渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

肥後守型ナイフ

2016年06月23日 | 刃物



美し過ぎる(笑

刀と同じで、実用に供せず鑑賞目的となるナイフは多いが、これもそうした
作品なのだろう。
ただ、日本刀が世界唯一なのは、刀身のみで鑑賞に価する美的要素を具備
しているところだ。これは類例をみない。
ナイフなどは、どうしても外装等の装飾で美的表現を成すしかない。
だが、日本刀なども奈良飛鳥の上代にあっては、外装こそが美的表現の方法
だった。
これらは貴人の剣や大刀(たち)だったが、武用刀剣としては坂上田村麿の
大刀などは外装がシンプルだし、義経の黒漆塗太刀なども武用専一という
実用重視の物だ。
刀剣外装に装飾をおごるのは、やはり、北山文化の影響が強いと思う。

米国人の友人が一番日本刀で驚いていたことが面白かった。
江戸期の拵を一緒に見ていて、「これは何?」と訊くから、「これは耳かき
と頭髪の乱れ直し。頭が痒い時もこれで突っついて掻く。まあ、言って
みればエチケット用品だな」と言ったら、「武器にそんなものを着けるの
か?日本人てのはオシャレなんだなあ」と驚いていた。
まあな。おめーさんとこは、西部あたりは風呂にも入らず、時々桶で水を
頭から被るくらいで、それもその桶を片付けずに足でスコーンと横に蹴っ
飛ばしてどける、というような国だからな。今でも(笑
うちらは奈良時代から箸も食器も使っていたが、フランスなどは日本の戦国
時代あたりまで手掴みで食事だしな。
武家政権時代、西欧は日本を遅れた後進国のように勘違いしてたが、洗練
された文化度は白人社会よりもずっと先進的だった。
日本の文学、美術、工芸の洗練された中身を見てみろって。
第一、おめ、江戸には上下水道もあり、公衆浴場もあって、みんなチレイ
チレイしてたんだよ。
埃まみれのおまいらカウボーイと一緒にしちゃいけねえよ、とね、言っと
いたよ。
そんときは日本語で(≧∇≦)
ま、日本語ペラペ〜ラの奴だからよかったけど。

奴は俺の親父が鯨研究家だと知ったら、鯨の彫り物のあるナイフを親父に
プレゼントしてくれてたよ。
よく撞球も一緒にやった職場の仲間だった。
海を超える心の付き合いはいいね。
アメリカンにしては俺様大将ではなく、まったく偉ぶらない弁護士だった。



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肥後守の個体差

2016年06月05日 | 刃物



いくら砥当たりが良い感触で研げても、研ぎ始めの段階で妙な
違和感を指先に覚え、確認した。

確認漏れだった。
このような刃先がプロペラ型によじれている刃物は通常の研ぎ方
はできない。根元真ん中の黒線が刃道である。右にうねって左に
カーブするように蛇行している。





この個体はボツです。
これにはこの個体に合うような研ぎにします。
鎬の立った通常の肥後守の形状のまま、研ぎ繋ぎで完璧に仕上げる
ことはできますが、それでは研ぎ直しのたびに大変な手間を要する
ので実用刃物からは乖離してしまいますし、使っては研ぎ直しを前提
とした人に渡す刃物としての位置づけにはなりません。
この個体は私が使う刃物とし、簡易研ぎ対応用に改造する。
それは鎬を削り落として蛤系に研ぐベタ研ぎ。形は原形からは大きく
崩れます。

刃道がうねっているので、平地をフラットにする即研ぎの研磨はでき
ません。研ぎ上げには日本刀のような研ぎ繋ぎが必要で、時間がかなり
かかる。

また、よく確認したら、鎬地もうねっていました。まるでダメ夫くん。
やはりこの個体は私用にして、別な個体を入手することにします。


丸出だめ夫(1966年)


汗かきベソかき歩こうよ♪
ということで、別個体の出荷段階の鎬地グラインダー砥石目を除去したら・・・


鎬地に疵が出てきました。
グラインダーの砥石目が深く食い込んでいて除去できないというのは
よくありますが、これはちょいと深い、かも?
完全除去することもできますが、それをすると刀身がペッタンコに薄く
なる可能性がありますので、ある程度疵が残るのは所有者に了承して
もらい
ました。

とか言ってて、天草で軽く押したら消えた(^^;)


