渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う

春風亭昇太

2017年05月15日 | 職人技



春風亭昇太の落語と「おも城はなし」という講演を聴いた。
前座の開口一番では昇太弟子の春風亭昇吉が古典落語
「つる」を演った。国立岡山大学を卒業後に東京大学に入学
し東大経済学部を主席で卒業したという
変り種の弟子だ。
父親が警察官というのも落語家としては変わっており、それを
ネタに噺のまくらに持って来ていた。

昇吉は、まくらはとてもよかったが肝心の噺の部分が良くな
かった。
なによりも「間(ま)」がよくない。まだ二つ目というのも判る噺
だったが、今後に期待。
というか、自分が馬鹿になるところがどうにも馬鹿になりきれて
いない。間抜けを演じるのがまさに「演技」に見えてしまう。
間抜けを演じるには間抜けになり切るのだが、それは間抜け
ではできない。そこをあたかも本物の間抜けであるかのように
見せるのがプロの職人芸だ。そこに落語の上手い下手がある。
そして、江戸古典落語には、間抜けだろうが頭の弱い奴だろうが、
それを包む周りの人間像の温かさがある。それが江戸古典落語
の息遣いだ。江戸落語の江戸の登場人物たちは、長屋の頭の
弱い奴をのけ者にしやしない。
そうした息遣いが昇吉の落語からは微塵も感じられなかった。
これはもしかすっと、東大卒だからとかいうのではなく、岡山県人
特有のヒエラルヒーを心の常とする人を見下す睥睨感の気質が
いつまで経っても根っこにあるからかも知しれない。
となると、絶対に昇吉は落語家として大成しない。一皮も二皮も
剥けて、江戸古典落語の神髄を極めてほしいと心から期待する。


昇太師匠の落語は新作落語で「ストレスの海」を演った。上手い。
後の講演の「三原城は海の上にあった」というテーマともかけて
いるのだろうニクい選択を感じた。

まくら部分で年末の紅白歌合戦の審査員に選ばれた時のエピソード
を語った。
昇太師匠の噺は爽やかな明るい毒があるのがいい。

落語のまくらで会場を笑いに引き込むために「AKBをこの(至近)
距離で見た
人、ここにいますか!?」というネタを800名程の観客
会場に振った。いわゆる自慢ネタだ。
その時、前のほうの客席にいた私は、咄嗟に「はいっ!」と大声で
手を挙げようかと
思った。
そして昇太師匠が「ええっ?あなたあるの?(◎.◎)」と言ったら、「ええ。
夢の中で」というオチを言おうかと思った。
しかし、現実ではそういう「壊し」は私はやらない。いくらウケても
それは職人の噺を壊す野暮だからだ。
よく一般的な世界でも、面白話をしてネタを出した時に「そういうのは
ここにもありますよ」と資料やネタを返す人がいるが、それらは野暮
の極みであって、そういうのをプロの噺の前でやっては野暮以下の
ゲス
になってしまう。
立川談志の高座で時そばか何かの噺の時に、本当に席でそばを
食い出した客がいて、談志はぶち切れて怒ったというエピソードが
ある。それは下衆だからだ。当然。
私も下衆にならずに良かったというオチ。


昇太師匠の噺のまくらの中で、面白い一節があった。
紅白の審査員の控室での相互挨拶の時のこと、並びいる美女たち
のその向こうに天童よしみさんがいた、ということを絶妙の間(ま)で
言った。

会場では大爆笑が起きた。
すると昇太師匠は「私はありのままの事実を言ってるだけで、もし
悪魔がいるとしたら、みなさんの心の中に悪魔が住んでいるのだと
思いますよ」と。

ここでも会場は大爆笑だった。
私が感じ入ったことがある。
それは、ここでの師匠のネタそのものが本当は天童さん
いじりなのだが、文字言葉上はまったくいじりを構成しておらず、それが
話の置き方と間(ま)によってのみの手法で観客いじりに転じるという
スライド技法が職人技として非常に
面白いと私は感じ入ったのである。
落語家のハナシの職人技を堪能した。

それに昇太師匠はホントにとても「間(ま)」がいい。いらぬくすぐりを
入れずに
ハナシだけで単発的にテンポよく、どんどん笑いを取って
行く。本当のプロの職人である。

昇太師匠は年齢は私の一つ上だが、とても若く見える。
いつまでも人に笑いをもたらす仕事を続けてほしいと心から願う。

昇太師匠をメインとして城郭ライターの萩原さちこ氏を招いての三原
城講演(1時間)では、
三原城の解説としてはwikiペディア以下の
内容しか語られず、また
城郭ライターとしての萩原さんにしては、
あまり知らないのかな?と
思われる部分も多くあり、名店でぬるい
蕎麦を出されたような印象
を受けた。
昇太師匠も城郭マニアで有名で著書まであるのだが、三原城に
ついてはよく知らなかったようだ。
ただ、三原城の本当の良さについては鋭く指摘して、「ここが三原城
の特筆すべき点」とステージで解説していて、さすがなりとこれまた
感じ入った。


また、なぜ一国一城令の下、福島という太守が安芸備後に赴任した
中、広島本藩の広島城があるのに三原城は取り潰されなかったのか
についても、卓見を昇太師匠は披露していた。
ただ、師匠は言わなかったが含みを持った発言をしていた。「何かある」
と。
私も「何かある」と思う。
同国内で江戸期に城が二城ある例は肥後熊本-八代にもあるが、
三原城の場合も、特殊なある事情が徳川政権が高度な政治判断で
下したことだろうと思う。
それは毛利を懐柔させるため、ということには当てはまらないと思う。
なぜならば、一国一城令の時には毛利は長州に減封されていたから
である。毛利一門小早川家が愛した三原城はすでに毛利一門の城
ではなくなっていた。
その歴史上の「何か」とは何であるのか。

