計画を
      立てること。
    • イ 手縫いや,ミシンを用いた直線縫いにより目的に応じた縫い方を
      考えて製作し,活用できること。
    • ウ 製作に必要な用具の安全な取扱いができること。
D 身近な消費生活と環境
  • (1) 物や金銭の使い方と買物について,次の事項を指導する。
    • ア 物や金銭の大切さに気付き,計画的な使い方を考えること。
    • イ 身近な物の選び方,買い方を考え,適切に購入できること。
  • (2) 環境に配慮した生活の工夫について,次の事項を指導する。
    • ア 自分の生活と身近な環境とのかかわりに気付き,物の使い方
      などを工夫できること。



私、思うんですけどね。
家庭科の授業こそが、小学校で一番大切なことのように感じる。
家庭科でしっかりと大切なことをみんなが学んでくれれば、そしてそれを
将来生きる時に活かしてくれれば、もう少し世の中よくなるように思える。
勉強がいくらできても、運動がいくらできても、人間としての基本である
衣食住と人の生活のことについて真剣にしっかりとした基盤を学ばないと
社会は崩れる。

あと大切なのは「社会科」だな。社会性を持つ意識が希薄な子が多く
増えると、社会的には将来展望はお寒いものがある。
学校教育というのは、学問的な勉学だけでなく、こうした家庭科や校外
社会科実習授業がとても大切だと思う。
人としての基礎ができていないと、ろくなことにはならない。
まあ、ろくでもないというのは子どもではなく大人がろくでもないから
子どももそのうち後に続くのだけどね。子どもは大人の鏡だから、大人が
ダメポならば子どももダメポになるのは当たり前田のクラッカーなのよね(古)。



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