この天草砥はほんとに軽くなぞるだけでよく利く。
この平地は光っている部分が砥石が利いているところ。
真ん中は残っているグラインダーの砥石目だ。
つまり、この肥後守は出荷時にホローグラインドに削られている。
いらぬことだと私は思う。
私は洋式ナイフにおいてもホローグラインド否定派だ。理由はいろいろ
あるが、肥後守については絶対に否定する。


肥後守においてホローを否定する理由は、肥後守とは本来
持ち主が研ぎによって任意の研ぎ上げをすることを前提と
した文房具だった筈だからだ。
ホローグラインドの肥後守に砥石を当てると、鎬下と刃先に
砥石がかかり、一見刃先がすぐに研げて簡単そうに思えるが、
平地部分からのエッヂをどう構成するかということについては
高度な技術が必要になってくる。
そして、平地を研ぎ残すことになりかねない。これは出錆の原因
にもなる。
日本の片刃包丁でもカンナでも裏スキによってえぐられた部分は
摩擦係数を軽減させるための日本人の知恵だが、裏スキの研ぎ
というものはスキ交差点の十文字をどのように取るかということ
がとても重要になってくる極めて高度な知識と研磨技術が要求
されるのだ。
肥後守はフラットグラインドもしくはかつてのようにコンベックスに
初期出荷段階で仕上がっているのが望ましいと私は考える。
平面が出た砥石で平面が出た刃物をぺたんとあてて研ぐことが
一番簡単であり、乱雑でなく丁寧に研げば切れ味は向上する。
そして、文具としての肥後守は誰にでも研げる刃物であったところ
こそが国内を席巻した爆発的普及の最大要素だったのだ。

現在まま見られる肥後守の平地中央をグラインダーでえぐるホロー
仕上げ出荷は、一見使用者のことを考えているかのようで、実は
洋式ナイフのラブレスが流行らせた流行に盲従するだけの使い手の
ことを考慮していない内実の伴わない仕様設定だと私は指摘したい。

私の肥後守研ぎは、平地は完璧なフラットもしくは緩いコンベックスの
ハマグリ状に成形し、刃先に私独自の刃を付ける。
肥後守はお子さんでも研げるような形状でなければならない。
製造にあっては、変な洋式ナイフの流行を追う形状変更はやめてほしい。

(肥後守を研ぐ私の地元の友人の娘さん/小学生時代)





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砥あたり良く、よく利く砥石

2016年06月05日 | 刃物



この天草は、研ぎ汁が乾くと真っ白になる。
研いでいる最中は鉄分と混ざって化学変化で薄灰色だが、乾くと
薄力粉のように真っ白でサラサラで白いパウダーとなる。
砥あたりはとても柔らかく、よく利く。
そして、なぜか他の天草2丁よりも研ぎ目が細かい。
天然砥石というのは、個体差がすごくあるよね。

3個の天草砥石の色の違い。それぞれ砥あたりと研ぎ目の細かさも異なる。
日本刀研磨の砥石名だと、いわゆる「備水(びんすい)」というのが天草砥
のことですね。「備水」という名称は元々は大坂の商人がつけた銘柄のこと
なのだそうです。
白くて目の詰まった良質な物が備水と名付けられて刀剣の下地研ぎに使用
されました。
赤い物はトラと呼び、安価で今でもすぐ手に入ります。

熊本県天草の温泉地にある天草砥の椅子とテーブル。
雨降ると、おしりが研げます、研げます(^0^)


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研ぎやめ

2016年06月04日 | 刃物



山陰向け肥後守の出荷時グラインダーの目を天草砥で取って行く。



どんどん取る。


なんか、いや~な感じがしてきたので、研ぐのは中止しようと思った。
やめようかと思った瞬間、ジッという音と共に鎬を蹴った。
やめる。絶対に今夜はうまくいかないのが見えている。

飲むことにする。
普段私は酒を一滴も飲まない。
飲む時には浴びるように飲むし、独身東京時代は毎晩しこたま飲んで
いた。

今は車で移動する毎日なので、いつの間にか飲まないのが習慣となった。
家ではほんの時々、飲む。飲酒は5月6日以来だ(笑

なんだか、精神的なつっかえがあるのか、思うように行かない。
「刃に邪気を感じる」と呟いたら、妻はうひゃひゃひゃと大笑いしていたが、
そういうのってね、あるんだよ。解る人は解るだろうが。
どんな物にもそれは
ある。
何だか人の心を解さないケチ臭い嫌な話を先ほど電話で耳にしたからかも
知れない。感じ悪い。
「思邪無(思いによこしまなし)」でないと刃物の研ぎなどはできない。