こうした疑問を解く好奇心から歴史研究などは進められるのだろう。

私が今残されている三原城の本丸石垣について私も感心するのは、
北面左右両端で詰まれた時代が異なる(過去の自身による崩落等
によると推定)のだが、一部とはいえ戦国期~江戸ごく初期の石垣
が現存しているということ自体に驚く。
こうした例は実は全国でも非常に少ない。
福島正則の石工職人集団の築城技術に私は驚愕するのである。

職人技というものは、本当にとてつもなく大きい。技のスケールがでかい!
たとえかんざし職人は小さな細工物を手掛けていても、超絶技巧の
スケールにおいてはものすごく大きなことを成し遂げている。
他の職人たちも然りなのである。
職人、凄し!


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今から20年前の雑誌広告

2017年04月19日 | 職人技



ビリヤード場にこんな雑誌があった。この頃はまだ、おらぁ東京に
住んでただな。
表紙のおねーちゃんめっさ好みやんけ、というのは置いといて、
今から20年前の
1997年発行の「ブレイク」というビリヤード専門誌
ですね、これは。

デジタル編集ではなく、まるで1980年代大学のミニコミ誌のような
コピー版下の印刷だ。いくら97年といえども大時代的
な造りだろう(^^;
まあ、PCはまったく普及しておらず、ようやくウィンドウズが世に
登場したばかりの頃なので、デジタル編集などは出版社はしていな
かった時代のことだ。紙を手作業で切り貼りして版下作るのよね。
80年代初期に私もバイク雑誌でバイトしてたけど、タコ部屋のような
作業場でそこらの床に何人も横になって死んでるのが続出という
ような作業なのよね(笑
この雑誌は、ページはすべてケント紙にコピーしたような白黒で、画像
など
もドットが大きくまるで新聞のようだ。いや、今の新聞のほうが
写真が鮮明だ(笑
まあ、一部で有名なビリヤード専門ミニコミ誌『ピカソ』のようなもん
だな。あれとて、慶應の変態サブカルの連中が発行していた『脳細胞
爆裂マガジン 突然変異』に比べたらしょぼすぎる雑誌だったが、中身
はそれなりにコアで、ビリヤードネタとしてはなかなか面白かった。

この「ブレイク」の中でこのアダムの広告が目を引いた。カラーページ
はこの
アダムの広告ほか数ページしかない。
このキューのデザインに心奪われた。グリップはPC内部回路の合成
写真だが、全体のデザインはバラブシュカとTAD
を合わせたような
デザインだ。バットエンドは当然にしてデルリン。

このキュー欲しい!ハギのべニアの色といい、いわゆるひとつの私の
理想形。





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トッププレーヤーが使うキュー ~撞球師の差料~

2017年04月16日 | 職人技

日本刀でも、歴史上著名な剣士の愛刀は誰の作であったかは
気になるところだ。
撞球におけるキューも同じような感覚がある。

What pool cues do the pros use?

2014/12/22 に公開
Top 10 pool players and the pool cues they play with:


Johnny Archer - Scorpion Cues
Antonio Lining - Ted Harris Custom Cues
Darren Appleton - Predator Cues
Dennis Orcollo - Arnot Q Custom Cues
Kuo Po-Cheng - Tad Cues
Niels Feijen - Longoni Cues
Francisco Bustamante - Mark Bear Custom Cues
Ralf Souquet - Joss Cues
Shane Van Boening - Cuetec Cues
Mika Immonen - Mezz Cues




この動画でエフレン・レイアスが出てこないのが不思議だ。
彼はかつて800円のフィリピンキューで世界王者をいわせ、
その後はアメリカンカスタムのJuddを愛用し、現在では日本
メーカーの三木メッヅ製のキューをスポンサードにより使って
いる。

台湾の郭柏成(クォ・ポチェン)選手はTAD遣いだ。

海外の選手はカスタムキューを使う選手が多い。
日本の場合はスポンサードの関係からか、個人ビルダーのカスタム
を試合で使うことはマレだ。TADにしても故立花プロ、内垣プロ、
鳴滝プロなどごく一部の選手が愛用しているが、TADが大好き
なのに契約関係から使えないというプロもいる。海外選手のほうが
カスタムキューの使用率は圧倒的に高い。
そして、昔のアメリカ人選手はTADも多かったが、最近の選手では
この台湾のポチェン選手のようにTADを好む選手は珍しい。
大谷翔平みたいな顔してるね、ポチェン選手(^^)

こちらの動画も面白い。マスワリ・マンのコーリー・デュエルが
自分のキューについて解説している。
Corey Deuel - Why I Shoot with with a Meucci Pool Cue


この人が初めて登場した時にはぶったまげた。22歳の無名の
若者が王者エフレンに勝ちそうな勢いだった。
その後快進撃を続けて24歳の時にUSオープンを制した。
とにかくミスが少なく、かといって守り主体のセコい撞きではなく
積極的にキューを切らせて攻めて行く。まるでマジシャンのような
キューさばきを見せるのが彼だ。

こちらのマスワリゲームでの4番ボールを入れてからのネクスト出し
などはまるで
曲玉を見ているかのようだ。これが彼のビリヤード。
私は好きだ。

Corey Deuel - Run Out


ただね、刀もキューもそうだけど、いくら大切れする得物を手に
しても、使い手が遣えない奴だったら、まったく猫にコンバンハ
だからね(^^;