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ナイフのメンテナンス その2

2016年06月04日 | 刃物



地元の友人から預かったフォールディングナイフをオーバーホールする。
全バラにしてチェック。



すべての出錆部分をオイルを浸したスチールウールと2000番のペーパーで
こすり落とす。


接触部分もサビサビだったが、研削しないように気を付けながら研磨する。






ブレードの沈金錆も丁寧に除去した。スペーサーも洗浄、ポリッシュ。


ネジもすべて一個一個オイルとスチールウールで丁寧に錆を除去。


作動確認をしながら組み立てる。






サビサビだった部分はすべてピカピカにポリッシュした。


作動も極めてスムーズで良好だ。錆ついてまったくブレードが開か
なかったが、
オーバーホールで完全に蘇った。


あとは後日刃を付ける。


私の同モデルと並べてみる。
う~ん。なかなかワイルド。いい感じ(^0^)


持ち主の地元の親友は車屋さんの三代目社長だ。
三原市で一番古い自動車販売店とのことだ。店内には、引退した
昔の工具が手入れされてディスプレイインテリアとなっている。
なかなかオサレだすよ。
ここは店長が凄い。元ディーラーメカなのだが、メカニック全国大会
準優勝だ。決勝は横浜で行なわれたらしい。商品はスナップオンの
工具セット一式だった。あれ、給料3ヶ月分くらいするよ(^^;
机を二つ重ねたくらいのでっけーツールボックスに入ってるやつね。
昔車をいじってもらってるのを見てたら「あ、巧いなぁ」と思っていたら、
ほんまもんの実力者だった。そして、工具は極めて丁寧に扱う。
本物って、そういうところがちらりと出るよね。



芸備地区で新車・中古車の御相談はこちらにどうぞ。
 → 三協自動車商工







社長。日大ボクシング部出身。スノボインストラクター。
キャンパー。ビリヤードA級。英会話ネイティブ並。




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ナイフのメンテナンス

2016年06月03日 | 刃物



地元の友人の希望で、マリンユースでガンガンに使ったナイフのメンテを
受けた。



海水ってすごいね。
海水というか、塩分と水気が大気中の酸素と結合したら
ステンレスでもとんでもないことになる。
これは、フルオーバーホールして、良好な作動性を回復する。


以前私が研いだ時からかなり使いこんでいる。
こういうのがいいね~。道具は使ってあげて、その後、完全にメンテする。
手を入れれば、これもビッカビカになる。
海から上がったらこうなっていたというのだから、海恐るべし。
海辺の車なんてすぐにボロボロになるしね。
これの刃先は以前研いだが、早月流特伝にしてある。


新版肥後守の成形と研磨も受けた。
ブレードシルエットは私風の笹の葉型にしてほしいとのことだ。

上:山陰の友人の物、中:地元の友人の物、下:私の肥後守 

この上と中の2本も、やがてこのようにする。


ということで、ブレードバックを私流にシェイブ。


細かいシルエットの線出しは手研ぎによる荒砥で成形していく。
これは大まかなアウトライン出しだ。


肥後守はこの状態から本研ぎを開始する。
自重で切れるんす~(^〇^)


俺は青紙割込よりも、全鋼の肥後守のほうが好きだな。
いくら研いでも貼り合わせた地鉄がなるなることはないし(笑
というか、「青紙割込」としているけど、あれは最初から貼合わせ
の利器材でしょう?(^^;
研ぎ上げたら、SK材だろうが一枚物で充分、というか一枚物
のほうが私は使える。包丁ならば本焼きというところだろうか。
ちょっと違うか(笑


ただ、御新規さんの2本を削っていて気づいたことがあるよ。
同ロットの筈なのに、炭素量が違った。
ほんの微妙な差なのだけどね。


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オピネル

2016年06月02日 | 刃物



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日本の肥後守の高級バージョンについては「それってどうよ?」と思う。
取ってつけたような「売らんがな」のためのミスマッチの付加価値を
付けようとするのが見え見えで好感が持てない。