ビリヤードの世界で面白いというか魅力の一つに、選手によって
使うキューの作者が異なるというものがある。そして、その作での
せめぎ合い。
これは武士と日本刀という関係性ととても似ていて、非常に面白い。
撞球者であるビリヤードプレーヤーはものすごくキューにこだわる。
また、武士もそうだった。己の差料には非常にこだわった。
特にビリヤードプレーヤーはキューの動力性能に常に興味を持って
いて、見知らぬ人でも試合ではなく撞球場での相撞きなどの際には、
互いのキューの情報交換をする。これはまずする(笑
「それはどちらのキューですか」と尋ね、性能の特性などについて
質問したりする。時には試し撞きどうぞということにもなったりする。
剣士の場合は己の刀を人に渡すことはないが、撞球者の多くは
懇意になればキューの試し撞きを許諾したりする。
キューという物は、メーカーによって、あるいは機種によって、もしくは
個体ごとにすべて撞き味と動力性能が異なるので、とても面白い。
日本刀のように基本性能について「違いの幅」が狭いことがビリヤード
のキューはなく、非常に物によって大きく違っているし、極言すれば
1本1本すべて違う。
そういうことに触れて違いを知ることもまたビリヤードの楽しみの一つ
であろう。


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鏡面仕上げ

2017年04月16日 | 職人技



塗装の鏡面仕上げについてリサーチしていたら、こんなんがヒット
しやした。

こりはアカンやろ(^^;
ショー展示用のコンセプトカーだからまだしも、これで公道走ったら
とっても危ないような気がする(笑

木工品の鏡面研磨仕上げが最近増えてきているのだという。
これはポリウレタン塗料の質が向上しているから可能になったの
だそうだ。
基本は導管を目止めで潰してから塗っては磨きを繰り返すだけ
ではあるのだが、簡単そうでかなり高度な職人技を要するようだ。
とにかくポイントは磨きかなぁ。最終コンパウンドだけで最低3種類
の研磨剤を使用するし、バフをめちゃくちゃかけている。
磨きによる平面出しに一番気を使うようで、それは一般的な刃物の
研ぎと同じみたいだ。光の反射で映る光や像が歪んではならない、
というあたり。

こういうの、凄いよなぁ。塗装だけでこの鏡面を出すの。


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キューの構造

2017年04月13日 | 職人技



ビリヤードのキューの構造は製作者により様々なものがあり、
特にキューエンドのスリーブの内部構造は千差万別である。



TADキューが特異であるのは、TADはウエイトボルトを
一切使用せずにピタリと19オンス台の重量を出し、かつ
適正バランスを取っていることだ。

一般的なバラブシュカ式のウエイトボルト方式。


キュー尻のエンドキャップの後端まで木部と締め付け
ウエイトボルトが伸びている特殊構造のキューもある。


TADのエンド構造。木部が後端まで伸長している。
エンドキャップであるデルリンは接着が利かないため、
TADキューは木部とデルリン内面にネジを切り、強固
に締めつけて固定する構造にしてある。


従ってTADのバンパーゴムの取付方法は「木ネジ」となる。
全キューの中で、この方法は唯一TADのみである。



ビリヤードのキューのお尻は、各職人の設計思想が極度に
現れる場所であり、外見上はさして変わらないのに、作者
によってすべて異なるというところが面白い。
日本刀でいうならば、ナカゴの形状の違いによる作者ごとの
設計思想の違いのようなものか。
いわゆる「見所」というものの一つであるのかも知れない。


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冴えわたる技

2017年04月06日 | 職人技

Trick サエギナール & プロムダール
(Semih Sayginer & Torbjörn Blomdahl)

キューが「切れる」とは、まさにこういう技のこと。
普通の玉突人にはできない。
こうした曲玉が撞けるのは、撞球師の中でもごく一部だ。
本当に技術がないと出来ない事なので、古武術を僭称する
自称達人たちの脳内妄想族とは大違いの世界だ。
本物の技を持っていないと成し得ない。


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足元固め

2017年03月25日 | 職人技


福山BONZO。

すばらしいのは、このステンレス無垢材の台座だ。
脚を伸ばしてリフトアップすると台としては良くないという点を
補うために専用で製作しているとのことだ。素晴らしい。
1個数十キロの重さがある。華台は穴も渋くて良好。


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リペア=修理ということについて ~製造にも関する一件~

2017年03月24日 | 職人技


(リペアから上がって来た私のTAD。超極薄究極クリア仕上げ)

これは日本刀の製作や修理および研ぎについても通じる事柄で
あるので書いておきたい。
ビリヤードのキューのリペア業者で、腕は良さそうなのだが、
とにかく他者を批判して自己自慢を繰り返すことにより自分の
仕事をネット上でPRしている業者がいる。
確かに腕は良さげなのだが、自分がウェブサイトで公開している
仕事が他業者に盗まれて参考にされているとか、うちほど参考に
なるサイトはないだろうとか、リフィニッシュ塗装についても
こんなに綺麗に塗れる者は他にいない、等々、延々と俺様自慢が
展開されている。
私の日記記事のこと(ほぼそうだろう)も自己サイトで引き合い
に出し、キューリペアでトラぶったらしいが、うちのお客さんに
はそういうことは無縁だ、みたいなことを記事にしていた。
おわかりだろう。
結局、ねらーやice-kなどに見られるように、他者を引き合いに
出してコケ下ろすことで自分の優位性を強調しようとする種族
なの
である。
どれほど仕事が完璧でも、私はこういう業者とは一切関わりを
持たない。
もし仮に、全世界でこの業者しかビリヤード用品のリペア業者が
いなくなったとしたら、私はビリヤードをやめる。
それほど、下種な発想というか、そうした性根の人間とはつきあい
たくないし、実際に縁は結ばないのである。


その業者が、TADのクリア塗装リペアについて、例のごとく自慢げに
綺麗に透明化リフィニッシュしたことについて書いていた。

さて・・・。
TADがなぜ薄塗りのラッカーにこだわっているのか、本当に理解して
いるのだろうか。

TADの唯一の欠点は、経年変化で表面クリアが黄色化してくることだ。
これは世界チャンピオンジョー・バルシスのTADだが、スペアシャフト
とバットは完全に黄色になっている。本来の色は赤みがかった飴色の
メイプルの色だ。


TADキューをリペアだからと通常ウレタンの重ね塗りで塗ったらどう
いうことになってしまうか。
実は私はやってみた。
まったく打球性能が異なるキューになってしまうのだ。
TADコハラが自作キューを高級楽器などで使われるラッカー塗りにこだ
わったのには理由がある。

キューのクリア塗装は、ランデやコグノセンティなどシアノアクリレート
のような硬い塗膜で塗り固めて木の呼吸を封じる方向性の物と、TADの
ように超薄塗りのラッカー塗装により木の呼吸を活かしたまま気乾比重
と連れ添う方向性の設計の物の二種に大きくは大別できる。
TADが21世紀に入っても薄塗りのラッカーにこだわるのには意味がある
のだ。
バットエンドのデルリン®を使用するのがTADの特徴でもあるが、一般的
なキューがウエイトを兼ねたインナーボルトで接着不能のデルリン®という
素材を繋ぎとめているのに対し、TADのみはデルリン®のバットエンドの
内部にネジ切りをし、バットエンドスリーブの木部外周にもネジを切って
それを締めこむことで密着性を得る方式にしてあるのである。
つまり、TADにおいては、ウエイトボルトは使用していない。それでいて
重量をビシッと設計通りに出し、「木の一体化」を実現しているのである。
それがTADコハラのキューの設計思想なのだ。

TADのクリア塗装リフィニッシュについては、ウレタンやシアノ系などで
重ね塗りと研ぎの繰り返しで高硬度に固める方向でのクリア塗装にした場合、
見た目は非常に綺麗だが、大抵はそれはTADらしからぬ打球性能に劣化して
しまっていると断言に近い確率で推定提言できる。
少なくとも、私が自分自身で行なった二液性ウレタンによるクリア塗装に
おいてはそうであった。懇意のリペア業者が幾度となく繰り返した実験に
おいてもその結論に間違いがないことが確認された。
従って、いくら「見た目」が美しくとも、原本の根源性能を捨象するような
クリア塗装は、私は「リペア」とは到底呼べないと断じる。
見た目重視で実戦能力の劣化を呼び込む手の入れ具合というのは、それは
改善や補修やリペア、リフィニッシュではなく、上辺だけの誤魔化しに
支えられた改悪だと断言できるのである。

似たようなことは日本刀やフライフィッシングのロッドの世界にも存在する。
日本刀においては、研ぎにあって、上位合格審査通過を目論んで、無駄に
肉を削ぎ落してしまう研ぎをくれる研ぎ師と依頼者(持ち主や刀屋)がいる。
日本刀の場合、一度肉を落としたら二度と蘇らない。
だが、それをあえて意図的にやる業者がいる。特に鋩子周りでそれを行なう。
こうした行為は文化財の毀損であるばかりか、武器としての本来の日本刀の
命をも奪う事になる。見た目の見せかけだけを追求した結果、日本刀の命を
奪っているのだ。

また、これは研ぎだけでなく、日本刀の場合は製法においても、そうした
ねじ曲がった上辺の見かけが先行するという大誤謬を業界が犯している。
まず見た目ありきで現代日本刀は製造されるので、耐久性や切れ味などは
一切考慮されない。まず最初に沸や匂いや映りありき、などというそんな
鉄の焼き物合戦のために新作刀コンクルールがあるのではないのに、見た目
で人の注目を引くことがまるで刀鍛冶の本業であるかのように勘違いして
いる作者大先生はとても多い。刀を作る刀鍛冶ではなく芸術大作家とでも
勘違いしているのだろう。
そういうのは備後弁では「タコのクソが頭にのぼる」と言う。

フライフィッシングでも実用道具であるロッドについて同様の傾向が一部に
ある。
あるバンブービルダー製のフライロッド(高級品の竹竿)が接続部分の
フェルールから折れる事故が続いた。
見た目をとても綺麗な印籠接ぎにしているので、見た目はとても上品だ。
ただし、そこの部分が繊維が極細に削られているので、鱒をフッキングした
ときのみならず、フライキャスティングにおいてもそこから折れるのだ。
要するに一切使えない。
そうした事故が何件か続き、ユーザーでもあった私は、接ぎ部分の改良対策
について進言したが、「美術的なところが削がれるから」と言ってその作者
は一切応じなかった。プライドだけは超一流だったが、まったくキャストさえ
出来ない竹竿をプロとして作って売っているのである。
一時私がアルバイトでそのビルダーの竿袋を縫ってその者に卸していたので、
内情はよく知っている。
私は縁を切った。理由は、そうした「物作り」の姿勢を崩さない者は明白な
ニセモノだからだ。ユーザーたる使用者のことなど一切考えていない。
自分が作った釣り竿で釣り人が豊かなフィッシングライフを得てくれること
を願って竿作りに向き合っているのではない。自分の自己中心的な事柄だけ
が大切で、使用者のことなどどうでもいいと思っているから、そうした
身勝手な「使えない竿」であろうともそれを以って「良品」であるとした
がっているだけだ。勝手にそう誤信しているだけで、釣りの現実とは繋がって
いない。
日本刀の世界でも、ビリヤードの世界でも、そうしたドカンチ人間は多いが、
共通点は、日本刀もフライフィッシングもビリヤードも、それら勘違いの
はた迷惑な連中は、どいつも「俺様大将である」ということだ。
だが、そうした勝手な自己評価とは別に、作り出すものは、現実的な性能、
つまり製造した物体の根源的な存立基盤である「存在能力」を伴わない
ただの心の通わぬ「物体」となっているのが実情だ。