しかし、オピネルの高級バージョンには唸ってしまう。
まるで、いきなりライヨールかジャックモンジャンの風味が漂う。
う~む。さすがおフランスざんす!
さらりとオサレで、参った。
水牛の角をハンドルに使っているあたりは、日本の奈良平安時代の
貴族の汎用ナイフである刀子(とうす)にも通じるものがある。
決して人造では表現できない、自然界がもたらす深みと透明感がある。


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高級品であるから、とかのつまらん理由ではなく、このオピネルだったら
私は欲しい。細部の作り込みに、ある種独特の「匠の粋」を感じるからだ。
うむ。ラテンは、規範を崩す冒険的背徳性にこそ芸術力の源があるように
思える。
この一本のナイフからも、文化を感じる。








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コンバージョン!

2016年06月01日 | 刃物


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これはリチャーズ・メイソンのコルト・カートリッヂ・コンバージョン・モデルだ。
なんと美しい銃であることかと私は思う。
機能性と造形美に見惚れる。これが目の前にあったら、何時間でも見入って
しまうことだろう。

今、ヤマハXSR700を作ったイタリアの友人が、刃物についてとてつもない
ことを構想している。
実に興味深く、面白い。
そういう人が思いつかないような発想ができるから、メーカーでの新しい
車作りなどもできるのだろうなぁ。
まさにクリエイティブな感性の発露を具現化に向ける。
ただの仕事人ではない創造性がなければやっていけない。
日本人なのに、彼に芸術の国イタリアの風を感じた。


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早月流 研之次第

2016年06月01日 | 刃物



先日、妻が久しぶり使った西勘包丁のほうが切れるというので、
現在通常使用しているこのモリブデン鋼製の包丁にも、私の
早月流(さつきりゅう)の極意研ぎを施して渡した。


すると、「うわ。なにこれ。気持ち悪い切れ方!」と妻が言った。
勝手に包丁が切れ進んでいくような、そういう研ぎにしたからだ。
当流の極意研ぎのうちの一つは、唯一最大の根源的問題を抱え
ている。

それは、切れ過ぎるのである。切り手が制御できないほどに、
まるで刃物が自分で意思を持っているかのように勝手にどんどん
切れ
進んで行くのである。
厳密には、勝手にひとりでに刃が意思を持って進むということはあり得ず、
左右切り分けの抵抗値の微細な変化等から、切り手の意思を物理的現象が
凌駕して、刃があらぬ方向にどんどん切れ味鋭く切れ進んでしまう。
新聞紙一枚やコピー用紙を横に切ってみれば現出するが、切り手が真っ直ぐ
に切ろうとしても、微細な左右抵抗値の変化から切り進む刃が波打つことが
起きたりする。カッターで開封する時も、刃を起こして切れ味を鈍らせての
角度で開封するのではなく、刃を寝かせて最大の切れ味が出るような角度
で切ると、封は真っ直ぐに切れずにうねってスパーッと切れて行く。
カッターなどでのレターオープンでは、刃の角度で制御できるが、これが
包丁となると、食材を切る際には刃筋も刃波も立っているので、刃先方向に
圧力が向かう。意思を超える程に切れすぎて制御困難な切れ味は、コント
ロール可能な「切り味」の範疇を超えているので、扱えなくなる。
バイクや車にしても、レスポンスが良いエンジンの吹け上がりといっても、
ほんの1ミリアクセルを踏んだりスロットルを開けたりしただけで、エンジン
が一気にパーンと6000回転も吹け上がる反応を示したらとても扱えない。

刃物でも、こういうのは問題があるのだ。
刃物は、刀剣も包丁も、
すべては使い手の意思の下、人間の思惟
の制御下に置くことができる「任意の
切り味」を持たせなければなら
ない。
刃物は、持つ者の気を静め、利刃の妖気を鎮め、時には刃味を
抑え、時には起こし、以て持ち手が全領域に亘って己の意思の
通りに制御できるような研ぎをしなければならない。
勝手に切れて刃が進んで行くような研ぎは、どんなに切れ味が
優れていようとも、人間との乖離という点において、良い研ぎとは
いえないのである。
いくら飛びぬけて切れても、そういうのは刃物として宜しくないのだ。

妖刀ではないのだから。

それゆえ、当流においては、「任意の切り味」を自在に得ることを一つ
の道標と定め、
ただ突出した切れ味を出すことを良しとはしない哲学
が存する。
切れ味が飛びぬけて鋭くなるように研ぐことは極めて簡単なのである。
だが、本質に先立つ実存的存在意義はそこにはない。
理由は、刃物は刃物としてのみ独立して存在し得ないからだ。
刃物は常に人との接点が生じた時にのみ、刃物としての実存的存在の
如何という人の意思の介在によって存在意義が規定される立場が付与
される。
その存立基盤には常に人間が介在している。
刃物は刃物として自然界には存在しない。刃物は人間が作り出した
創造物の一つなのである。
人を抜きにした独善的な刃物の製作や研ぎはあり得ない。
これが当流の哲学であり思想である。

早月流の研ぎを施してある西堪包丁。






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外れ個体 ~肥後守~

2016年05月31日 | 刃物


研いでいて、どうもなあと思ったら、鎬線がウネリまくりの個体を買って
しまったようだ。
店でパッケージ開ける訳にいかないからねぇ。
裏がこうなっていたのは分かりようもない。うひゃひゃのトホホ(≧∇≦)

これはあげる物とはせずに、おらの実用肥後守としとくか。
とりあえず、刃を付けてこのままおいらが使おう。
鎬線は成形できるけど、かなり身減りするので、これはこのままで使う
のが正解かと。

おいらが普段使っているこの個体と仕上げ違い過ぎるけどね(≧∇≦)


ちなみに、防衛省の人においらが研いだ肥後守と包丁をあげたらメールで
返事が来た。
「スゲーす(^^;)」とのこと。
切れ味を超える切り味の世界へ、ようこそ。


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耳に聴こえる音と心で感じる音

2016年05月30日 | 刃物


「朝の5時前からシャカシャカこんこんやるの、やめてくれない?」
と、かみさんに叱られた。
でもって、帰宅後、深夜まで研いでいたら、「夜中に音出すのやめてくれ
ない?」とまた叱られた。
どーお、さーせん(≧∇≦)
でも、日中は仕事だから、早朝か夜にしか研げないんだよ~ん。

てことで、高番手の研ぎならばシャコシャコ音が出ずにグッグッという感じ
だから文句も出ないだろ(笑

って、下地研ぎは土日にしか出来ないやんけ!

いろんな砥石でいろんな研ぎ味がありますが、おいらは青砥が好きだな。
まるで、硯の上で墨をすってるような感触なんだよね。ウリウリウリていう
ような。
あと、白目の名倉砥かなあ。柔らか目の。研ぎ汁が乾くと薄力粉のように
真っ白なサラサラになる砥石。

でも、最近思うんだよ。
ある目的を持って狙い澄まして研ぐのではなく、研ぐこと自体が楽しくて
仕方ないというのは、何だか方向性見誤ってないか、という自問がある。
それは仕上がった時の嬉しさはあるけど、その過程の工程そのものが楽しい
というのは、これまたある種の脳内
麻薬なのでは、とか思ったりする。

ただ単に切れるように研ぐのは簡単だ。刃を立てればよい。
でも、その先、さらにもっと先、もっともっと先、というような所を目指し
て、その段階ごとの入り口が見えてきたら、どんどん目がらんらんとして
くるのが自分でも判る。
これね、やっぱ変態の領域のように思える。
それでも追求はやめられない。
「切れ味ではなく、その向こうの切り味の世界を」という欲求は止まらない。

そして、今のところ、私が手がけた刃物は、かなり切れるという評価を人様
から頂いている。
人によっては、「今まで体感したことのない異次元の切れ味」とまで評して
いる。
でも、それは単に「切る」ということを純粋特化して、単純に具現化させた
だけのことだ。
もっと先の世界を私は求めている。

ただ、過去の30年程前の一歩踏み出した頃を振り返って、あれで良かったの
かもと思うことがある。
それは、「狭き門より入れ」ということだ。
道程を歩むにあたり、楽な道を選択しなかったことが、今となって大きな
財産となっている。
神が示した一つの理を、今改めて知る。

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研ぎの勉強

2016年05月28日 | 刃物



若き戦闘指揮官が研ぎをやりたいとのことで、砥石の詰め合わせを送る。

`;:゛;`;・(゜ε゜ )ブッ!!