そのバンブーロッドをある時私の友人のアメリカ人が持っていた。
竿袋を見てすぐに私が作った竿袋だと判った。
一般的にバンブーロッドは1竿30万円程度するものだが、その者が作る竿は
それの半額近い金額で販売されていた。
そのアメリカ人は自慢げに「やっとバンブーロッド買ったんだ」と喜んで
いたので、すぐに折れて使えない竿であると直截に気を削いでも野暮なので
私は
言わなかったが、「使うのは慎重に。竹竿は折れやすいので、本物の
渓流に行く前にいつものうちらが親しんだポンドで充分に試したほうが
いいよ」とだけ告げた。

するとそのアメリカ人(結構上級者)はポンドでキャスティングをした。
15分くらいだろうか。竿を振っていたら、やはりフェルールの接ぎの部分
からポッキリと折れた。
アメリカ人は「なんで?」「折れたら釣りができないじゃない!なんで!?」
と大怒りしていた。
私の手には別な日本人作者のバンブーが握られている。
「それはどうだ?」と彼は訊くので、「これもこの先折れるかも知れない。
実際のところ一回折れたことがある。でも
この作者の人は、折れた不具合を
告げたら、確実に次回はいろいろ考えて改善して
来てくれる」と言うと、
「最初からその作者にしておけばよかった」と彼は
言った。
修理をクレームで依頼しようとしたら、その折れやすい竿の作者からは高額
修理代を告げられたそうで、アメリカ人は怒っていた。
しばらくして「あのロッドどうした?」と訊いたら、「捨てたいところだが、
ロッドに罪はないので、折れたまま放置してある」とのことだった。
その友人米国人の心情を察するに、気の毒でしかたなかった。
実は私が手にしていた別なビルダーのロッドも、超大物を釣った際に折れて
しまったことがあるのだが、その作者は私に謝ると同時に無償で完全修理して
くれた。人としての良心と職人魂をそこに見た。

その作者が修理してくれたバンブーは、その後あちこちのフライシーンで
大活躍した。その竿が私にとっての主軸差料となったのは言うまでも無い。

(バンブーロッドの愛竿で鱒を釣る私。専門誌に掲載された画像を転載)

「見た目だけの見せかけ上の美しさ」というものは、それは絶対に真の美しさ
ではないのである。
特に、日本刀、ビリヤードのキュー、釣り竿、においては。
たとえば、和竿についても、竿政のヘラ竿を私は父から譲り受けたが、実に
唸らされた。まるで「性能」が違う。
微妙な違いでもその差異を「大きい差」として違いが感知できる能力がないと
物の良し悪しの違いなど知覚できないが、料理の味や仕立てにすべて優劣
(良否)があるように、絶対に違いというものは存在する。
まして、人が使う道具に至っては、使う人間のことを考えていない独りよがり
の自己満足の俺様大将が手掛けた道具などは、本質的存在意義との兼ね合いに
おいてどうか、という点のみで評価されるのが正しい。
見た目だけ綺麗でも、それは本当の意味で美しくもなんともないのである。

物作りをする人間は、大きな勘違いをしてはならない。
使う人不在、つまり人間不在の人間疎外に益する自己満足で手掛けられた
製品は、見た目の見せかけがどんなであろうとも、それはちっとも良品では
ないのである。


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ラッカー

2017年03月23日 | 職人技


今回のキュー作りでは、ウレタンではなく、あえてラッカー塗装
にしている。これは、ある意図に基づいている。


私のこのハカランダはたぶんウレタン塗装だろう。


こちらの愛器はラッカーに相違ない。造りは雑だが、音は珠玉なり。
ただ、サスティーンが利きすぎて、風呂場で弾いているような感あり(笑






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ぼちぼち研磨

2017年03月22日 | 職人技


ビッカビカ


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マイ・タイガー

2017年03月22日 | 職人技



撞球界の山浦真雄である私が鍛えたこの渾身の一刀(嘘
これが私の虎。

日本刀の映りのように見える部分が虎斑(とらふ)である。
角度により光の加減で現れたり隠れたりする。鑑賞法は
日本刀とまったく同じです。


なんちゃってのお子様キューと奥様キューとジャンプ2本とハギ改造物
から始まったLuke Landwalker Cues の6作目だが、このキューは
ブランクからの本式製作で、すんげ時間かかった(笑
バット本体の細さは、本家TAD程に細く、尻にかけてのテーパーも
緩く取ってある。
ラッカーが完全硬化する10日後以降、試斬ならぬ試し撞きをする。
無塗装、仮塗装の段階では、本格カスタムキューのような動力性能を
見せていた。
それがクリア塗装によりどこまでオミットされるかが問題だが、
塗っては磨ぎ上げの繰り返しで、超極薄仕上げにして行くので、それ
ほど悪影響は無いだろうとは思うにせよ、性能に関しては未知数の
部分がある。
シャフトは十二分に育っている。
曲がりありかと思っていたが、昨夜詳細に確認したら曲がりほぼ無しの
Aランクシャフトであった。
先角は私の好みの長さの蓋付きにし、材質は硬めでしっかりとした
撞き味を柔らか目の厚い一枚革タップで食いつき良くも玉離れが早く
なるようにセッティングしている。
予想では、事前試験の時のように、撞き味はTADよりも私のロバート・
ランデのショーンに近いだろう。
十分過ぎるほどに適切な乾燥を得た無垢一本木ソリッド材の優秀さを
とても感じさせる。
一般キューは58インチ、TADは59インチ、エフレンキューは60
インチだが、このキューは今寝かせ中の別の本星シャフトを装着すると、
エフレンキューを超える長さになる。
バットはTADコピーのデルリンエンドの分だけ長いし、シャフトも長い。
日本刀は定寸が好きだが、プールのキューは細くて長い物が私は好きだ。
キャロムキューの好みは短めのゴン太だけどね(笑
適材適所てのはある。

本職のキュー製作者のカスタムメーカーの方々の足元にも及びませんが、
日曜大工のレベルでぼちぼちやっています(^。^)
鍛造で作る日本刀系小刀造りと同じっすね。完全にド素人の手慰み。
ではお前は何が本職なのよ?と尋ねられたら・・・峠の走りかな(そんなの
の本職なんてねーよ>俺)。


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先角交換仕上がり ~タップ交換のやり方~

2017年03月20日 | 職人技



キューリペアショップ・マエストロさんから私の18山ブラジリアン・
ローズウッド・スペシャル・カスタムキューの
先角を交換したシャフト
が返ってきた。

極めて丁寧な仕事ぶりで驚く。






先角とシャフトの密着部分に接着剤の黒い線が出ていない。
これは高度な技法とノウハウを保有していることの証だ。



シャフト1本なのに、しっかりとした専用ダンボールケースに入れて
返送されてきた。なんだか、すごいショップだ。私はこれまで7業者
ほど
各種依頼してきたが、これまでのリペア業者さんたちとは、根本
的に何かが異なる。



早速、担当者の方おすすめで紹介されたこの新素材の人口象牙の
先角にチャンピオンタップを装着する
ことにする。


10数年前にネット公開して以降多くの方々に参考にされた私の
「タップの交換」のやりかたの解説ページは、現在ドメインの更新
手続き中で
表示できない。
今回はこのウェブ日記では初めて説明する。


まず、平面出しがタップ交換の命だ。先角もタップも平面をきっちり
と出して行く。先角はカッターの刃を立ててシャフトを回転し、また
カッターで刃先を掃くように平行移動させて先角の平面を出す。


タップについては、サンドペーパーで表面を均して一皮剥いて
から、やはりカッターの刃を立てて平面出しをする。




仮載せ。一切隙間があってはならない。タップ底面と先角上端面は
ピッタリとまんべんなく密着している完全平面に仕上げないとならない。


接着剤あふれの際に先角を傷めないように保護テープを先角
上端ギリギリに巻いてガイドにする。


私の場合はシアノを使って接着する。
圧着させた時に、「プチッ」と中の空気が抜ける音を確認するのが
ポイント。とにかくこの指押圧(おうあつ)が一番効果が高い。


しばらく経って接着剤が完全に硬化したならば、タップを下にして
シャフトを真下に向けてコンクリ面に自重落下させる。
その時に「キーン」とか「コーン」とか甲高い金属音がしたならば
タップは密着して先角に接着されている。


タップの成形に入るが、タップのカットは平面出しで使ったカッター
は刃先が潰れているので、もったいぶらずにまったく新しい刃を
使用する。オルファの幅広黒刃がおすすめだ。


私が開発し、現在販売に向けて製造中の日本刀目釘削り
専用刃物「ヒラマチ」ならば簡単に削れるが、一般的には
お持ちでない方が多いだろうから、タップカットもカッターで
行なう。まずは真下に向けてカッターの刃をスライスさせ
ながら圧(へ)し切って行く。


タップの外周を大まかに切り落とす。必ず、タップを新聞紙等や
工作用まな板等の上に押し付けて動かないようにしてから真下
に押し切りして行くこと。(これ大切)


これで桂剥きの素材が完成。


あとはカッターの刃を使って桂剥きにしていく。刃を動かす
のではなく、シャフトを回して軽快にリンゴの皮むきのように
外周部を剥いて行く。


どんどん削る。


外周はカッターの刃という刃物一丁でここまで仕上がる。


ヘッド部分を平ヤスリで仕上げていく。滑り落ちて、先角や
シャフト本体をヤスリで疵をつけないように、細心の注意を
払って行なう。画像は左手でスマホ撮影したので左手を
副えていないが、実際にはかなり先角寄りを保持する。




これくらいの位置を本来は持つ。ヤスリが落ちた時に手を
傷つけても先角やシャフト本体は疵つかない。
手の擦り傷は治療で治るが、先角やシャフトの削れ疵は
元に戻らないので厳重に注意する必要がある。


削りながら、タップの先も私は相当叩く。キンキンという音が
するほどに叩いて締める。


成形終了。


最終仕上げとして、唾液もしくは少量の油脂を含めて手で外周部
を拭って、乾いた布で磨いた後、牛乳を少量のみ垂らした布で
外周部を磨き上げる。靴を磨く裏技をタップにも投入する。
すると・・・

このようにビッカビカ。




旋盤など使わなくとも、タップは手作業で交換できる。正確に。
撞球師は自分でタップ交換程度はサクサクッと出来ないとなら
ない。勝負師が人任せの人頼りで、撞球で最大級に重要な部位
であるタップ交換を済ませているとしたら、それはあまりにも情け
ない。撞球者は最低でもタップ交換は自分で行なうべきである。
日本刀を帯びる剣士が、目釘交換を自分で行なうように。
日本刀の目釘も、帯刀者が自分自身で全責任を以って自作する
のが元来の姿である。
研ぎやメンテは本職に任せるほうがよいだろう。
だが、剣士の日本刀の目釘交換・金具の緩みの除去と締め、撞球
者のキューのタップの交換は自己責任で行なうのが本旨である。