研ぎ上がりサンプル含めてあと何点か同梱するので、9キロは超える。

刃物研ぎといっても、主として包丁と肥後守などの小型ナイフを研ぐよう
だが、89式銃剣も研ぐのだそうだ。
89式小銃も銃剣も駐屯地の外には任務以外では持ち出しはできないが、
隊内では銃の整備や銃剣の手入れは任意らしい。
十分に研ぎをマスターして、単なる趣味の領域を超えて国防の一助として
くれたなら幸いである。

私の刃物研ぎ30年の集大成的な研ぎマニュアルを製作して同梱する。
これは、一般的には書籍やネットでも公開されていない実用的ノウハウも
満載している。
分かりやすく、簡易に、かつ、要点を押さえつつ詳細にまとめた。
枚数はかさむが、冗長は回避した。
つぶさに網羅すると、一冊の書籍になってしまう。
なので、最低限の理論的な基本概論とメソッドの要諦のエッセンスのみを
まとめた。
一読して理論と実践の要諦は頭では理解できても、実際に実行に移して
自分が定めた獲得目標を掴むことを実現させるには、技術の蓄積が必要
であるので、一朝一夕にはいかないだろう。
だが、理論と正しい研ぎの仕組みを知るか知らないかでは、道程において
大きく経過時間が異なる。
職人技は「急がば回れ」が伝統的原則とは云われているが、伝統的なこと
としては「伝授」というシステムもある。
私の研ぎの真価を認めてくれる人であり、その本人が「研ぎをやりたい」
と言うので伝授する。単なる「切れ味」ではない、その向こうにある「切り味」
の世界を開く扉の鍵を。
但し、左久作師から非公開として教わった一部分については、師から許可
を貰っていないので伝授はしない。
私が私自身で自得した私の研ぎについて伝授する。

私も半百を過ぎて久しい。
19での決意の時から、いつ死んでもよいとの心構えでここまで辛うじて
たまたま運よく何度も命を拾って生きては来たが、人間そうそういつまでも
ラッキーな命運は続かない。
研ぎについては私もまだまだ達しておらず勉強中だが、ここまでの蓄積と
して、今のうちに一つくらい次世代に残せるものがあってもよいだろう。


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御肥後守研處(おんひごのかみとぎどころ)

2016年05月25日 | 刃物



御肥後守研處「さつき堂」でございます(笑)。

刀工康宏友の会「游雲会」の近県メンバーの方が、わたくしの研いだ
肥後守をご所望とのことで、近々に個体を仕入れて研ぎ上げ
ことにいたしました。

研ぎは時間かかりますが。

私が研ぐと、肥後守はこのようになります。(全鋼)


自重で切れます。

おかげさまで、好評のようで、多くの方にご愛顧いただいております。
と申しましても、手前は包丁研ぎも肥後守研ぎも業ではやっており
ませんので、あくまで懇意にお付き合いいただいている御方の
お腰物
しか手掛けないのですが。

このような埋もれた包丁の復活再生も手掛けております。

これが・・・
 ↓
このように。


この包丁の関連記事はこちら → 包丁百年。

 


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研ぎの違い ~肥後守~

2016年05月24日 | 刃物

平地。人造砥石8000番まで。ミラー系になる。


平地。天然砥石、本山合さ(あいさ)。日本刀のように薄曇りとなる。
鋼の素顔もよく見える。





しのぎ地はタンガロイなどの磨き棒で磨くのが防錆上も好ましいが、
目の細かい砥石のみの仕上げとする。

ここまでで、全体の48/50工程終了。


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超絶切れ味の秘密

2016年05月23日 | 刃物



昨夜、久しぶりに東京西勘の包丁を使った家内が、「やっぱり西堪のほうが
ずっと切れる」と言う。

そら、おまいさん・・・。
この西堪にはおいらが特殊な研ぎ方をしてるからだよ(^^;
日常的に使っている新潟の包丁にはサッと刃を付けただけの並み研ぎをして
いるからだ。
この西堪には特別な研ぎを入れているのだよ。





この画像から、これがどうなって何をやっているのかを見ぬける人が
世の中に何人いることか・・・。
最大の情報資料であるのだが。

何事も「見抜く目」を持たないと、次元の獲得は不可能だ。

家内に言わせると、胡瓜を切ると一番切れ味の微妙な違いが判るのだという。
なるほど、一理ある。
理由は割愛。


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