私はいくら撞球が上級者であろうとも、自分でタップが交換できない
人間を一切評価しない。評価しないどころか信用しない。
一番大切な箇所を人任せで済ませているという勝負師にあるまじき
ことを行なっているからだ。
スキルがなければ身に着ければよい。
簡単なことなのだ。
「不器用だから」とか言い訳をする者だとしたら、撞球もやめればいい。
不器用なのだろうからキューを持って高度な技術の駆使などできない
ことだからだ。
言訳を常に探している者を撞球界では「ルーザー=負け犬」と呼ぶ。


タップは自分で交換。
これはプロもアマも関係なく、撞球者の自己責任性を体現しているか
否かが如実に表れる部分である。
また、トーナメントプレーヤーだろうと趣味の撞球者だろうと、ずっと永く
ビリヤードを続けて行くためには、キューのリペアやメンテについては、
かかりつけのお医者さんのように腕の良いリペア業者さんと良好な
パイプを作っておくことも大切なことだ。
今回、初めて茨城のマエストロさんに先角交換をお願いしたが、十二分
に満足の行く出来栄えだった。実によい仕事をしている。とても信頼できる
業者さんだ。オリジナルカスタムキューも製作しているようだ。

HAKU CUSTOM CUES


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シャフト糸巻き+塗装

2017年03月20日 | 職人技


自作キューのグリップの糸巻きは、友人から貰ったメリヤス糸で
巻いている。足りないかもと焦ったが、何とか糸は足りそうでし。


足りたでし。


ボトルネックでグリグリローラーかけて、塗装しちゃうでし。




つーことで、バディ藤田さんが廃業した時に貰ったキュー吊るしで
屋外に吊るして塗装するっす。Buddyさん、役に立ってるすよ~。


亀と猫の脱走防止バリケードに多少クリアがかかるが気にしない。


カスタムラインのようなビッカビカの感じではないように最終的
には仕上げたい。

デルリン®は剥げると解っていても、一応デルリン®のエンド
キャップにもクリアを吹く。


この後、塗膜が硬化したら磨ぎ上げてさらに薄く塗るのだが、
木部の
最終仕上げはこのようなしっとりとした感じにして、
一般的なキューのようにはピカピカに
光っていない状態に
仕上げたい。



硬化したので、磨いで行く。あと1乃至2回塗り磨ぎする。
ごくごく薄く塗ることにする。木部はまるで軽く油を注した
程度の感じに見えるようにしたい。木の呼吸を殺さない
方向性のセッティングに持って行くつもり。



外は雨になったので、3回目の塗りは中止して、屋内で乾燥させる。
って、このように室内灯のヒモに吊るすのだけど(笑)。
この2台のパソコンの前の高さ50センチくらい山積みの書籍を何とか
片付けたいが、3基の大型書棚は満杯でどこにもしまえないす。
(書棚は1段につき前後2冊置きしてある)
それでなくとも本宅(本家)にかなりの数持ち込んで保管しているの
だが・・・。東京からの引っ越しの時、今でいう25トンウイング車に
満載で広島に引っ越して来たが、トラックのカーゴを埋めたのは書籍
のダンボールだった、という(笑)。


ここはまだそれでもいい。
戸建のほうの本家など、死んだ親父の書斎含めて、プチ図書館の
ような状態に
なってる(笑)


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糸巻き

2017年03月20日 | 職人技



友人の息子さんが使うキューは、グリップを細くしたいとのことで、
自分で糸を巻きなおしていた。リネンではなくメリヤス糸で。
それに自分でニスを塗ってツルツルに仕上げていたのだが、全く
違和感なく、むしろカッコいい。色は青みがかった銀ネズ。
工作費用は材料費200円とのことだ。
「ダイソー100均最強!(笑)」と言っていたが、確かに(^^;
ちなみに100円均一のダイソーは広島県の企業だ。
私は、クリアファイルやファイルや付箋などの使いまわし文具は
ダイソーで購入している。
今回は、その友人の息子さんが巻いた糸の残りを貰った。
万が一足りなかったらとのことで予備に別色の糸をくれたが、そちら
は多少太い。色は春色。

自作刀掛けがキューの回転作業台に丁度よい(笑)。
手巻きで丁寧に巻いて行く。
どうやって巻くかというと、あの歌を思い出せばよい。
「糸巻き巻き 糸巻き巻き 引っ張って トントントン」
その通り。巻いて巻いて、引っ張ってから隙間をつめるように押して
行く。機織りなどではトントンと詰めるが、この詰める作業が大切。
糸は巻いて行くとヨレが発生するので、何巻きかしたら空中で吊り
下げて糸巻側を回転させてヨレをとる。


時間はかかるが、面白い作業である。


旋盤でリネンを巻く場合は、巻いた後にローラーをかけて
プレスするのであるが、私の場合はガラス製のボトルネック
で手作業でプレスしていく。
既存の使用中のキューも時々ボトルネックでプレスするが、
それをすると目が詰まり、手触りが格段に向上する。

げひょ~~ん!  ヽ(◎д◎)ノ


ここまでようやく巻いたが、糸が明らかに足りないことが判明!
ダイソー100均の最大のネックは、「ロットごとに生産のため、
同じ商品の品切れが多発」ということだ。
これで、以前多用した自衛隊迷彩柄の薄手の作業手袋なんて
すぐに無くなって困ったもんなぁ・・・。
この友人から貰った銀鼠のメリヤス糸も、4~5年前に買ったと
いうものだから、今は全く同じ物が売ってないの(笑
これはヒジョ~~に困った(笑
同じ糸を友人がダイソー数店舗を廻って探してくれたが、現在は
同商品は置いていなかったとのことだ。
ここまで巻いて、ほぐしてバラすのは嫌だ(笑)。
なんとか、同じ色と太さの糸を探すしかない。ダイソーではなく、
手芸店に行ってでも。

ホゲホゲだったす。
糸巻のご利用は計画的に(笑)。

手巻きって、すんげ~時間かかるよ。
何度か木刀の柄にタコ糸を巻いたことがあるのよ。あと人に頼ま
れて鞘の鯉口付近に。
細いタコ糸を巻いてから漆をかけるのだけど、その時に糸を巻く
のにすごく時間がかかった。これは物理的にもうどうしても時間が
かかる。
今回のキューの糸巻は、縫い糸のような細い糸なので、これまた
外周させるのにとても時間がかかる。
ビリヤードキューのアイリッシュリネンの糸がある程度太い意味が
よく解ったという次第(笑)。
大昔、私がまだ撞球にはまりこむ前の国産キューでは、アイリッシュ
リネンが入手できなかったからか、普通のミシン糸のような糸が
巻かれていたことが多かった。あれ、機械で巻いたのだろうけど、
あれを手巻きで巻いたらとんでもない時間かかって採算取れない
ことだろうと思うよ。


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デルリンのおしり

2017年03月19日 | 職人技



長めのお尻にしてみますた。
本物TADではない、あくまでナンチャッテだけどね(笑)。

これでTAD風の差料2作目、と(^^;

こちら一作目。


オレンジ色の憎いヤツ!(てのは関東でしか通じない)

樹脂含浸材を一部センターコア方式でキューの中央をぶち抜いている。
ただし、ガチガチに固める方向ではなく、適度なしなりももたせるような
設計にしてある。振動収縮について煮詰めた設計となっている世界に
二本とない私のオリジナルキュー。部分的センターコアが通る3ピース
構造のバットとなっている。


こちらは本歌TAD。バットは上から下まで無垢ワンピース構造。
十二分にシーズニングして乾燥させた良質木材しか使えない。乾燥も
ただカランカランに乾かすのではなく、木を充分に動かせて乾燥させる。
TADは最低でも10年以上自然乾燥させた材料しか使っていない。



今回はストレートだ。
ブランクは今年で20年寝かせたのでようやく使える(笑)。


デルリンやマグロ黒檀だけでなく、インレイも結構持っている。


ただ、TADタイプの白+緑ゴマのリネンの糸がないだよな。
国内在庫がない。アダムさんは持ってるみたいだけど(^^;
仕方ないから、使用可能状態にするために、別糸を手巻きで巻く
ことにする。シルキーな化学素材の糸を使う。


巻き方はフライロッドを作った時のガイドの糸巻き方法を援用する。


あの時はこれに似た簡易回転台を作った。


考えたら、こうした物はビリヤード・キューのシャフトメンテに使えた!




でもこれらはこのロッドのラッピング専門冶具だ。




キューのグリップ糸巻きでは、端を穴に入れて接着させるマスプロ
方式以外のカスタムライン方式では、このロッドのラッピングと同じ
技法が用いられる。


こういうことやれば、ビリヤードキューのシャフトのシェイピングなど
にも使えるよ~(^0^)



今回の自作キューのメイプルストレートのバット素材は、もちろんTAD
のような美しい木材ではない。まるで、シャフト材のような無地である。
このTADのようにカーリーとタイガーとバーズアイが交じるような
メイプル材というのはあまり無い。
このTADのバット材もフォアアームからリヤスリーブまで一本の無垢
木材で出来ている。
打感は非常にしなやかにしてスティフ。矛盾するような表現だが、それ
は撞いてみれば判る。
今回ロングデルリンのお尻を着けたブランクも、別尻を着けた仮組の
段階では非常にスティフで、入れが強かった。シャフトに負うことが
多いのだが、バットがキンキンに硬すぎても、またベナンベナンに柔ら
かすぎてもビリヤードのキューは駄目なのだ。

なぜストレートだったり、ハウスキューのような簡単なハギとノーラップ
だったりするかというと、そういうキューは「スニーキー・ピート」と呼ば
れる。
SNEAKY PETE とは、読んで字のごとく、こそこそしたズル賢いピート
ということで、ド素人を装って賭けで勝つハスラー=詐欺師のことを差す。
ハスラーたちがビリヤードで凄腕を隠して少しだけ玉撞きができる下手
の横好きの素人を装い、賭け玉で金をせしめる時に使うキューがそれ。
まるでハウスキューのような安物に見えるが、実は高性能カスタムと
いうのが実情である。
米国ではずる賢いピートではキツネがイメージされているようだ。
人を化かすのは万国共通なのだろうか。

ディズニー新作でも、この面構え(笑


完璧に人を喰った面構えのキャラに設定されている。


こういうのが薄らとぼけて素人さんを装って、偶然のラッキーで
勝てた風にはしゃいでビリヤードで周囲の金を巻き上げることを
ハッスルと呼び、それをやる者をハスラーと呼ぶ。使うキューは
スニーキー・ピートだ。
「羊の皮を被った狼」ではなく、「キツネの皮を被ったタヌキ」みたい
なのがハスラーという種族である。
玉を撞く人間をハスラーと呼ぶのは日本人の誤解・誤認であり、
翻訳すると「ゴト師」のことをハスラーというのである。

で、私はどうするかというと、そのハスラーを装うが実は素人で
ある、ということを装うそこそ玉が撞ける撞球師という設定(笑)。
普段しょぼい冴えない玉なのに、ここ一発の時には余人には
真似できないようなショットで決める、というあたりが狙いどころ。
実際のところは、「一発野郎」とか先輩たちから呼ばれていたりも
した(笑)。
だが、そう見えたらしめたもので、それは実は私にとっては一か
八かではなく、八割以上の確率で成功するショットであるのだ。


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